【建築士定期講習テキスト2010】より抜粋
1) 職業倫理
建築士にとって職業倫理とは、
仕事を依頼した人のために誠実に常に最善の仕事をする心を持つ事、
同時に建築士として社会を裏切らない心を持つ事といえる。
2) 社会や環境を裏切らない心
建築が社会的な存在であると同時に、建築士もまた社会的な存在であり、
社会や環境を裏切らない心を持たなければならない。
法や社会的制度を超えた道義的な責任、職業人としての責任、
それ以前の人としての責任なども合わせて負えるような心を持つ事である。
3) 倫理観は仕事の場で活かしてこそ
建築士が営利を目的とする企業体の一員として仕事をする場合、
企業体の利潤確保のための業務活動と
建築士個人の倫理観との間にしばしば不一致が生じると言われている。
依頼先の意のままに低層地域に超高層マンションを計画する、
仕事を確保するために常識を越えた低価格入札をする、
などの自らの倫理観に照らして疑問の残る業務活動も少なくない。
4) 倫理観を備えた建築士の証明
依頼者に倫理観を持つ建築士である事の意思表示をすべきである。
@自分たちの仕事が依頼者に感謝されていてその後も継続的に手を入れる度に相談に応じている事、
A周辺の人たちにも好意を持って迎えられているなどの実績、
B倫理要項を持つ団体に所属している事、などで証明していくべきである。
さらに、C災害時の応急危険度判定やD普段の住宅相談や
E子どもたちへの住教育への協力などの社会に貢献する活動は、
職能を持つ専門家の仕事に対する姿勢の現れであり、
このような地道な活動の実績を示して、倫理観を持つ建築士としての意思表明をすべきと考える。 |