曲 名 作曲年 ・ 詩人 | 曲 名 作曲年 ・ 詩人 | ||||
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藍川由美(ソプラノ)/遠藤郁子(ピアノ) カメラータ CMCD-20061
![]() カメラータ CMCD-20061 | 山田耕筰は、作曲を始めた当初、英語の詩に曲をつけていた。その後、東京音楽学校の声楽科に進んで、ドイツ語やイタリア語の歌を学んだ耕筰は、言葉と音楽の関係に人一倍敏感だった。だから、ベルリン留学中に、英語やドイツ語が強弱アクセントであるのに対し、日本語は高低アクセントであるという決定的な違いを看破することができたのである。 ところが、耕筰はオペラやオーケストラなどの作曲、指揮にまで手を拡げてしまったため、歌曲の黄金期は1922年から23年にかけてと短い。ただ、その後の童謡の中には、《この道》《砂山》《赤とんぼ》などのように、歌曲として扱われている作品もある。 その名声とは裏腹に、高低アクセントや無声音を生かした彼の書法は、後世にあまり受け継がれなかった。若き日の古関裕而が独学でこれを吸収し、大衆に愛唱される名曲を数多く書いたくらいである。日本の歌に携わる者としては、山田耕筰が模索した問題をさらに深く掘り下げていく必要性を感じているのだが……。 (藍川由美) |