●第17
号 1998年(平成10年)5月発行

これからの財政運営の あり方を質す!!
市民クラブを代表し代表質問

 
平成10年第1回定例議会は、平成10年3月2日から3月27日まで26日間の会期で開催された。山下議員は、平成10年度の市長の予算編成に対して市民クラブを代表して厳しい財政状況を踏まえ財政問題を中心に「代表質問」をすると共に、予算委員会に出席し連日市長を初め教育長、部課長に対し、教育、福祉、環境等個別的に質問をした。

  平成10年度予算は、一般会計、544億8千万円で対前年度比2・6%増、平成7年度より3年連続して減額予算を組んできた本市にとって4年ぶりに増額予算となりました。その要因として、民生費の伸び、公園用地の取得、日の出町二ツ塚ごみ最終処分場建設などがありますが、特に民生費は対前年度比10・5%、金額にして15億8千6百万円の伸びとなり総額167億4千2百8万円、実に予算総額の30・7%を占めるまでになりました。民生費の大幅な伸びは、武蔵野市の福祉施策の充実を示すものであり、今年度の予算の大きな特徴といえます。また、税収が伸び悩む中、農水省跡地淑得や、三鷹・立川間の連続立体交差化事業など大型事業が控えており、「新世紀委員会」、「福祉の総合条例」、「環境基本条例」などは今後を見据え、飛躍するための準備段階の予算といえます。
  また、人件費の伸びを0・3%に抑制したことや物件費の抑制等経常経費の徹底した削減の後がうかがわれる予算だといえます。
  なお、特別減税の本市への影響額は、4億7千万円の減額を見込んでいます。

  山下議員は、このようなことを踏まえ、市民クラブを代表し土屋市長に対し代表質問を行いました。主な質問の内容は次の通りです。
(1)本市の地域経済の景気の動向を どのように認識しているのか。
(2)市税の構成比率が、個人市民税の減少、固定資産税の増加と変化してきている。今後の 推移はどのように見ているのか。
(3)人件費削減計画では、平成12年度までに108名の削減を目標にしているが達成できるのか。
(4)公債費の急激な増加を抑制するために、ガイドラインを設けるとのことだが現在どのようになっているのか。
(5)右肩上がりの時代が終わった現在、財務内容のアカンタビリテイ(注)を高める意味でも、財政運営に市独自の物差しが必要と思うが。
(6)今までも市としては環境問題に 積極的に取り組んできたが、環境問題は更に重要になる。環境基本条例に取り組む姿勢は。
(7)中学生の事件が相次ぐ中、子供たちの状況、変化の認識と、今後の対策は。
など、市長の現在の地域経済に対する認識を初め、今後予測される財政上の大きな問題点を中心に鋭く指摘をしました。そのほか、環境問題、教育問題など大局的な観点から、平成10年度の予算に対し質問をしました。

  また、3月17日から23日にかけて開催された予算委員会にも市民クラブを代表して参加。先の代表質問を踏まえ、市長、教育長を初め各部課長に対し、連日平成10年度予算案について、鋭く問題点を指摘すると共に、市民の皆様からの情報、疑問をまじえ質問、要望をいたしました。

注)アカンタビリティ(accountability):行政機関または公務員個人が自らの行った判断や行為に関して、国民が納得しうるよう説明しうること。説明責任。


1位高齢者対策! 2位廃棄物対策! 3位行政改革の推進!

 監査委員を昨年3月に終わり、市民クラブを代表して、予算委員会に出席した山下議員に平成10年度の予算についてお聞きいたしました。

i今回の3月議会は大忙しでしたね

山下議員 いつも3月議会は忙しいのですが、特に今回は、総務委員長として委員会運営のほかに、「代表質問」、「予算委員会」への出席、予算の討論と市民クラブを代表しての役割が重なりましたからね。いずれも監査委員の時はできませんでしたから。

さて、今回の予算についてお聞きいたしますが、今回は平成9年度版市政アンケー卜の「市政の中で重点的に進めてほしいこと」という市民の要望に沿っていくつかお聞きいたしたいと思います。


