『國民歌謠〜われらのうた〜國民合唱を歌う』

ソプラノ:藍川由美/ピアノ:斎藤 京子

コロムビア COCQ−83299
収録曲初放送日作詞/作曲
心のふるさと昭和11年 4月29日 大木 惇夫/江口 夜詩 
昭和11年 6月15日 島崎 藤村/小田 進吾 
椰子の實昭和11年 7月13日 島崎 藤村/大中 寅二 
ふるさとの昭和12年 2月 1日 三木 露風/斎藤 佳三 
むかしの仲間昭和12年 2月 8日 木下杢太郎/山田 耕筰 
春の唄昭和12年 3月 1日 喜志 邦三/内田  元 
海ゆかば昭和12年10月13日 大伴 家持/信時  潔 
大日本の歌昭和13年10月10日 芳賀秀次郎/橋本 國彦 
白百合昭和13年11月21日 西條 八十/大中 寅二 
出征兵士を送る歌昭和14年11月13日 生田大三郎/林 伊佐緒 
旅愁昭和14年11月27日 岩田 九郎/大中 寅二 
紀元二千六百年昭和14年12月18日 増田 好生/森 義八郎 
かへり道の歌昭和15年 1月29日 竹中  郁/古関 裕而 
燃ゆる大空昭和15年 5月20日 佐藤惣之助/山田 耕筰 
隣組昭和15年 6月17日 岡本 一平/飯田 信夫 
用心づくし昭和15年 8月19日 岡本 一平/服部  正 
南進男兒の歌昭和15年 9月 2日 若杉雄三郎/古関 裕而 
歩くうた昭和16年 1月20日 高村光太郎/飯田 信夫 
めんこい小馬昭和16年 1月27日 サトウ ハチロー/仁木他喜雄
朝だ元氣で昭和16年10月25日 八十島 稔/飯田 信夫 
子を頌ふ昭和17年11月10日 城  左門/深井 史郎 
御朱印船昭和18年 8月24日 北村 秀雄/清瀬 保二 
學徒進軍歌昭和18年11月23日 西條 八十/橋本 國彦 
あゝ紅の血は燃ゆる昭和19年 6月26日 野村 俊夫/明本 京静 

録音:1999年10月19・20日(けやきホール)


コロムビア COCQ−83299
 『國民歌謠』とは、JOBK大阪中央放送局が昭和11年に放送した『新歌謠曲』が発展したラジオ番組で、JOAK東京中央放送局と交替で制作されていた。番組名は、昭和16年から『われらのうた』、昭和17年には『國民合唱』と変わり、放送は敗戦まで続いている。戦後は『ラジオ歌謡』として復活し、現在の『みんなのうた』に至る。
 NHKによるこうした創作は、日本の歌の歴史において、他に類例なきジャンルを形成している。第一に、放送局制作ということで、当時のレコード会社の専属制度の枠を越えて創作できたこと。第二に、作詞・作曲から歌手に至るまで、クラシックとポピュラーの区別無く起用されたこと。
 しかし、この流れの中で、昭和11年から20年までに作られた歌たちは、戦後、NHKが放送を“自肅”し、“封印”されたままとなっている。要するに、近代日本のうたの歴史において、戦前と戦後をつなぐ重要な時代が抜け落ちているのである。楽譜の入手も困難で、日本の歌の歴史すらきちんと見通せない。こんなことで「日本のうた」が一つの芸術的分野として認められるのだろうか。
 そんな自問自答を繰り返す中で、多くの方々が当時の貴重な楽譜を御提供下さり、レコーディングが実現した。ようやく日本の歌の歴史をつなぐ第一歩を踏み出せた思いである。
(藍川由美)

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