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アルバム タイトル共演者原盤税込CD番号
神楽歌と伊福部昭藍川由美(歌・倭琴)カメラータ3,000円CMBK-30003
世界最古の「うた」をもとめて
古代のうた『琴歌譜』
藍川由美(歌・倭琴)カメラータ3,000円CMBK-30002
藍川由美「童謡ジャズ」をうたう藍川由美(歌・作曲)
福田重男(ピアノ・アレンジ)
アコラ3,000円AKCD-002
藍川由美「催馬楽」をうたう藍川由美(歌・和琴)アコラ3,000円AKCD-001
日本のうた近代史
明治・大正・昭和の名曲を集めて
藍川由美ベスト盤
藍川由美(ピアノ弾き歌い)ほか
カメラータ2,500円CMCD-99055
「日本のうた」歌唱法2
学校唱歌をどう歌う?
フォーラム21少年少女合唱団(歌)
田中順子(ピアノ)
カメラータ3,675円CMCD-99053
「ほんとうの唱歌史」安宅 薫(ピアノ)カメラータ2,940円CMCD-28143
「明治の唱歌と
エッケルトの仕事」
野坂惠子(箏)/小宮瑞代(箏)
花岡聖子(箏)
カメラータ2,940円CMCD-28108
「日本のうた」歌唱法安宅 薫(ピアノ)カメラータ3,675円CMCD-99029
藍川由美の“常識”が生んだ「前代未聞」のCD

池田卓夫/日本経済新聞社文化部編集委員】

前代未聞のCDの登場である。万事に分類が好きな日本の音楽業界やジャーナリズムは「『日本のうた』歌唱法」と題されたソプラノ歌手、藍川由美の新譜をどの“棚”へ収めてよいものやら、途方に暮れるのではないか。藍川はこれまで古謡、芸術歌曲、唱歌、童謡、歌謡曲など個別の狭い枠に閉じ込められ、お互いの関係を断たれがちだった作品の数々を原典や作曲家の自筆譜から洗い直し、明治以降の「日本語で書かれた歌」に太く、大きな流れを与えようと努めてきた。折々の研究成果は藍川校訂による楽譜出版、これに基づくCDの録音と実演、著作など様々な形で世に問われ、楽壇を超えた広い関心を集めてきた。

だが、今回のCDは純粋な音楽鑑賞だけに資するものでも、ただの教材にとどまるものでもない。近年の藍川が日本語を歌う技の根源として注目する「和歌披講」での「君が代」の詠みに始まり、自ら執筆した解説書の要点の朗読、瀧廉太郎が無伴奏で作曲した「荒城の月」「箱根八里」と山田耕筰、本居長世それぞれが編曲したピアノ伴奏版の比較、日本語の発音や仮名遣いの変遷、社会情勢の変化が歌そのものや歌唱法に与えた影響、西洋の作品を歌う際とは異なる日本語独自の歌い方など、日本のうたの現状に潜む膨大な留意点の一端を適切な歌唱例を交えながら解き明かしていく設定は、他のCDに類例をみない。聴き手は最初、意表をつかれるが、次第に藍川の鮮やかな語りくちに魅了されると確信する。

先日、ある音楽大学が企画を請け負い、若い卒業生たちが出演した日本語の歌の演奏会を取材した。瀧廉太郎から武満徹までを時系列で並べ、男女の声楽家が歌い継いだのだが、すべての日本語が同じ発音様式で処理されていることに驚きを禁じ得なかった。出演者の一人はふだん、ピリオド楽器(作曲当時の仕様に整えた楽器で、従来の「古楽器」よりも厳密な考証で規定されている)の合奏団とともにJ・S・バッハやヘンデル、モンテヴェルディら18世紀以前の宗教音楽を歌う機会が多い。「西洋音楽では古い奏法や唱法、発音などを検証して当然と考えるあなたがなぜ、明治や大正、昭和初期の歌曲を現在の日本語と同じ発音で歌うのか?」という問いに対し、明確な答えは返って来なかった。「今まで考えたこともなかった」の本音には、日本の専門音楽教育に欠落しているものが浮上する。

藍川は「日本人だから日本語を正しく歌えて当然」とする“非常識”に敢然と挑み、「日本人だから日本語を、より正確に歌う責任がある」との常識を良識、見識へと高めてきた音楽家である。日本語の「啓蒙」という響きは堅いが、英語の「エンライトゥンメント」、ドイツ語の「アウフクレールング」には「照らし出す」との語感がはっきりと現れる。「日本のうた」歌唱法は、人々の先頭に立ち、混沌とした状況に一灯をともす芸術家の使命感に貫かれた作品なのだ。

