欧州ツアーレポート その2 ロッテルダム編


7/13 アムステルダム経由ロッテルダムへ

 荷物の梱包のため7時に起きた。フルートの板東さんと同行者の富永さんは7時のフライトでパリへ、朝5時にタクシーを呼んで、すでに旅立ったという。女性の買い物に賭ける意気込みは凄まじい。木原も相当なものだが・・・

 私たちは11時15分のフライトでオランダのスキポール空港へ飛ぶので、松岡家を9時15分に出る。タクシーは、昨夜地ビール屋からクルプンダーの松岡家まで乗せてもらった運ちゃんが非番なので、マイカーのベンツでやってきた。良いのかなあ・・・

 空港ではまたまた、重量オーバーで追加料金を請求される。今回は149マルクだった。見送りに来ていただいた松岡さんの通訳もあり、てきぱきと事が運んだので、成田の時のように最後に飛行機に乗り込むということはなかった。松岡さん、最後までいろいろとありがとうございました。

 飛行機は定刻通り、オランダのスキポール空港に到着。オルガニストの松居直美さんの出迎えを受ける。BMWのカブリオレが長身の松居さんによく似合う。お昼をご一緒して、アムステルダムをちょっと見学する。お上りさん、よろしく、コンセルトヘボウの正面で記念撮影。すぐ隣の楽譜屋さんで、3曲ほど、譜面をゲット。ジョナサン・ハーヴェイとデニソフとゲルハルト・ホルツァーの作品。そのうち、取り上げることになるだろう。

コンセルトヘボウの前でオルガン奏者の松居さんと

 再びスキポール空港に戻り、コインロッカーに預けた荷物を取り出し、いざ、ロッテルダムへ。木原が気を利かせて、電車が発車するホームの情報をもらってきた。4番線だというので、4番線に来た電車に飛び乗る。次の駅に着いたが、どうもおかしい。私たちが乗っている号車には誰も居なくなった。そうこうしているうちに、電車はまたその次の駅で停まってしまった。運転士に聞くと、この駅が終点らしい。折り返してまた空港まで行くので、そこで乗り換えろと言う。重い荷物を引きずり、スキポール空港に戻って、何度も駅員に確かめた後、5番線に到着のブリュッセル行きに乗り込んだ。

電車で乗り合わせた兄弟、本当に可愛い。

 オランダには山がない。見渡す限り平野にジャガイモ畑や牧場が続いている。農業用水用のクリークも幅広く、あちこちにヨットやボートが繋げられている。約40分、日本円にして1000円程度の料金でロッテルダムに着く。さて、これからが問題だ。私たちは5時の待ち合わせ時間に1時間も遅れてしまっている。三輪さんと約束の場所(大きな出口の花屋の前)に行ったが、それらしい人は見つからない。主催者のオフィスに電話して三輪さんに駅まで来てもらった。ブリュッセルから大宅さんも到着のことで、私は先に原田さんの作品の伴奏合わせをすることになった。三輪作品はコンピュータとメガホンのシステムを試すため、木原が私の代行をする。

 トラブルは、遅刻だけで収まらない・・・歩いて5分くらいのところにピアノとのリハーサル会場があった。行ってみると、大宅さんが、困った顔をしてこちらにやってくる。「大変なことになってしまいました、なかなか来ないので、外に見に行った隙に、突風が吹いて、内側からしか開かない部屋のドアが閉まってしまったんです。」おまけにその部屋の所有者は9時まで帰ってこないし、連絡も取れないという・・・主催者が1時間ほどスペアキーを探し回ってくれて、ようやく8時頃、リハーサルを開始。抑制の利いたテンポ設定や表現力の豊かさなど素晴らしいピアニストである。お互いのイメージを確認して、9時にリハーサルは終了。

TENTと言ってもちゃんとした建物だ 三輪さんの作品はこの場所で吹き始めることから始まる

三輪さんの作品「メガフォンM」のセットアップ

 TENTと呼ばれる主会場(テント張りではなく常時展覧会が行われているしっかりとした建造物である)に戻って、三輪さんのシステムとご対面する。そのシステムとはゼフュロスにワイヤレスマイクを取り付ける。受信側にコンピュータ(G3ノート)が接続され、その出力端子にメガホンが取り付けられているというもの。MAXmspという生音をリアルタイムで変調できるソフトを使っている。曲は5つの部分からなっているが、特に譜面はない。いくつかのトリガーになる音型を三輪さんが用意している。それ以外は私に任されているが、おおよそのイメージ作りを、飲みながらやろうということになり、近くのホテル(徒歩3分・BAZARという名のホテル)にチェックインする。このホテルが、またまたきてれつであった!チェックインカウンターが、バー&レストランのキャッシュ(会計)を兼ねている・・・というか、バーのレジがホテルのレセプションを兼ねていると言った方が良いだろう。部屋は広くて快適だったが、内装は怪しい。トルコ風とでも言うのだろうか・・・壁にはアラビア文字の額がかかっている。お見せしよう。トラブル続きの疲れと白ビールのせいであっという間に眠りについた・・・

正面バーカウンターのようなのがホテルのレセプションである

怪しいムードの廊下

私の部屋の三輪さんと木原


7/14 ロッテルダム2日目

 9時頃に朝食を取る。場所は1階のバーレストランである。9時に三輪さんと待ち合わせたのだが、彼はもう食事を済ませていた。オレンジジュースとコーヒー、パン、パンケーキにサラダ、ソーセージ、フルーツの入ったヨーグルト、なかなかのボリュームだがどこかエスニック風である。食事の後、久々にゆったり湯船に浸かって入浴。やはり日本人はシャワーでは物足りない。

