リズムの練習 Rythm Trainings


 「君はリズムが悪いねえ。」・・・こんな言葉をたいていの人は一度は言われたことがあると思います。言われたことがないという人は、よほどの天才か、きっと日本人ではない人でしょう。天才はさておき、言われた方は自覚していないから、かなりショックを受ける場合が多いですが、私は日本人である限り、仕方のないことだと思っています。ことクラシック音楽に限らず、ロックやジャズにおいても、日本人は「リズム」や「ノリ」が違うと言われます。

 では、どこが、西洋人と日本人では違っているのでしょうか?もちろん、日本の音楽にも「ビート」はあります。盆踊りやお祭りのお囃子など、「ノリ」の良い音楽は古来から日本にはありました。しかし、古来より日本では1つの拍を正確に2つに分けたり3つに分けたりする習慣が無かったのではないでしょうか?!次の拍の頭で合っていれば、良しとしたのではないかと思います。もしくは「等分するなんて不粋で下司な奴のやること」とされていたのかもしれません。そして、これはヘテロフォニカルな日本の音楽にとって、大変都合の良いことであったのです。一例を挙げますと、民謡などを歌うときに手拍子をしますね?この時、日本人は、手を合わせて、そのまましばらく、手は放れませんね?中には、手をもむような仕草が伴ったりします。これこそが、1拍目にみんなが揃うのを待つ時間調整の時間なのです。ちなみに、西洋人の手拍子は、直ぐに両方の手が放れます。このように時間に対する考え方が、日本人と西洋人とでは随分違っているのです。

 日本の音楽の特徴はさておき、トランペットは西洋の楽器ですから、トランペットを勉強するときには、西洋の音楽のリズム感を身に付けることが必要であることは言うまでもありません。では、どのように勉強していったら良いのでしょう?まず、それまでの自分のリズム感が「西洋的ではない」と自覚することが肝要です。そして、先ほど述べた「日本音楽に無かったリズム感を養うこと」です。つまり、日本人が持ち合わせていなかった「1つの拍を正確に2つに分けたり3つに分けたりする」能力の開発が必要とされます。

 このコーナーでは、大きく5つに単元をわけて、リズムの練習をしますが、まず、自分がどういうリズム感をしているのか、知っておく必要があると思います。どんなものでも良いですから、正確に時間を切り分けるメトロノームを用意して、下の譜例を吹いてみて下さい。速さは4分音符=60〜80位で、ブレスは4小節吹き終わった後にして下さい。


 自分の思った(吹いた)テンポとメトロノームが大きくずれる部分はありましたか?その部分が自分が一番苦手とする部分かもしれません。では自分の癖が見つかったところで、下の順番でリズム感の矯正をしてゆくことにしましょう。

1 2等分する

2 3等分する

3 運動として理解する(シンコペーション)

4 言葉として理解する(民族性とかジャズの語法とか)

5 5等分する・組み合わせ・応用


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