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| 23日の朝、目が覚めたとたん無性に緑が見たくなり、ハイリゲンシュタットへ。 午後はいつものピアノ・サロンで練習をさせて貰うべく予約に行った。今回は出発前に電話をする時間すらとれなかったが、日本を離れれば時間はたっぷりある。それにしても、ただ歌っていればいいなんて、最高の贅沢! カールス教会に向かう道にも様々な花が咲き誇り、冬とは全く違う顔を見せている。 午後6時からピアノを借りられることになったので、近くのインペリアル・カフェで午後のお茶を愉しむことにした。 翌24日も、一日遅れでウィーンに到着したマンドリンの宮武省吾氏とともにピアノ・サロンで練習。その後は連日のヴィナー・シュニッツェルの食べ比べだ。こんな風だからウィーンに来るとすぐ太ってしまう。 のんびりとした暮らしも束の間、いよいよレコーディングの朝がやってきた。久々にバウムガルテンに行くと、まさにその名に恥じない光景が広がっていて、これまではレコーディングが冬だったため経験できなかったのだが、ホール脇のテラスで庭を眺めながら食べる昼食も最高だった。 さて、古賀政男の初期オリジナル楽譜による今回の録音では、ウィーン・シュランメル・アンサンブルのメンバーに加えて、マンドリン、チェロ、フルートの助演を仰がねばならない。実は録音が始まるまで、私はどんなアーチストたちが参加してくれるのか知らなかったのだが、蓋を開けてみてビックリ! 25日の午前11時にはフォルクスオーパーのチェロの首席奏者が、午後1時にはウィーン・フィルのフルート奏者が駆けつけてくれた。もちろん、初めて音を出した瞬間から音楽的な違和感は全くない。とはいえ、本当のところは実際に経験した者でなければわからないので、まさに役得。音楽をやってきてよかった!と思える二日間だった。 初日10時間、二日目8時間、彼らは一瞬たりとも心不在の音を出さず、「もう一度お願い」という私の頼みにも嫌な顔一つせず付き合ってくれた。そんな彼らの真情あふれる演奏によって、古賀メロディーはその本質を顕わにしてきた。 | ![]() 左手に楽友協会を眺めつつカールス教会を目指す
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