 11時にTENTへ。まずはメールのチェックをさせてもらう。案の定、たくさん連絡が入っている。急ぎのメールだけ、オン書きで返事をする。昨晩飲みながらの打ち合わせの通り、テストをする。ほぼ、やり方は決まった。4時頃から本番の会場でリハーサル、大丈夫、システムはちゃんと作動している、あとは本番への集中力だな・・・

 

 本番終了。かなり聴衆の度肝を抜いたようである。TENTでワインで乾杯した後、またBAZARで打ち上げパーティ。三輪さんは早朝の飛行機で帰国のため、ここでさよならを言う。

 オランダは芸術家にとって自由の国という印象を強く持った。さて、明日は、大宅さんとの2回目の合わせのため、電車でブリュッセルに向かう。どんな事件が待ち受けているのだろうか・・・

7/15 ブリュッセルへ

 朝はゆっくり起きて、昨日と同じ朝食を取り、タクシーでロッテルダム中央駅に向かう。シボレーだった。アメリカ車のでかい車体はヨーロッパの狭い道には似合わない。ブリュッセルまでは約2時間の電車の旅。途中うつらうつらしたが、ベルギーにはいると、少し風景がすすけた感じになる。オランダの清潔感ある田園風景とはちょっと違って、ほったらかしというか野性味ある田園風景である。

 電車はブリュッセル中央駅に到着。ここで大事件が起きる。棚の上に上げた荷物を下ろして、電車を降りようとした一瞬の隙に、木原がスリに遭う。ホームの階段を上がり、出迎えの大宅さんと無事出会えた後、両替に行こうとして、ポーチが無いのに気づいた。きっと狙われていたに違いない、確実にプロの仕事だ。中にはクレジットカード・日本の運転免許証・他の鞄の鍵・現金約200マルクなど。大宅家で電話を借り、日本のカード会社に連絡をしてカードをストップしてもらう。次にやったことは鍵屋さんに行って、バッグの鍵を壊してもらい、新しい鍵を購入すること、日本の保険会社のために、警察に盗難届を出す事だった。

 警察の窓口に女性の先客あり。髪の毛はショッキングピンク、上下黒で、へそだしTシャツにミニスカートをはいている。北ドイツやオランダのでかい女性を見慣れていたので、すぐには気づかなかったが、それにしても、肩幅は広いし、ウエストもくびれていない。手続きが終わって振り返ったら、「おかま」ちゃんであった。警察の窓口の女性は小柄なフランス系の女性だったが、とても可愛く見えた。

 すべての手続きが終わり、空腹感が私たちを襲う。手続きに手間取ったため、大概のレストランは、ランチタイムは終わってしまっている。夜に行こうとしたレストランは、日中休憩無く営業しているのでそこに行く。私は子羊の骨付き肉のグリル、木原は鳥肉のオレンジソース、大宅さんはキンキのホワイトソースがけ。とても、おいしい。ビールはリハーサル前なので、ぐっと我慢した。

 大宅さんのフィアンセのマクダレーナさんは、ユースシンフォニーの事務局で働いている。その事務所の一室で、原田作品のリハーサルをさせてもらう。次のコンサートでは、驚いたことにカーゲルのファンファンファーレンを取り上げるのだと言う。その曲なら、つい先日レコーディングしたばかりなので、顔を見合わせて驚いた。私の2枚のCDをプレゼントする。

「小便小僧」の前で

意味も解らず触ってきたが「ご懐妊祈願」の意味があるとのこと(^^;)

超広角レンズでもなければ収まりきらないGRAND PLACEの建物の一部

 短いリハーサルの後、大宅さんは東京にお住まいのご両親が空港に着くというので、お出迎えに。私と木原は、観光に街に繰り出す。事件のせいで、ここまでゆっくり景色を楽しむ余裕もなかったが、ブリュッセルはヨーロッパらしいとても良い街だ。有名な小便小僧の前で記念撮影。木原の提案でベルギーワッフルを食べた。観光客の間を縫いながら細い道を行くと、いきなり広場に出る。ここが有名なGRAND PLACEである。オペラ座や市庁舎を外から眺めた後、待ち合わせ場所に向かう。ガラス細工で有名な「バカラ」の店も発見。夕食はやはり、多彩なベルギービールを飲める店に行く。私も5、6種類は飲んだだろうか・・・昼間のトラブルも忘れて、おいしく頂戴した。翌朝が早いので、まもなく床につく。インターネットには繋がらない・・・(^^;)

7/16 早朝

 8時45分のフライトなので1時間前には空港に着きたい。私がシャワーを浴びているうちに、出発の時間になった。日曜の朝なので道路はすいている。そのおかげで間に合ったのかもしれないが、10分程度で空港到着。大宅さんとはダルムシュタットでの再会を約束して、別れる。さて、チェックインでは、2度の失敗の教訓で、預ける荷物は軽めにし、手荷物を重くする。作戦成功!!ようやく割増料金を取られずに、チェックインできる。約1時間のフライトの後、飛行機はフランクフルト空港に到着した。(続く)


7/7 出発の日

7/11 ハンブルグ4日目 松岡貴史・みち子作品展

7/12 ハンブルグ5日目 曽我部清典 トランペットレクチャー&リサイタル


欧州ツアーレポート その3 ダルムシュタット編へ

欧州ツアーレポート その4 ダルムシュタット編後半へ

欧州ツアーレポート その5 フランクフルト編へ


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