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ピアノ:花岡千春/高須亜紀子 カメラータ CMCD-20062
![]() カメラータ CMCD-20062 | 耳慣れた歌でも、人前で歌うとなると慎重にならざるを得ない。 どんな楽譜を選ぶかによって、歌詞や伴奏が変わってくるからだ。 日本の楽譜のいい加減さには慣れっこだが、「文部省唱歌」の場合、単なる誤植ではないだけに事は重大だ。 「文部省唱歌」の独自性は、編集委員らが匿名で創作に携わっていた点にある。個人の情念や思惑を超えた次元で創作されていたからこそ、時代ごとに改作されることになった。 こうした歴史を持つ日本の唱歌の場合、どの時点をオリジナルと定めるのかが難しい。 このアルバムでは、私が校訂した「原典ピアノ伴奏譜による『日本の唱歌』」(音楽之友社刊)を用いて演奏しているが、それは選択の一例に過ぎない。 次は、明治初期に演奏されていた形、例えばお箏と胡弓の伴奏で「日本の唱歌」を歌ってみたい。 (藍川由美) |