今年も着実に前進、高齢者施設

今年もトップは高齢者福祉でした。ここ数年高齢者福祉の充実のために次々と施設がオープンしておりますが、今年はいかがですか


山下議員 日本全体が急速に高齢社会に向かっている中、本市の高齢化率は15.61%で三多摩でもトップです。それに備えて、施設の充実、また、ソフトの部分でも日本でもトップクラスの高齢者施策を行っているのはご存知でしょうが、将来を見据えれば充分とは申せません。今年もいくつかの施設のために予算が計上されております。一つは、民間の法人が関前2丁目に建設する特養「武蔵館」に対し補助を出します。特養30床、ショートステイ3床、高齢者デイサービスセンターが確保されます。(H11年2月利用開始)。また、日の出町に他の民間の社会福祉法人が増築する特養「清快園」に対し補助を出し5ベッドを確保します(平成11年4月利用開始)。

着々と整備されているわけですね。ところで介護保険がいよいよ2000年から導入が決まりましたが、土屋市長は問題ありと意見を厚生省に対し申しておりましたがいかがですか。

山下議員 そうですね。市長が、平成8年の9月より、実際に執行する市長の立場から、この制度の欠陥について盛んに発言をしていたのは皆さんもご存知のことと思います。最初は、「何を言っている」と言われていた意見が、最後は、マスコミまで含めてこの欠陥に気がつき、市長の言っていたことが正しいことがはっきりいたしました。国会のこの法案の議決に関し信じられないような付帯決議がついたことでもそのことは明らかです。しかし、今後は実際の施行に際してよりよい制度になるように国へのはたらきかけは続けるとしても、武蔵野市としても導入に向けて介護保険事業計画策定の予算がついています。また、特に心配なのは、今までの武蔵野市では、市独自のきめ細かな対策を取ってきていますので、介護保険導入によってそのきめ細やかさが失われる可能性が考えられます。それらを踏まえ土屋市長は、意見を述べ続けてきたわけですが、そのために福祉に総合的に取り組み、介護保険の欠点を補い今までの福祉を後退させないために、「福祉の総合条例」の策定も始まります。いずれにしても、今まで培ってきた武蔵野の高齢者福祉を更に発展させるためにも、欠点を知っている者の強みを生かして、介護保険の導入後も心の通う福祉を続けていかねばならないと思います。


資源循環型社会を目指して

次に第2位の廃棄物対策(34・5%)についてお聞きいたしたいと思いますか

山下議員 ここで言う廃棄物対策は市としては、ごみの減量・リサイクルを想定しておりますが、第5位の環境問題(19・5%)とあわせて考えてみたいと思います。
  廃棄物対策は、年々要望が高まってきております。昨年は、減量・資源化のために事業系ごみの有料化の実施と 「資源ごみの日」 の設置と空缶の分別収集など実施されました。 おかげさまで、市民の皆様の協力を得て着実にその効果は出ているようです。
  さて、本年度の予算を見てみますと、私も前回の選挙で公約しておりましたが 「容器包装リサイクル法」 の対応を目的とした「リサイクルセンター」の設置検討が始まります。また、更に厳しくなるダイオキシン規制に対し、「ダイオキシン類削減対策施設整備費」が予算化されております。
  また、これからの時代の最も大きな問題は環境問題です。いかに負荷をかけずに限られた資源を有効に使い地球環境も守っていくのか。いわゆる資源循環型社会を目指し、廃棄物対策や、エネルギー問題、水循環等々総合的に取り組んでいかねばなりません。そのような観点から市民、企業、市が行うべき具体的な計画の策定が始まります。あわせて、「環境基本条例」の制定が予定されております。


行財政改革は

次に第3位(25・2%) になりました「行財政改革の堆進」についてお聞きしたいと思います。山下議員は行政改革については今までも熱心に取り組んできたと思いますが、第3位にランクされたことについてはいかがお思いですか。


山下議員 私も10年前まで所属しておりました青年会議所で、当時いわゆる4000万円退職金問題に取り組んでおりました。その後、議員定数の削減運動(昭和62年36名から30名に削減)に公聴会で発言するなど関わってきました。あのころは、このような財政状況ではありませんでしたが、行政の無駄を省き、効率的な行政運営は当然のことと考えておりました。市民の方が行財政改革に関心をお寄せになるのは当然のことと思います。私も市議会議員になってから福祉、環境、教育等、様々な問題に取り組んでおりますが、行財政改革は私の大きなテーマです。

