2013年8月20日、むかし父がよく連れて行ってくれた美霞洞温泉、現「エピアみかど」へ行くことに。実家から約1時間ほどの国道438号線沿いにビレッジ美合という温泉宿泊施設があり、その先が美霞洞温泉、徳島との県境です。近くに讃岐龍王・阿波龍王が並ぶ龍王山(1060m)があり、眺望が素晴らしいと聞いて行ってみると、かつて青少年野外活動センターがあったためか道路は舗装されていました。ナビで見た「龍王神社」は現地の立て看板に水婆女神社とあり、かねてより折口信夫の『水の女』中の「阿波の国美馬郡の「美都波迺売神社」は、注意すべき神である」の一文がずっと気になっていた私の探究心に火がつきました。以下、『水の女』より。宮廷の大祓式は、あまりにも水との縁が離れ過ぎてゐた。祝詞の効果を拡張し過ぎて、空文を唱へた傾きが多い。一方又、神祇官の卜部を媒にして、陰陽道は、知らず悟らぬ中に、古式を飜案して行つて居た。出雲国造の奏寿の為に上京する際の禊ぎは、出雲風土記の記述によると、わりに古い型を守つてゐたものと見てよい。さうして尠くとも、此にはあつて、宮廷の行事及び呪詞にない一つは、みぬまに絡んだ部分である。大祓詞及び節折(ヨヲ)りの呪詞の秘密な部分として、発表せられないでゐたのかも知れない。だが、大祓詞は放つ方ばかりを扱うた事を示してゐる。禊ぎに関して発生した神々を説く段があつて、其後新しい生活を祝福する詞を述べたに違ひない。そして大直日の祭りと其祝詞とが神楽化し、祭文化し、祭文化する以前には、みぬまと言ふ名も出て来たかも知れない。
「美馬の郡名は、みぬま或はみつま・みるめと音価の動揺してゐたらしい地名である。地名も神の名から出たに違ひない」とも書かれていたので、もしかすると、この小さな水婆女神社は重要な神社なのかも? と眺めていたら、奥の電波塔に居た数人に「何しに来たんですか、ここは国有地ですよ。たまたま点検に来たからチェーンが外れていますが、普段は入れません。早く出て行くように」と追い出されてしまいました。
コクユウチになる前から神社はあったと思うけど…?