2000 Europian Tour Report
2000年7月7日午後13時、私と私の弟子・木原良徳を乗せた日本航空JAL407便は、台風接近中の成田空港からフランクフルトを目指し飛び立った。私にとっては、3年ぶりの国外脱出である。今回の旅の目的は、ハンブルグでの松岡夫妻の作品展に出演とハンブルグ音楽演劇大学での「現代のトランペットの可能性」と題したレクチャーとコンサート、ロッテルダム音楽祭での三輪眞弘作品初演、ダルムシュタット音楽祭でのレクチャー&コンサートである。前回のギリシャでは、たった一度の本番(10数分)であったが、今回は盛りだくさんで緊張もひとしおである。前回はちゃんとメモを取らなかったためあとで思い出すのに苦労したが、今回はリアルタイム中継でお届けしよう。では、欧州ツアーレポート始まりです。
7/7 成田発フランクフルト経由ハンブルグへ
約10時30分に成田空港第2ロビーに到着。同行の木原と合流する。荷物が多いので、CDとヴィデオカメラを木原に預ける。木原も大変な大荷物を持ってきている。全く忘れていたことだが、手荷物重量オーバーで23000円の追加料金を請求される。いきなり失敗である。経由地のフランクフルトで預けた荷物をいったん引き出すか、ハンブルグまで運んでもらうかで時間が取られ、ちょっと缶ジュースで喉を潤していたら、最終案内のアナウンスをしているではないか!急いで、搭乗口に行く。結局、僕らが最後に乗り込み、離陸。今回はドイツから切符を取り寄せたので、ずいぶん安く上がった。しかも、JALである。飛行機に乗り込んだ途端外国という雰囲気になった、前回のタイ航空の時とは違い、日本人が多く、アナウンスも日本語で、何ら国内線と変わらない雰囲気。ちょっと、ほっとする瞬間だった。しかし、満席でしかも両端に人が居る席で、非常に狭苦しく、トイレに行くにも必ず隣の席の人に立ってもらわなければいけないので、機内でのコンピュータの使用はあきらめた。11時間半どうやって暇をつぶそうか・・・(ここまで書いて、翌朝書き足すことに)
最近の国際線は凄いですゾ。まず、最新の映画が前の席の背もたれに付いている液晶画面で見られます。私は「ミッショントゥーマーズ」というCG映画と、市川昆監督役所コウジ主演の「どら平太」を見ました。全部で7・8本やっていたかな。それから、コンピュータゲームもできる。そして驚いたことに、そのコントローラーで電話もできるのです!!1分800円とのことだったが、クレジットカードで決済、早速、実家に電話した。おふくろの驚いた声が、飛び込んできた。右隣の席は21年ぶりにハンブルグを訪れるという70歳(とてもそんな年配には見えません)のご婦人であった。名刺を渡して11日と12日のコンサートにご招待することにしたが、12日はベルリンに行っていて、だめとのこと。残念。
そうこうしているうちに、フランクフルト国際空港到着。ヨーロッパの玄関口というだけあって、相当広い。約2時間の待ち合わせで夜の8時20分にハンブルグ行きが出る。飛行機の中でもビール・白ワイン・赤ワインとたっぷり飲んではいたが、やはり、ドイツビールを飲もうと、軽食のスタンドへ。約6マルク(日本円にして300円ちょっと)で3.3デシリットル(日本の缶ビールくらいの量かな?)ちょっと安めと思う。歩いている途中にCAVIER HOUSEと書いてあったので「キャビア」が食べられるのかと思ったが、まるで勘違い。おみやげショップであった。なかなか搭乗が開始されず、9時近くになったが、まだ外は明るい。ルフトハンザのシートは革張りであった。予定より少し遅れて、ハンブルグに到着。緑の多い美しい街だ。松岡一家のお出迎えを受ける。13日朝まで、ここでやっかいになる。天才ピアニストのあさひ君と重量級のおおら君の熱い出迎えを受ける。そして、思ったより、寒い!空港から松岡家迄はタクシーに乗った。なぜかエスニックな音楽がかかるので、運転手の出身を聞いてみたら、イラン人だった。息子に借りてきた登山用のジャンパーを羽織る。フルーティストもパリから到着の予定だったが、悪天候のため遅れていて、ご主人だけが残って、その人の到着を待つことに。12時も過ぎて、目が開かなくなり、床につく。フルーティストとの顔合わせは明日に。明日は2時からリハーサルである。
7/8 ハンブルグ初日
明るいので目を覚ましたら、5時であった。コンピュータとモデムのセットをして、インターネット接続の用意をする。まだみんな寝ているので、部屋の布団の上での作業だ。家人が起きたら、早速アクセスしてみよう。そして・・・約30分格闘の上、ようやく接続成功。次はドイツレポートのページをアップできれば、予定通り。
11時頃からドイツ式の朝食を頂く。電車とバスを乗り継いで、国立ハンブルグ音楽演劇ホッホシューレに行く。驚いたことが二つ。ドイツの電車には自転車専用車両がある。もう一つは、犬も乗れる。そして、電車からバスに乗り換えた駅で、イラン人のデモに遭遇。2日続きで、イラン人の存在を強く感じる。
ダムトア駅前 バイクはイラン人のデモの警護のいわゆる白バイ(ドイツでは警察の色は緑である)
14時から松岡みち子さんの「砂に残った足跡」のリハーサル。編成はソプラノ・トランペット・ピアノで、ソプラノはロシア出身のタチアナさん。ちょうど、ご両親と弟さんがロシアから出てきていて、モスクワまで電車で2日間、モスクワからバスで2日間かけて来たという。なんだか、時間の観念が私たちとは違うようだ。
