曲名 | 共演者 |
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ギリヤーク族の古き吟誦歌(1946)
T.アイ アイ ゴムテイラ U.苔桃の果拾ふ女の歌 V.彼方の河び W.熊祭に行く人を送る歌 | 遠藤郁子 (ピアノ) |
サハリン島先住民の三つの揺籃歌(1949)
T.ブールー ブールー(キーリン族) U.ブップン ルー(ギリヤーク族) V.ウムプリ ヤーヤー(オロッコ族) | 遠藤郁子 (ピアノ) |
アイヌの叙事詩に依る対話体牧歌(1956)
T.或る古老の唄った歌 U.北の海に死ぬ鳥の歌 V.阿姑子と山姥の踊り歌 | 中谷孝哉 (ティムパニ) |
摩周湖(1992)〈ハープ版〉 | 木村茉莉 (ハープ) 百武由紀 (ヴィオラ) |
DISC−2
曲名 | 共演者 |
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シレトコ半島の漁夫の歌(1960) | 遠藤郁子 (ピアノ) |
オホーツクの海(1958/1988) | 遠藤郁子 (ピアノ) 戸澤宗雄 (ファゴット) 吉田 秀 (コントラバス) |
摩周湖(1992) 〈ピアノ版〉 | 遠藤郁子 (ピアノ) 百武由紀 (ヴィオラ) |
因幡万葉の歌五首(1994)
T.あらたしき U.はるののに V.はるのその W.さよふけて X.わがせこが | 中川昌巳 (アルトフルート) 野坂恵子 (二十五絃箏) |
蒼鷺(あおさぎ)(2000) | T.インデアミューレ(オーボエ) 黒木岩寿 (コントラバス) 岡田知子(ピアノ) |
聖なる泉(1964/2000) | 吉田 將 (ファゴット) 百武由紀 (ヴィオラ) 木村茉莉 (ハープ) |
![]() カメラータ 20CM−641,642 | 伊福部昭は、札幌時代に早坂文雄とサティのヴァイオリン曲を日本初演(1934年)するなど、常に東京を飛び越えて世界の最先端の音楽に接していた。ヨーロッパでは、その頃すでにファリャの《7つのスペイン民謡》(1914)や、ラヴェルの《マダガスカル島土蛮の歌》(1926)といった作品が発表され、民族音楽に基づく創作が新たな潮流となっていた。 北海道で育った伊福部にとっての民族音楽とは、アイヌの伝承芸能や、開拓民たちの歌う日本各地の民謡、さらに1940年頃から調査し始めたギリヤーク族の音楽だった。 1935年にパリで審査されたチェレプニン賞の第一席を得て以来、伊福部作品は諸外国で高く評価されていたが、日本国内での評価は不当なまでに低かった。それは、学閥主義に侵された日本音楽界の体質を物語るものでもあった。 私は、1982年に初めて伊福部先生に御指導いただいて以来、85年のカーネギー・ホール公演、93年の釧路でのラムサール条約会議など、さまざまな機会に伊福部作品を演奏し、94年には先生が系図上67代目にあたられる宇倍神社ゆかりの鳥取県国府町で《因幡万葉の歌五首》を初演させていただいた。さらに2000年10月28日に行なった私の「20周年記念リサイタル」のために、伊福部先生は新作《蒼鷺》と《聖なる泉》を書いて下さった。2001年9月25日に発売された『伊福部昭・全歌曲』は、旧盤にこの二作品を加えたものである。 (藍川由美) |