伊福部 昭・全歌曲 /藍川由美
カメラータ 20CM−641,642

DISC−1
曲名共演者
ギリヤーク族の古き吟誦歌(1946)
 T.アイ アイ ゴムテイラ
 U.苔桃の果拾ふ女の歌
 V.彼方の河び
 W.熊祭に行く人を送る歌
遠藤郁子 (ピアノ)
サハリン島先住民の三つの揺籃歌(1949)
 T.ブールー ブールー(キーリン族)
 U.ブップン ルー(ギリヤーク族)
 V.ウムプリ ヤーヤー(オロッコ族)
遠藤郁子 (ピアノ)
アイヌの叙事詩に依る対話体牧歌(1956)
 T.或る古老の唄った歌
 U.北の海に死ぬ鳥の歌
 V.阿姑子と山姥の踊り歌
中谷孝哉 (ティムパニ)
摩周湖(1992)〈ハープ版〉木村茉莉 (ハープ)
百武由紀 (ヴィオラ)
1995年2月27日 (群馬、大泉文化村)
1995年2月1日 (秩父ミューズパーク音楽堂)

DISC−2
曲名共演者
シレトコ半島の漁夫の歌(1960) 遠藤郁子 (ピアノ)
オホーツクの海(1958/1988) 遠藤郁子 (ピアノ)
戸澤宗雄 (ファゴット)
吉田 秀 (コントラバス)
摩周湖(1992) 〈ピアノ版〉遠藤郁子 (ピアノ)
百武由紀 (ヴィオラ)
因幡万葉の歌五首(1994)
 T.あらたしき
 U.はるののに
 V.はるのその
 W.さよふけて
 X.わがせこが
中川昌巳 (アルトフルート)
野坂恵子 (二十五絃箏)
蒼鷺(あおさぎ)(2000) T.インデアミューレ(オーボエ)
黒木岩寿 (コントラバス)
岡田知子(ピアノ)
聖なる泉(1964/2000) 吉田 將 (ファゴット)
百武由紀 (ヴィオラ)
木村茉莉 (ハープ)
1995年2月27日・28日 (群馬、大泉文化村)
1995年2月1日 (秩父ミューズパーク音楽堂)
2000年10月28日 (東京文化会館小ホール)



カメラータ
20CM−641,642
 伊福部昭は、札幌時代に早坂文雄とサティのヴァイオリン曲を日本初演(1934年)するなど、常に東京を飛び越えて世界の最先端の音楽に接していた。ヨーロッパでは、その頃すでにファリャの《7つのスペイン民謡》(1914)や、ラヴェルの《マダガスカル島土蛮の歌》(1926)といった作品が発表され、民族音楽に基づく創作が新たな潮流となっていた。
 北海道で育った伊福部にとっての民族音楽とは、アイヌの伝承芸能や、開拓民たちの歌う日本各地の民謡、さらに1940年頃から調査し始めたギリヤーク族の音楽だった。
 1935年にパリで審査されたチェレプニン賞の第一席を得て以来、伊福部作品は諸外国で高く評価されていたが、日本国内での評価は不当なまでに低かった。それは、学閥主義に侵された日本音楽界の体質を物語るものでもあった。
 私は、1982年に初めて伊福部先生に御指導いただいて以来、85年のカーネギー・ホール公演、93年の釧路でのラムサール条約会議など、さまざまな機会に伊福部作品を演奏し、94年には先生が系図上67代目にあたられる宇倍神社ゆかりの鳥取県国府町で《因幡万葉の歌五首》を初演させていただいた。さらに2000年10月28日に行なった私の「20周年記念リサイタル」のために、伊福部先生は新作《蒼鷺》と《聖なる泉》を書いて下さった。2001年9月25日に発売された『伊福部昭・全歌曲』は、旧盤にこの二作品を加えたものである。
(藍川由美)

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