●第5
号 1993年(平成5年)2月発行

緑豊かな武蔵野市をいつまでも
これからの緑化政策について一般質問
−緑化条例の制定を−

 
11月16日から33日間の会期で平成4年第4回定例議会が行われた。16日の本会議で山下議員は、「これからの緑化政策」のテーマで一般質問を行った。
  民有地の保護・育成のためにも一日も早い緑化条例の制定を求め、土屋市長の積極的な答弁を得た。
  武蔵野市における緑の保護育成についての取り組みは、ここ20数年の間、市政の主要な柱の一つとして、市民と行政が一体となって発展させる事に力を注いできました。その結果、公園の総面積、設置箇所は増加。しかし、緑被率は減少傾向にあります。
  その要因は、住宅の建て替え、相続などに伴う譲渡宅地の細分化などで民有地の緑が減っているためです。 現在、武蔵野市の民有地における緑は、敷地面積1、000u以上については 「宅地開発指導要綱」 によって緑化が義務づけられていますが、それ以下の敷地については緑化基準が示されていません。これに対し、都内23区の新宿区、文京区、杉並区など幾つかの区では、民有地の敷地面積200〜300u以上に対して独自の緑化基準を設け、民有地の緑の確保に努めています。その結果、例えば文京区では、制定後10年間、16.8%の緑被率を維持しています。新宿区ではさらに屋上緑化、壁面緑化の技術指針をつくり緑化に努め、現在17%の緑被率を20%にしようとしています。

  山下議員はこのような状況下で、緑豊かな武蔵野市をいつまでも守る立場から、次のような一般質問をしました。

(1) 民有地の緑を守るために市独自の緑化条例の制定を。
(2) 特に吉祥寺地区において有効と思われる屋上、壁面緑化の推進を。
(3) 生け垣は公共の緑であるとの観点から、生け垣の新設の際の、補助金だけでなく、維持管理に対する助成を厚く。また、植木屋さんのあっせん、紹介を積極的に。剪定教室の開催などの施策を。
(4) 仙川を小金井、三鷹両市と共通のコンセプトで親水公園、緑道としての整備を

  これに対し土屋市長から、
(1) 「条例」がよいのか「要綱」がよいのか、第三期長期計画で制定を提案し、検討する。
(2) 技術との兼ね合いもあるが、よく検討したい。
(3) 積極的に進めていきたい。
(4) 三市で研究し、行っていきたい。
との前向きの答弁がありました。

  山下議員は、緑化条例の設置などの施策を早期に実現するように強く要望して、質問を終わりました。


21世紀の扉は今開かれる
子ども・高齢者対策は、環境問題は・・・・

 武蔵野市の二十一世紀への羅針盤、第三期基本構想の審査始まる。山下議員は、同審査特別委員会副委員長として活躍。基本構想・長期計画の概要、重要な施策について聞きました。

基本構想・長期計画とはどのようなものですか。

山下議員 民間企業では常に将来を見通して投資計画、商品開発や販売計画など立て、むだのない経営を図っています。市町村も同じように、将来の社会の変化や、財政見通しなどを予測し、長期的な視野に立って基本的な考えを「基本構想」 で示し、それに沿って「長期計画」を立て、数々の施策を実施しています。

具体的にはどのようなことですか。

山下議員 例えば、最近出来た施設、総合体育館、保健センター、0123吉祥寺、四中体育館・温水プール、あるいは現在建築中の高齢者総合センター、吉祥寺ナーシングホームなども第二期基本構想に基づく、第二期長期計画・第二次調整計画に沿って実施されているのです。このような「ものづくり」だけでなく「しくみづくり」としての、情報公開と市民参加の拡充、緑化と公園整備、福祉制度の展開、全児童対策の推進等も同じです。

期間は何年間なのですか。

山下議員 平成5年度から平成16年度までの12年間です。前期6年間は実行計画、後期6年間を展望計画と位置づけています。さらに、ローリング・スケジュールと呼んでいますが、市長選挙の結果を踏まえ、また情勢の変化に対応するために、4年ごとに調整計画を立てながら進めていきます。
  今回の基本構想を審査するにあたって、私も前2回の基本構想・長期計画を読みましたが、行政需要の広がり等もあると思いますが、大変多岐にわたってよく書き込んであるとの印象を受けました。
  私も議員一期目に12年に一度の大事な計画の審査に委員として加われることは、本当に幸運だと思っています。

今回の基本構想で特に関心があり、今後取り組もうと思うものを三つだけ挙げて下さい。

山下議員 高齢者対策、環境問題、子どもに関する施策です。

まず、これからの高齢者対策は。

山下議員 これまでの高齢者福祉の充実はもちろんですが、元気なお年寄りはいつまでも社会の一員として仕事、ボランティア、趣味などを通じ活躍できる場所、機会の提供をつくっていこうという姿勢が、今度の基本構想の大きな柱になっています。

山下さんも選挙公約で「生き生きした高齢化社会−高齢者の方の出番です」として、高齢者の方の知識経験を社会の財産と位置づけることを提案いたしましたが、まさにその実現に向かって動き出したと言えますね。

山下議員 そうですね。具体的には、高齢者総合センター(旧福祉会館) 中心にさまざまな施策の展開、高齢者用住宅の確保、吉祥寺ナーシングホームと同種施設を東部、西部地区にも設置の検討、就労機会提供のシステムの整備などが挙げられています。