「高原断章」
三善晃作品集
森 美加(ピアノ)カメラータ2,940円CMCD-28095
《世界のテクスチュアーズに織り込んで》

三善 晃/作曲家】

 敬愛する藍川由美さんに私の歌曲作品を歌っていただけることが、なにより嬉しい。

 藍川さんの歌には日本語の清冽な水脈が流れている。グローヴァルな相互理解が求められる今日、その前提として最も大事なことは、すべての民族や国がそれぞれの母国語のほんとうのパラダイムを持つということだろう。国際的な歌手・藍川由美さんがそれを表現していることは大事な、素晴らしいことだ。

 このCDには私の若い頃からの作品も網羅されていて、私が器楽作品においても追い求めてきた「日本」が表象されている。殊更に歌手と作曲家の協同などとは言わず、それぞれの仕事が平易に、日常的に、日本のリテラシーを紡いでゆくといいと思う。

「花いちもんめ」
伝えたい日本のうた
マルガリータ・ヴァイチュレーナス=ピス(ピアノ)カメラータ2,940円CMCD-28063
「花いちもんめ〜伝えたい日本のうた」に寄せて

中島 宝城/歌人・宮内庁歌会始委員会参与】

 音に対する人の認知機構の科学的研究によると、西欧人は言語音を左脳(言語脳)で認知する以外は、自然音や楽器音、機械音その他のすべてを右脳(音楽脳)で認知する。 これに対して、日本人は左脳で言語音を認知するだけでなく、人の泣笑嘆、鼾、ハミングなどの声をはじめ、獣鳥虫などの鳴き声や波風雨などの自然音、そして和楽器の音までも認知し、右脳では西洋楽器の音と機械音その他の雑音のみを認知するのだという。 つまり日本人は、人間の言葉だけでなく動物の声や自然の音も、いわば言葉として言語脳で聞いているのである。 しかし、この差は、遺伝(人種)の相違によるものではなく、文化(言語)の相違によるものであるという。 すなわち、遺伝的には日本人であっても、母語(mother tongue)を西欧語とする者(「西欧語人」)は西欧人型の音の脳処理を行い、逆に西欧人であっても日本語を母語とする者(「日本語人」)は日本人型の音の脳処理を行うのである。 つまり、その人が幼少期に獲得した母語によって固定された脳処理機構の型式の違いによって異なる脳処理が無意識の瞬時に行われるというのである。
 とすれば、音の脳処理機構の違う西欧語人の作った歌を日本語人が歌うと、どんなことになるのか。 この研究をまとめられた角田忠信博士は、 次のように述べておられる。
 「日本人の西洋音楽の専門家で、世界的レベルで活躍しているのは、主としてオーケストラの指揮とか器楽の演奏にあるのではなかろうか。 声楽となると、東の西の文化の差――私はそれを言語差と日本語の脳処理機構の特異性として捕えている――が介入して、如何とも越え難い一線があるように思えてならない」
 一般に、音楽大学を出た日本のクラシックの歌手たちは、何故か西洋の歌ばかりを歌い、日本の歌を歌わない。 稀に歌うことがあっても、どうにもうまくない。 西洋の歌より日本の歌がまずく聞こえるのである。 さらにまずいことには、その歌う西洋の歌も、どれほどのものかと思わせるのである。 ここでもまた、いわれなき西洋コンプレックスのために、時間と費用と才能の大きな無駄遣いが行われているのではないのか。
 さすがに、藍川由美さんは、その母語である日本語の歌を歌っておられる。 日本の歌にしっかりと焦点を合わせて、一つ一つ徹底的に検証し、その美しく力ある声でこれを歌い、次々とCDに収録しておられる。 民謡はもちろん、童謡、唱歌、歌曲をはじめ、歌謡曲、演歌、軍歌に至るまで日本の歌の体系に沿って収録されたCDは、すでに36枚(約600曲)になっている。
 藍川さんの追求しておられる日本の歌の正統かつ多様な発声と発音によって日本の歌が更に美しく力あるものとなってゆくことを切に願ってやまない。

古関裕而作品集
「栄冠は君に輝く」
マイスターブラス・カルテット
マルガリータ・ヴァイチュレーナス=ピス(ピアノ)
フリッツ・ドレシャル(チェロ)
ZAPPEL
MUSIC
2,940円CMCD-28023
直輸入盤
古関裕而作品集のヨーロッパ発売に寄せて

