「古賀政男作品集」 ![]() 2001.12.21〜22 (カジノ・バウムガルテン) |
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![]() | ウィーンでもっとも賑やかな市庁舎前のクリスマスバザーが開かれている季節、念願の『古賀政男芸術大観』所収の楽譜を用いての「古賀メロディー」録音に臨んだ。録音前には、前回行きそびれたベルヴェデーレにも行った。お天気が良ければ、ウィーンの眺望を満喫できたはずなのだが、生憎の雪模様。宮殿内をゆっくりとまわって、最後にお目当てのクリムトを見た。この感動は筆舌に尽くし難く、やはり美術にせよ、音楽にせよ、本物に触れなければ話にならないということを再認識させられた。美術グッズ好きの私が珍しく買い物をする気にならなかったのも宜なるかな。その代わりというか、ピアノサロンで練習に使わせて貰っていたベヒシュタインを買ってしまった……。長年探し求めていたベヒシュタインの、1880年製の完全オリジナルである。 さて12月20日、レコーディング初日。ウィーン・シュランメル・アンサンブルとは初顔合わせだが、1曲目からピッタリと息が合った。われわれ演奏家は、この感覚が好きで音楽を続けているようなところがある。言葉も学歴も関係ない。音だけの真剣勝負だ。今回はとても良い相手に恵まれ、ウィーンでなければできない仕事ができたように思う。 このCDはウィーンのZAPPEL MUSIC社から発売され、日本には輸入盤として入る予定だ。これまで一度も音になっていない楽譜も結構あるため演歌の編曲に慣れた人には違和感があるかも知れないが、作曲家が意図した音楽に迫るのが演奏家の仕事である。既成概念を打ち破る一枚になってくれることを祈るばかり。 |
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