鳥舟(とりふね)/藍川由美

新実徳英(曲)/谷川 雁(詞)
十代のための二部合唱曲集
『白いうた 青いうた』 より


カメラータ 30CM−352
十四歳

傘もなく

とげのささやき

火の山の子守歌

砂よ

夜と昼

南からの人々

八月の手紙

壁きえた

ぶどうとかたばみ

ぶどう摘み

夢幻

しらかば

ライオンとお茶を

忘れ雪

アルデバラン

いでそよ人を

薔薇のゆくえ

無名

北極星の子守歌

就職

鳥舟

島原

北のみなしご

二十歳

わらべが丘

春つめたや

盲導犬S

卒業

 

花岡千春(ピアノ)

録音:1994年2月15日・16日 (入間市市民会館)


カメラータ 30CM−352
 アルバムのタイトルを決めるとき、私は《無名》を提案した。
 しかし谷川先生からの電話で「あなたが《無名》にしたい気持ちはよくわかるけれど、人には理解されにくいので《鳥舟》ではどうか。《鳥舟》なら僕の言葉だし・・・」と言われた。
 この世とあの世を自由に行き来できる神代の舟「アメノトリフネ」。
 この歌の舞台を学徒出陣前夜の日比谷公園……と言えばあまりに具体的すぎるが、『白いうた青いうた』における谷川雁の填詞には思想や体験がみごとに織り込められていて、どの詞を歌ってみても、さすが隠喩の天才……と唸らせられる。
 先生がライナーノートに「日本の歌曲のあるべき特性について、私とほぼ同じ見解をいだいているのはうれしい発見だった」と書いて下さったことを励みに、今日も私は歌う。
(藍川由美)



われもこう/藍川由美

新実徳英(曲)/谷川 雁(詞)
十代のための二部合唱曲集
「白いうた青いうた」 より

カメラータ 30CM−395

ぼくという名のひとり

青い花

夏のデッサン

南海譜

はたおりむし(二重唱)

なぎさ道

ねむの木震ふ

自転車でにげる

ともだちおばけ(二重唱)

なまずのふろや

ぼくは雲雀

このみちゆけば

高二の肖像

恐竜広場

小さな法螺

こびとのひげ

ふたりで

落葉

火の粉

中世風

あしたうまれる

われもこう

花岡千春(ピアノ)

録音:1995年5月31日・6月1日 (みかぼみらい館大ホール)


カメラータ 30CM−395
 1995年2月2日、谷川先生が他界された。
 私は激しい衝撃を受けた。それほど大きな「存在」だった。
 『白いうた青いうた』だって、まだ53曲しか書かれていない。
 もちろん、その53曲は、どれをとっても、やっぱり谷川雁といえる作品だ。
 でも、もっと先を教えて欲しかった。
 谷川雁の填詞が日本歌曲における革命だってことに気付いている人はまだそれほど多くはないけれど、私はそれを確信できた。だから、今も歌っていられる。
 ずっと、日本歌曲に未来はない、と思い続けてきた私にとって、これは最高の救いであり、幸せであった。
(藍川由美)

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