山折 哲雄 /(前)国際日本文化研究センター所長】

 ソプラノ歌手の藍川由美さんが『「演歌」のススメ』(文春新書)という本を出していることを知って、私は驚いた。 その内容を読んで、さらに胸を打たれた。 日本の歌は演歌や歌謡曲にかぎらず、世界に通ずる水準の高いものだ、ということを情熱的に語っていたからである。 日本人よ、西洋音楽コンプレックスから脱却せよ、――そう藍川さんはいう。 その志の潔い叫びに、私も心から賛同せずにはいられないのである。
 藍川さんはすでに古賀メロディーを歌ったCDを出しているが、今回は古関裕而の作品に挑戦するのだという。 中山晋平の歌も手がけている。 その藍川さんの美しい透明な歌声を聴いて、私の胸は高鳴り、想像の翼がどこまでも拡がっていった。 こんどの「古関裕而」盤では、『長崎の鐘』『イヨマンテの夜』など古関メロディーのなつかしい名曲に混って、早稲田大学や慶應大学の応援歌をはじめ、巨人軍や阪神タイガースの歌までが続々登場する。 その心憎い取り合せが心に響く。 聴いていて楽しくなる。
 これまで日本の伝統的な歌には、地上を這うような歌、地の底から噴き上げてくるような歌が多い、と私は漠然と思ってきた。 古賀メロディーも晋平節も地底から響くような声明や三味線音楽につよく結びついているのではないかと感じてきた。 その自分の感覚が藍川さんの歌を聴いているうちに、不思議な変貌をとげていった。 何といったらいいのか、藍川さんの力強いソプラノにのって紡ぎだされる日本の歌が、いつのまにか軽やかに天空に舞い上り、宇宙の大気にふれて変幻自在な音のイメージをつくりだしていたからだ。
 地上の音楽がみるみる天上の音楽へと姿を変えてゆく、――その移りゆく交響のドラマが何とも魅惑的で、素晴らしいのである。

古賀政男作品集2
「東京ラプソディー」
ウィーン・シュランメル・アンサンブル
ヴォルフガング・ブラインシュミット(フルート)
宮武 省吾(マンドリン)/リカルド・ブル(チェロ)
ZAPPEL
MUSIC
2,940円CMCD-28011
直輸入盤
古賀政男作品集
「思い出の記」
ウィーン・シュランメル・アンサンブルZAPPEL
MUSIC
2,940円CMCD-28010
直輸入盤
古賀政男アルバムのヨーロッパ発売に寄せて