今年の予算は、経常経費の見直しがされていると評価しておりましたが。

山下議員 そうです。今回の予算の特徴の一つにこの経費の見直しを私もあげました。9年度と比べ、例えば人件費は14人を削減し、0・3%の増加に抑制、消耗品は11%、食糧費15%削減。財政援助団体に対する補助制度のあり方を見直すなど予算書の中に随所に見られます。また、3月議会では、職員の特殊勤務手当てを大幅に削減する条例改正をするなど行財政改革に取り組んでいるといえます。また、昨年12月議会で質問した「内部統合情報システム」もいよいよ稼動します(6面参照)
 今回の予算委員会で質問して明らかになった中にごみ収集の問題があります。コスト面を考えごみ収集の民間委託化など取り組むべき課題はたくさんあります。また、議会側としても議員定数の見直しなど議会の改革も求められてきますね。
  税収がどんどん上がって来るような時代にはなかなか経費の削減などということはしづらいものです。今がいい機会だと思いますので、私も更にチェックをしていきます 。

アンケー卜の上位3位まで見てきましたが、市民要望がしっかりと取り入れられているのが分かりました。

山下議員 市民の要望をしっかりと受け止めて市政を行うことが大事ですね。皆さんも市政アンケー卜などでどしどしご意見をお寄せくださることが大切だと思います。

さて、その他に注目している施策についてはいかがですか。

山下議員 新世紀に備え、少子化、高齢対策、環境対策等様々な問題に取り組む「新世紀委員会」が設置されます。これから我々が取り組むべき課題についての議論をする場になると思いますので内容については大いに注目しております。
  その他、これからの街づくりに必要な「都市マスタープラン」の作成(後援会だより16号参照)、桜堤に建設が決定した「美術館基本案策定委員会」や「女性ネットワークセンター」の設置等が予定されています。


子育て支援、教育は

子ども関連の施策はいかがですか。


山下議員 中学生を中心とした子どもたちの健全育成が大きな問題になっております。
 
子どもたちが集団で自然の中で学び、生活をする体験学習の場としての「セカンドスク−ル」はさらに拡充されます。私も一昨年2校の現場に行ってきましたが、大変効果があるということを実感しました。今回の予算委員会では、そのことに基づき、教科の内容や職員体制、場所等について問題点を指摘し改善の要望をしました。また、全児童(0〜18歳末満)を対象とした「地域児童育成基本計画」の策定も始まります。さらに、子育て支援施設として評判になっている「0123吉祥寺」 ですが、いよいよ2番目が「0123はらっぱ」という名称で中央公園のわきにできます(11年度開園)。私も中部、西部地区にも、と主張してまいりましたが、子育てをしている皆さんが園に集い、広々とした中央公園で遊ぶ、夢の広がる施策が実現します。


安全な水と豊かな緑

「水と緑」についてはいかがですか

山下議員 緑化関係では、平成4年12月議会の一般質問(後援会だより5号参照)で桜堤、境、境南地区を流れる仙川の親水公園、緑道としての整備を訴えましたが、いよいよ「仙川水辺環境整備事業」としてスタートします。また、今年も関前に「市民の森」、「本田南」の公園用地購入などが計画されています。
  安全な水の供給は私の一貫したテーマですが、いくつか新しい施策が盛り込まれました。「赤水対策」として、除鉄、除マンガン装置の設置に向けた準備が始まります。また、水圧不足地域解消のための管網整備として「最適管網計画の立案」が予定されています。その他、受水槽を少しでもなくすために「3階までの給水直結と中高層建物に対する給水システムの研究」が始まります 。

最後に農水省跡地の利用に関して、山下議員も委員会のメンバーとして参加していましたね。いよいよ一歩踏み出しましたね。

山下議員 農水省跡地は、30年前から国に対し払い下げを要望してまいりました。昨年9月から議会でも特別委員会を設置し検討を重ねてまいりましたが、過去の経過、駅前の一等地でもう二度と取得できない場所であること。緑の少ない境南地区の公園の必要性等を検討しました。また、財政的な面でも検討を重ね行政側の答弁などを鑑み、3月に取得すべしとの結論を出し市長に答申いたしました。利用に関しては、半分を緑豊かな公園、残りに関しては、図書館や青少年施設、ふれあいセンター等21世紀を見据えた施設の案が出ています。しかし、財政的な面、利用の形態についてなど、なお一層慎重に検討するため、今後も特別委員会を継続して設置することにいたしました。

今日はありがとうございました。今年も様々な施策が着実に実施されるのですね。特に今回は、市政アンケー卜に基づいた施策を中心に取り上げてみました。今年一年またがんばってください。