大学構内の裏庭で
電車といえば、ドイツの電車はとても安い。週末の1日乗車券が5人分で35マルク。一人あたり、350円である。そして、改札もない。時々検札に来るだけと言う。自分の演奏は絶不調。長旅と時差の関係だろうか?まあ、明日には回復するだろう。
頭では解ってはいるが、なかなか夜が来ない。下の写真の時計の時刻を見て欲しい。もちろん夜の8時過ぎである。
7/9 ハンブルグ2日目
朝は7時半に目が覚めた。少しずつ、時差ボケも解消しつつある。メールチェックと昨夜書き貯めたホームページのドイツレポートをアップする。成功!!!この喜びはちょっと言葉では言い表せない。
今日のリハーサルは11時半から。ソプラノの持木さんにしばらくぶりに会う。持木さんは、みち子さんの歌曲を歌うために今回私と同様、日本から渡欧している。その後、貴史さんと、西村朗「ヘイロウス」と佐藤聰明「光」の合わせをする。楽器の調子は何とか回復したようだ。
その後、龍安寺の打楽器の選定をし、午後は、ようやく観光で、電車で40分ほどのリューベックに行く。案内は、松岡家の長男あさひ君である。(次男のおおら君は留守番で、紙模型でリューベックのホルステン門を作っていた。)途中ハンブルグ中央駅でビールと白いソーセージを食べる。なぜかうまい。
ハンブルグ中央駅であさひ君と木原
リューベックまでの車窓の景色はまさに田園地帯である。麦やトウモロコシの畑、牛や馬が自由に放牧されている牧場が、延々と続いている。約40分でリューベックに到着。ハンザ同盟と音楽関係ではブクステフーデの名で有名な都市。王や公爵ではなく、市民が町を担っていたという。建物の屋根の茶色が印象的です。
ホルステン門の前で
ブクステフーデがいたという教会
悪魔にたばこを吸わせてご機嫌な木原
夜は、またまた、松岡家のもてなしを受ける。今夜は中華。前菜にピータンとクラゲ。白身魚とピーマンと椎茸のトーチ(中国納豆)風味炒め、豚肉とネギの老酒風味煮込みトマト添えがメインディッシュ。この他に、水餃子、ビーフンの炒めなど、大変なおご馳走。庭の片隅にシャンツァイ(香草)を植えてあり、これが私の大好物で、ビーフン炒めには欠かせない。仕上げは、洋梨と白玉にあんこをかけたもの、これもうまかった。松岡さんも相当の食いしん坊である。
7/10 ハンブルグ3日目
朝5時半に目が覚めて、メールの返事を書き、このレポートを書いている。画像をアップしたのだが、なぜかweb上で見ることができない。勝手にファイルの名前の後に「.bin」と付いてしまう。AOLとDTIでファイルのアップのやり方が違うのだろうか?仕方ない、画像は日本に帰ってからかなあ・・・
午前中はロングトーンや柔軟体操などのんびりと過ごした。家には私と木原しか居ない。松岡ご夫妻はリハーサルの立ち会い、子供たちは学校(おおら君は朝寝坊で遅刻した)、フルーティストの板東さん達は、リハーサルの後、ショッピングだそうな・・・
12時37分の電車で、大学に向かう。タチアナさんと2度目のリハーサルである。曲の最後の部分ソプラノとトランペットが高い音を延ばして、十字架を背負ったイエスが歩いて行く様を表現する役目のピアノに引き継ぐ場面のやり方を調整。きっとうまくゆくだろう。
5時頃にリハーサルが終了。その後、7時頃まで、一人で練習する。12日の自分のレクチャーコンサートのプログラムである。どういう人がどのくらい来てくれるのか解らないので、多めに曲目は用意してあるし、通訳もライプツィッヒに留学している生徒の島丸さんがついてくれているから、まあ、大丈夫だろう。またしても、楽天家の私が顔を出す。
7時からは、ハンブルグ在住のヤマハの板橋さんに夕食のご招待を受けた。ベイエリアのシーフードレストランに向かう。車はVWのボラとかいう車種で、私は日本では見たことがない。ビールで乾杯した後、生牡蛎とボイルしてニンニクとオイルでつけ込んだ手長エビ・ムール貝・アサリなどの盛り合わせから、かぶりつく。サーモンのマリネもおいしかった。その頃には、しっかり白ワインに移行。海の幸を堪能した。パンに付ける赤い身(実)をオリーヴオイルにつけ込んだものがおいしくて、でも、なんだか解らない・・・店員に尋ねると「乾燥トマト」だという。皆さんもお試しあれ・・・夕闇?が迫って来たので(10時半頃だったかな?)、デッキの客用に温風を送るストーブのようなものにスイッチが入った。
帰りの道は、ちょっとアウトバーンを走った。ご存じの方も多いと思うが、高速料金はいらない。標識も日本のように大きくなく(横長で矢印と地名だけが書いてある)夜だと見落としそうである。松岡家に帰ったら、まだ全員起きている。おおら君、明日の朝は遅刻はなしだぜ・・・・
7/11 ハンブルグ4日目 松岡貴史・みち子作品展
7/12 ハンブルグ5日目 曽我部清典 トランペットレクチャー&リサイタル
欧州ツアーレポート その2 ロッテルダム編へ
欧州ツアーレポート その3 ダルムシュタット編へ
欧州ツアーレポート その4 ダルムシュタット編後半へ
欧州ツアーレポート その5 フランクフルト編へ
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