日下 公人/エコノミスト・(前)東京財団会長】

 私が以前『新・文化産業論』という本で、書いた一節である。
 「古賀政男はそのうちベートーヴェンになるのではないかという予感が胸に沸いてくる。 日本国内の歌謡曲開発に注がれているエネルギーと知恵と費用の巨額さは世界の常識を超えるものがあり、その成果が日本国内だけでとどまることはないように思える」
 当時私は、日本人がやっていることを世界中がまねをするようになる、と考えた。 すると文化産業が日本の輸出産業になるわけだが、輸出される文化のヒントとしてまず日本人が捨てないもの、をあげてみた。 文化は日本人が愛していることが第一だからである。 輸出品は添え物である。
 その中の一つは和食であるが、現在、欧米では回転スシをはじめ和食はおしゃれでヘルシーな料理として、大変な流行となっている。
 音楽も最近J-POPなどがアジアで流行しているが、昔から日本人は絶対に歌を捨てることはなかった。 外国人がどう思おうが日本人のいるところには必ずカラオケができる。 東南アジア各地では日本のヒットソングの海賊版CDや中国語に翻訳して歌われている香港製CD、あるいは勇敢にも現地の歌手が原語(日本語)で歌っているものなどが花盛りである。
 私はこのことを25年前に書いたが、そのような気持ちで藍川由美さんが活動をされようとしていることを大変うれしく思っている。 藍川さんは、日本の歌の正確な楽譜を保存し、かつ歌うという仕事を長年されてきた。 日本の歌に対する藍川さんの情熱にはいつも頭のさがる思いである。 日本の歌が世界中から注目されようとしている今こそ、藍川さんの活動が輝き始める。
 藍川さんは『「演歌」のススメ』(文春新書)のなかで、ウィーン・シュランメル・アンサンブルと古賀メロディーを録音したときのエピソードを紹介している。
 彼らはウィーンの大衆音楽であるシュランメル音楽と、日本人が崇拝してやまないクラシック音楽の両方の演奏に携わっているという。 つまり、グローバルな音楽と同じようにローカルな音楽を大切にしていたのである。
 藍川さんは日本人の現状を「ろくに知りもしない自国の文化を蔑む一方で、やみくもに他国の文化を追いかけるということは、やはりとても恥ずかしい」と書いている。
 欧米崇拝ではなく、なんでも自分の目で評価する時代になった。 グローバルスタンダードではなく、ローカルスタンダードの時代なのだ。 藍川さんは音楽を通して、このことを教えてくれているのである。
野口雨情の世界「人買船」岡田知子(ピアノ)カメラータ2,940円28CM-645
伊福部 昭 全歌曲
(2枚組)
トーマス・インデアミューレ(オーボエ)
岡田知子(ピアノ)/黒木岩寿(コントラバス)
百武由紀(ヴィオラ)/吉田 將(ファゴット)
木村茉莉(ハープ)/中谷孝哉(ティムパニ)
戸澤宗雄(ファゴット)
吉田 秀(コントラバス)/遠藤郁子(ピアノ)
中川昌巳(フルート)
野坂恵子(二十五絃箏)
カメラータ4,200円20CM-641,2
ラジオから生まれた歌
「夏の思い出」
岡田知子(ピアノ)カメラータ2,940円28CM-640
林 光ソング集
「魚のいない水族館」
林 光(ピアノ)カメラータ2,940円28CM-630
こどものつぶやき高須亜紀子(ピアノ)カメラータ2,625円25CM-620
金井喜久子作品集
「沖縄のうた/てぃんさぐぬ花」
斎藤京子(ピアノ)/岡田知子(ピアノ)カメラータ2,940円28CM-585
アジアの唄声
沖縄・台湾・中国のうた
木村茉莉(ハープ)/花崎 薫(チェロ)
中谷孝哉(打楽器)/中川昌巳(フルート)
イリーナ・メジューエワ(ピアノ)
カメラータ3,150円30CM-562
橋本國彦歌曲集「舞」花岡千春(ピアノ)カメラータ3,150円30CM-532
木下忠司作品集
「喜びも悲しみも幾歳月」
斎藤京子(ピアノ)/藍川由美(足踏オルガン)カメラータ3,150円30CM-485
中山晋平作品集
「ゴンドラの唄」
花岡千春(ピアノ)カメラータ2,100円CMCD-20063
文部省唱歌集「故郷」花岡千春(ピアノ)/高須亜紀子(ピアノ)カメラータ2,100円CMCD-20062
白いうた青いうた(2枚組)
独唱による全曲盤
花岡千春(ピアノ)カメラータ3,780円CMCD-99041
山田耕筰歌曲集
「この道」
遠藤郁子(ピアノ)カメラータ2,100円CMCD-20061
日本の童謡「あの子はたあれ」花岡千春(ピアノ)キング3,059円KICC-211
日本の歌謡「東京行進曲」花岡千春(ピアノ)キング3,059円KICC-212
古関裕而歌曲集T
「長崎の鐘〜新しき朝の」
花岡千春(ピアノ)コロムビア3,059円COCO-80098
古関裕而歌曲集U
「レクイエム」
斎藤京子(ピアノ)コロムビア3,059円COCO-80660
翻訳唱歌集「故郷を離るる歌」中野振一郎(チェンバロ)コロムビア3,059円COCO-80861
古賀政男作品集
「誰か故郷を想はざる」
中野振一郎(チェンバロ)コロムビア3,059円COCQ-83152
「華燭」丘灯至夫作品集オリジナルカラオケ他コロムビア2,940円COCX-30525
國民歌謠〜われらのうた
〜國民合唱を歌う
斎藤京子(ピアノ)コロムビア3,150円COCQ-83299




「伊福部 昭 先生の叙勲を祝う会」(《アイヌの叙事詩に依る対話体牧歌》ライヴ録音)東芝 LD32-5077

「伊福部 昭 全歌曲作品の夕べ」(『'88 藍川由美リサイタル』ライヴ録音)東芝 LD32-5078

「伊福部 昭 室内楽作品集」(《オホーツクの海》《摩周湖》ライヴ録音)東芝 TYCY-5369,70

「日本歌曲全集O」(伊福部 昭《アイヌの叙事詩に依る対話体牧歌》)ビクター KCDK-1216

「作曲家の個展/林 光」(《八月の正午に太陽は……》ライヴ録音)フォンテック FOCD3132

「清瀬保二作品集」(《猫》《恋愛と貧困》《なめいし》《公園の熊の子》ライヴ録音)フォンテック FPCD1604

「池内友次郎作品集」(《ソナチネ》《日本詞華集》《あまりりす》ライヴ録音)フォンテック FOCD20002

「現代フルートの領域/中川昌巳」(林 光《道》《子供と線路》《空》)カメラータ 32CM-118

「松村禎三 作品選集 IV」(《阿知女》ライヴ録音/《軽太子のうたえる二つの歌》)カメラータ CMCD-28031



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