記録的猛暑となった2010年夏、突然“催馬楽”をレコーディングすることになりました。レコーディングは夏であれ冬であれ空調を切らなくてはならないため、この時期は非常に厳しいものがあります。ホール内の温度は鰻上りで、‘ゆでダコ’状態の二日間でした。 監修は予め岩波先生にお願いしていましたが、日程が前倒しになったため、私の仕上がりだけが問題でした。 レコーディングは何種類かの楽譜を岩波先生が現在の楽部の伝承と照合して下さり、ゆっくりと綿密に進んでゆきました。初日に律歌2曲しか録れなかったことには驚きましたが、非常に意義のある充実した時間が流れていることに満足感をおぼえました。2日目は呂歌4曲。最初から2日間で終わらせることを目標とせず、ゆったりと構えていましたが、微塵も狂わない岩波先生の調絃のお蔭もあって無駄なく進み、全曲を録り了えました。 「催馬楽和琴譜」での全曲演奏および録音は初めてとあって、サウンド・エンジニアは以前コロムビアで何枚か録って頂いた井口啓三さんと決めていました。井口さんが録る音は一言で表現すれば‘ピュア’。それが計算され尽くしたマイクの選び方とセッティングにあることは言うまでもありません。そして、どんな微細な表現も拾い尽くすというプロフェッショナルな姿勢が演奏家を奮い立たせてくれるのです。最高に贅沢なスタッフによる録音に深謝。 (↓2日目終了後、汗だくノーメイクですみません…) | ![]() |
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