12月議会から

 昨年12月議会で山下議員は、9月議会に引き続き一般質問を行った。今回のテーマは、これからの行政に求められる情報化の問題と行政の効率化、透明性確保のために企業会計制度の研究を始める必要性についてで山下議員の質問の要旨は次の通り。

ホームページについて

山下議員 11月3日、市政施行50周年記念式典に合わせ本市もホームページを開設しました。
  この新しいメディアは、従来のメディアと違って、双方向性やアクセスする人の体制さえ整えば、いつでも、どこでも24時間、市の情報を得ることができる等、速報性の面、容易にビジュアル化が図れる点などが大きな特徴であると思います。
  私も実際に見てみましたが、他市のと比べて、内容的には、この新しいメディアの特徴を生かしておらず、何をどう伝えていこうとしているのかというコンセプトが感じられません。このメディアを使って従釆とは違った情報をもっと発信できると思うが、今後どのように進めていくつもりなのか 。

土屋市長 情報というものは、広く一般的に周知していくと共に一斉に伝わらなくてはいけない。そういった意味でインターネットはまだ十分に普及していないメディアである。したがって、情報の偏在が無いように、権利性のない公知の事実を提供していきたい。


庁内電子ネットワーク化について

山下議員 民間では情報処理、収集、発信等を電子ネットワークの構築によって推進しており、自治体の業務よりはるかに速い速度で情報の処理、管理を行っています。武蔵野市も14年前にいち早くコンピューターを導入しましたが最近では武蔵野市は遅れているなどとの意見を聞きます。この導入は、ただ単に費用対効果や、書類が減るといったような効果だけでなく、単純作業からの解放、迅速な事務処理、情報の共有化等による職員の業務の質的変換により、スピーディな住民サービスや、効率的な行政運営などの効果が期待されます。このことは、情報公開や地方分権時代を迎える中でますます重要になると思います。これらの導入にあたっては、トップの意識が大変大事だと思いますが市長はどのように考えていますか。また、このシステム導入のイニシャルコストとランニングコストは。

土屋市長 平成10年度には導入に関し一定の方向を出していきたい。LANを敷設してパソコンを庁内に約百台設置し、そのコストは、5年リースで初年度は約三千九百万円、翌年度から二千四百万円かかる。本格的な導入にはまだリスクを伴うので、民間企業で普及し開発されてから取り入れたいと思う。


企業会計導入の研究について(参考:新聞記事 会報関連記事

山下議員 最近、地方自治体に企業会計と同じ複式簿記の考えを取り入れて、財政状況をより明確にしようとする研究に取り組んでいる自治体が出てきております。その導入の効果としては、従来の単式簿記による公会計では分からない現在の資産、ストックの状況等がはっきりしてくる点はもちろん民間と同じ方式を使ぅことによって官民のコスト比較が容易に出来るため、効率をチェックすることができるなどが考えられます。これからの自治体経営の効率化透明性を高める意味でも大きな力となると思います。この研究を進めている藤沢市の課長の話を聞く機会がありましたが、彼は、「財務諸表を作ったことによって、資産形成の過程をどう捉えるかということであり、藤沢市の2千6百億円の起債発行残高に対する考えが固まった」などとその効果を上げておりました。まだ研究段階だが本市も研究する必要があると思いますが 。

土屋市長 興味はあるが、今あるものについて、庁内で財政コストをどうやって出すべきかを議論している。


  今回の3つの質問は、これからの行政経営を考えた時、今後重要になると思われる点について質問をしました。持に自治体経営の効率化、情報公開はこれからの流れであり、来るべき地方分権においてもますますこれらの点は求められて来ると思います。「今日のリ−ディングシティは必ずしも明日のり−ディングシティではない」という意味で、今後も新しい課題にっいて更に研究をしていきたいと思います。



編集後記

・年々山下議員が忙しくなっていると感じていましたが、特に3月議会は、代表質問や総務委員会、予算特別委員会、農水省跡地利用検討特別委員会と会議が目白押し。山下議員の議会での役割が重くなっていることを実感。
・ところで今回は恒例の予算特集。こでは市政アンケー卜の市民要望がどのように予算に反映されているかという視点を入れてみました。初めての試みでしたが、いかがでしたでしょうか。
・6月11日にはご案内のように山下議員の総会及び懇親会が開かれます。ぜひお誘いあわせのうえご参加くださいます様お願いいたします。




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