『沖縄のわらべうた』(全8曲) 黄金燈籠(赤田首里殿内〜あかなー) 行った母何処かいが 月ぬ美しや 螢(じんじん) てぃんさぐぬ花 三村ぬ姉小達 東里真中 花ぬ風車 | 沖縄本島の民謡 赤山(あかやまん) 浜千鳥(ちぢゅやー) 谷茶前(たんちゃめー) かなよー だんぢゅかりゆし 木遣唄(くんじゃんさばくい) | 伊江島の民謡 木宝蔵(きーぷぞー) 砂持節 ましゅんく | 八重山の民謡 鷲ぬ鳥 安里屋ユンタ | 宮古島の民謡 子守唄(アヤグ) |
録音:2000年3月13日・14日(白石市キューブ)
![]() カメラータ 28CM−585 |
金井喜久子は、かつて首里王朝の芸能奉行をつとめていた川平家に生まれた。姉の多嘉良カナは「沖縄の歌姫」と称えられたほどの名歌手で、その姉が戦前から沖縄諸島や八重山諸島を演奏旅行して蒐集した民謡をもとに、金井は昭和十年代から琉球民謡を作編曲していた。 それは単なる採譜ではなく、「世界各国の大先輩がなしたように、管弦楽曲、合唱曲、独唱曲として近代性を与え、普遍的な芸術の域にまで高めたい」との考えから、「民謡の底に流れる沖縄精神を世界共通語の楽譜で表現」しようとしたものだった。 西洋のクラシック音楽には、ブラームスの『ジプシーの歌』や、ラヴェルの『マダガスカル島民の三つの歌』、またバルトークらの仕事などがある。彼女はそこに照準を合わせつつ、原曲の持ち味を生かした創作を心掛けた。そんな金井の作品からは琉球民謡への愛情が感じられる。 ともあれ、日本に沖縄ブームが訪れる30年以上も前に、琉球民謡を世界に向けて発信しようとした女性作曲家が居たことに、驚きと尊敬の念を禁じ得ない。 (藍川由美) |