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 今月のケーススタディ

2001,8  
 

新幹線でのこまったさんにひとこと −話すべきときに話すコツの応用

 仕事で東京に行き、最終の新幹線に乗りました。
三人がけの窓側の席に座れました。 通路側の席には、キャリアウーマンが座りました。
出発まぎわに乗り込んできた、体の大きな30歳前後のビジネスマンが、真中の席に、どさり、と座りました。
ずいぶんお酒を飲んできたようで、強面(こわもて)の顔は真っ赤。すでに半眼になっています。

新幹線が発車すると、困ったことがおきました。
強面のビジネスマン氏が居眠りをはじめたのですが、これがどうにも迷惑なのです。
通路側のキャリアウーマンと、窓側の私との間を、大きな振り子のようにゆれ 、 ひっきりなしに、「ゲェーップ、ウェーップ」とげっぷを連発。
20分ほど我慢したところで、キャリアウーマンが 「もう!」と、憤然と席を立ち、去っていきました。

しかし、ビジネスマン氏のげっぷは止まりません。
さて、わたしはどうしよう。 いろんな選択ができると思いました。
1.このまま、ずっと黙って我慢する。
2.通路側の彼女のように、自分が席を立つ
3.彼が行動を変えるように、何か言ってみる

1.このまま、ずっと黙って我慢する。
  もう十分我慢はしてみたな、と思いました。 でも、イヤな気持ちはなくならないし、ますます大きくなっていく。
  万が一、吐かれでもしたら大変なことになってしまうし。

2.通路側の彼女のように、自分が席を立つ
  金曜の夜なので、車内は満員。 立っている人も多く、とてもこれから別の席に座ることなどできそうもありません。
  わたしは疲れていたので、それはいやだ、と思いました。
  元気なときや、他が空いているときは、これをとるかもしれないけどね。

3.ビジネスマン氏が行動を変えるように、何か言ってみる
  これやってみよう。 うまくいけばラッキーだし、だめなら席を立てばいいや。
  ただし、逆上させて殴られたりしてはかなわないので、 相手が行動を変えやすい言い方をしたいと考えました。

このときに役に立ったのが、話すべきときに話すコツ、主語を「わたし」にした「わたしメッセージ」です。

「あの〜、大丈夫ですか?」
「あぁ?」(じろりとこちらを見ました)
「ずっとげっぷをなさっているんで、(1.相手の行動を、非難がましくなく具体的に)
 吐かれるんじゃないかと思って (2.自分への影響を、具体的に)
 心配なんです。(3.自分への影響に対する感情を、率直に)
と伝えました。すると彼は、
「あっ、だいじょーぶれす、だいじょーぶれす」
と言うと、ぴたり、と止まって眠り込み、その後下車するまでの1時間半、微動だにしませんでした。

魔法みたい!と、わたしメッセージの威力にびっくり。
そして、勇気を出して状況を変えた自分にも大満足でした。

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2001 Yuko Sakakura ; Communication House