環境問題についてはいかがですか。

山下議員 物質的な豊かさと、便利な市民生活の実現の対極には、常に環境破壊が存在しています。一人ひとりが真剣にこの問題に取り組まねばなりません。長期計画のなかには、事業系ゴミの減量対策、最終処理の研究やクリーンセンターの建て替えなどが計画されています。また、リサイクルセンターの設置やデポジツト制の導入、コンポストの普及、過剰包装の廃止など消費者、企業を巻き込んでのごみの減量化とリサイクルを推進し、省資源・循環型社会の実現を目指しています。

「緑と水」についてはどうですか。

山下議員 「緑」 については、「大木2000計画」 の推進、学校を「地域の森」 にする計画、「森の番人」 の設置、境浄水場の公園化の要請などです。また、「水」 については、水源用井戸などの機能と、水質監視体制の強化、節水型都市構造への転換、水質の向上策の検討などが計画されています。環境対策については、特に広域的な協力が必要です。

子どもに対する施策はいかがですか。

山下議員 今の子どもたちを見ていると、自然体験が乏しく、地域での人間関係も稀薄になっているのが一つの特徴ではないでしょうか。
  今回の基本構想でも野外活動を通して、自主性のある、たくましい子どもの育成を目指しています。また、地域での遊びや異年齢・異世代交流の「場」と「しくみ」づくりを積極的に進める、となっています。長期計画では地域における子どもたちの育成活動の基盤整備、子どもセンターの設置、地域リーダーの養成、学校施設開放の推進などが計画されています。また、学校教育ではセカンドスクールの実施、国際理解へ向けての施策の実施などが計画されています。

ところで学童クラブはどうなるのですか。


学童保育問題は正確な情報と冷静な判断で

山下議員 「保育園父母の会」名などの年賀状で、「第三期基本構想・長期計画」に関する意見が寄せられました。その中で、共通しているのは 「学童クラブをなくさないで」というものでした。

◎長期計画では
  学童クラブの件に関しては、長期計画中の「教育・文化・コミュニティ」項目の中に「学童保育のあり方の検討」として 「従来、学童保育はいわゆるカギツ子の放課後対策として生まれてきたものを、保育措置の延長線上でとらえてきていた。しかし、親の就業形態や子どもの下校後の過ごし方が多様化し、一律に保育措置の枠組みでは囲いきれない側面もでてきているため、全児童対策の視点から制度の見直しが必要になってきている。将来的には、保育の機能を残しながら、全児童を対象としたものに、発展的に改組していくことを検討する」と記載されています。

◎土屋市長の答弁から
  また、土屋市長も議員の質問に答え、「学童保育事業の機能として、子どもたちを保護する面と子どもたちの可能性をのばす社会教育的な面と二つの面があるが、保護は要らないといったことはない。また、問題は学童保育の中だけに閉じこもっているのではなく、例えば、学童保育に行っている子どもが学童保育室の中だけで生活をしないで、そこから開放されている校庭に行ったり、あるいは図書館などが開放されたら図書館などに行ったり、多様な展開を大いにやって、もっといろいろな交流を通じ地域に子ども社会をつくるように、全児童対策の中で総合的に進めていきます」と述べています。

これらのことをふまえ、山下さんはどう考えますか。

山下議員 長期計画の記載事項や、土屋市長の答弁などから、私は、市の方針は、すべての子どもたちが安全に生き生きとして、放課後の活動ができるような制度をつくることだと思います。
  例えば、これから先、女性の社会進出、学校週五日制の導入などにより、親と子どもたちの生活形態も変化していくでしょう。そのときに、親も安心して、地域に子どもたちをゆだね、子どもたちの健全育成が図られるような「しくみ」ができたとき、初めて学童保育を吸収していくべきだと思います。しかも、それはすべての子どもにとって、今の学童保育制度より良くなくてはいけません。今回の長期計画は、「武蔵野市地域児童対策検討委員会報告書」などを参考にして、その「しくみ」をつくっていこうとするものです。

一部で、でまわっているビラの内容とは違いますね。

山下議員 そうですね。事実を歪める情報操作に、振り向されないでください。私も、2月7日には三鷹駅北口で、学童クラブの親子が、学童保育廃止反対の署名運動をしているのを見ました。また、六年生の女の子を持つ父親から、「娘が、あるコミセンに行った時、学童保育廃止反対の親から署名をさせられた」との苦情が、寄せられました。
  私はどんな団体、どんな運動でも市民の運動を否定するつもりはありません。しかし今回の学童保育廃止反対運動のように、情報を歪めて伝え、しかも子を思う親の気持ちを無視して不安をあおるような運動には憤りを感じます。
  今後も、子どもたちにとって、また親たちにとって何が必要で、何が大切かという視点を忘れずに、子どもに関する施策に取り組んでいきたいと思います。

紙面も尽きてきましたが。

山下議員 そのほか、役所の機構のあり方、情報伝達の方法など、さまざまな課題があります。第三期基本構想が三月議会で議決されると、長期計画など一連のものは、三月末に市報の特集号として、また、四月には冊子となって市政センターやコミセンなどで配布の予定です。21世紀に向かって扉は今、開かれました。ぜひ読んでいただき、ご意見をお寄せくださればと思います。



編集後記

・8万字におよぶ、第三期基本構想・長期計画。限られた紙面ゆえ、充分ご紹介出来ず残念。
・先日、山下議員は、五中地区恒例の「ナイトハイク」に参加。昨年の交通事故の影響もまったくなく、26kmを元気に完歩。
・大好評の「活動日誌」。当選直後に増して、昼夜、寒暖を問わず東奔西走。掲載項目を選択するのにうれしい悲鳴。




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