2等分する


 ではまず正確に2等分する練習から始めます。エアロビクスのヴィデオなどを見たことはありますか?見たことのある人は、「1&2&3&4&」と数えながら、運動しているのを知っていると思います。まず、このように拍の裏拍(&「アン」)を感じ取ることが、先決です。「1&2&3&4&」と唱えながら、歩いてみましょう。それができたら次に「&」のタイミングで、膝をカクっと折ってみましょう。膝で「裏拍」を捉えることができましたか?ジャズでは特にこの裏拍を意識するということは、大変大切です。そしてこの拍の上に強拍が来ます。ウイントン・マルサリスのレッスンヴィデオに、彼が鶏の歩く真似をしている部分がありますが、彼はこれを「チキンウォーク」と呼んでいました。ニワトリは、表の拍で足を踏み出し、裏の拍で頭を前に突きだして歩きます。これが、ジャズのオフビートの感覚に良く似ているのです。
 もちろん、クラシック音楽を演奏するときにも、この「裏拍」を捉えることは大切です。ジャズの場合と違うのは、裏拍は弱拍であることです。静かに、しかし、正確に、2等分しましょう。
 さて次に、その拍の感覚通りに、自分の身体(この場合は舌)が動いているかどうかをチェックします。いくら脳が正確に動く命令を出したとしても、身体がその命令をちゃんと実行できないと、リズム正しく演奏する事はできません。クラシック音楽の基礎としては、表の拍のシラブルと裏拍のシラブルが、全く同じになるように演奏できなくてはいけません。tu tu と同じシラブルがきちんと並べられる能力を養いましょう。思い通りに舌を動かす為には、舌に無駄な力が入らないように気を付けて下さい。舌と同時に顎が動いてはいけません。舌の脱力が肝心です。大きさは表の拍の方が少し大きくなります。では、次の譜例をこれまでの文章を参考に練習してみましょう。

譜例1

譜例2

譜例3

譜例4

 譜例1〜4はそれぞれ1拍目〜4拍目に8分音符が2つ並んでいます。日本人の傾向としては、後ろの8分音符が少し早くなる人が多いようです。正確に2等分できているか、録音をして確かめることも必要かもしれません。自覚することから、全ての上達は始まるのです。

 さて、身体や感覚が2等分に慣れるためには、この教材だけでは量的に不足です。副読本としてお勧めするのは、アーバン金管教本の1巻の19ページの28番から24ページの50番までですが、これでなければいけないということはありません。アーバン金管教本が比較的手に入れやすい教材であるというのがアーバンを選んだ一番大きな理由です。これ以外の教本の8分音符の練習の部分を使ってくれても良いと思います。

【付記】

 2等分することができるようになったら、付点音符の練習も引き続き行って下さい。2等分した内の一つを更に2等分してやります。私のレッスンでは、裏拍にメトロノームを鳴らしながら練習する方法を勧めています。アーバン金管教本では28ページの13番から30ページの18番までの練習曲になります。


2 3等分する

3 運動として理解する(シンコペーション)

4 言葉として理解する(民族性とかジャズの語法とか)

5 5等分する・組み合わせ・応用

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