7/11 ハンブルグ4日目 松岡貴史・みち子作品展
さてさて、本番の朝になった。おおら君の名誉のために言っておこう。今朝は、どうやら、滑り込みセーフだったようである。コンサートではヴィデオ係を拝命した模様だ。
大君の宿題を教える松岡さん
朝起きて、最初にやらなければいけないことは、明日の自分のコンサートのために、龍安寺の打楽器になるものを決めることであった。松岡家の台所を物色。ケージの指定にはマテリアルの違うものを同時に叩くとある。レコーディングの時は、太い竹とレールを使った。さて、今日は・・・「木」の音はまな板と木製のレモン絞りに、「金属」は厚手の鍋とアルミニウム製のニンニク絞りに決定。
朝食を頂いた後、4日目ともなれば、慣れた途を大学へ。午後1時にダムトア駅でライプツィッヒから来る島丸さんと待ち合わせをする。彼女は私の元で3年ほど学んだ後、ドイツに留学をしている。今回、龍安寺の演奏と、私のコンサートの通訳のため、来てもらうことになった。1年半ほどのドイツでの生活でずいぶんスマートになった彼女は、まるで少年のように見えた。ホッホシューレの一室を借りて、まず、龍安寺のリハーサル。西洋的な音楽にばかり接していると、なかなか龍安寺の曲線をうまくなぞることができない。謡曲のように吹くのだ。「たーかーさーごーやあ〜〜〜あ」みないな感じといえば、少しイメージはつかめるだろうか?その後、翌日の私のコンサートの通訳の打ち合わせをした。
5時からのリハーサルを軽く済ませ、いよいよ、本番である。来る時の飛行機でお知り合いになったご婦人や、芸大のホルンの先輩でドイツのオケでご活躍後、転職、ヨーロッパのヤマハのドンと言われる(打ち上げの席で知ったことだが)藤田さんも来てくださり、会場はなかなかの盛況であった。本番直前の楽屋に芸大の後輩の中沢君がひょっこり現れた。ニューヨークに留学しているが、2週間の予定でヨーロッパを転々としているとのこと。今日のコンサートは事前に知っていたので来たとのこと。翌日の私のレクチャーコンサートのことは知らなかったらしく、それを知らせたら何とか来たいとは言っていた(結局、現れなかったが)。
ヴァイオリン独奏、歌曲と終わって、松岡貴史作曲「忘れられた時」ピアノとゼフュロスのデュオ作品である。この作品はこれまでご本人のピアノで1回、中川俊郎のピアノで1回、今日が3回目の本番になる。比較的縦の線がルーズな部分と厳密に合わさなければいけない部分があり、そのずれ具合で、万華鏡のような効果を持っている。松岡さんの集中度がすごく、その気迫に負けないように、私も積極的な演奏を心がけたつもりである。
コンサート後半はヴァイオリンとピアノのデュオ、フルート独奏、チェロの独奏(このチェロのソロがとても素晴らしかった!)と続き、松岡みち子作曲の「砂に残った足跡」。ソプラノとトランペットとピアノという編成、キリスト教的な世界を描いていて、その英語版の初演になるが、私は英語版の方が良いと感じた。
コンサート終了後は、近くのイタリアンレストランで打ち上げとなり、皆でコンサートの成功を祝った。シュターンケ教授に私のセカンドCDをプレゼント。彼は微分音を使った音楽作りをしており、ゼフュロスに大変興味を持ってくれて、とりあえず習作を書いてみるので、その感想を知らせて欲しいとのことだった。
夜中の2時過ぎ(コンサートが8時からだからちょっと盛り上がるとこのくらいにはなる)藤田さんの運転する車で松岡家まで送っていただいた。(前述の藤田さんの情報は、この時伺ったものである)翌日の自分のコンサートのため、すぐに床についた。明日はいよいよ、自分のコンサートである。
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