●箔とは?
箔とは、金・銀・プラチナ・アルミ等の金属を薄く延ばしたもので、美術、特に絵画用としては10000分の3ミリ程度まで薄くしたものが使われている。
古くから美術の分野では絵画・工芸など、箔を絵画表面に貼ったり、切断して文様を表現したりして、その華やかな美しさを生かしてきた。また、仏教伝来とともに仏画・仏像・仏具に多量に使われた。
また、一般的によく知られているものでは、漆の蒔絵とか、金屏風や絵画の背景にと様々に利用されている。しかし、「切箔・砂子・野毛」というものはほとんど一般の人には知られていないと思われます。
「切箔・砂子・野毛」を使った美術品というものは作品も割と少なく、優れたものは平安時代末期に限られる。代表的なものとしては、[三十六人集][源氏物語詞書][扇面古写経][平家納経]などが挙げられる。
金箔の作り方は、基本的には昔も現在も変わっていない。昔は、小さな金の延板を紙や皮の間にはさみ、二人の人間が交互に金づちなどで打ち延ばしていたが、現在では、機械の動力を使いピストン運動で、打つ回数を調節しながら延ばしてゆく。
日本の金箔は、ほかの国々と比較すると、かなり薄く作られながら穴もあかず、輝き、ねばりなどがすぐれている。これは、とくに箔を作る際の、箔打紙という和紙の働きによるものである。
日本の金箔が薄く、それていて輝き、ねばりなどにすぐれているのは、金をはさんで打つときの紙に特長があるからで、この紙の作り方は、それぞれの箔工房で工夫している。箔打ちに使う紙は、ほとんどが雁皮紙を使い、傷や漉きむらのないものを選んで、灰汁と柿渋などを調合した液に浸して作る。
こうして作られた箔打紙の間に金を入れ、打ち延ばすのだが、ある程度延ばすと箔を延ばす力を失うため、ほかの紙に移しかえてゆく。箔打紙は、できたての時点では箔を延ばす力も弱いが、ある程度使いこなすと、薄く輝きのある美しい金箔を作りだす。
この紙は、使いこみながら調合液につけ箔を作りだしてゆき、最後には箔を延ばす力を失ってゆくという、不思議な性質をもっている。そして使い終わった後は、金泥を包むのに使われたり、化粧の際の脂分を拭いたりするのに使われる。金箔の出来、不出来は、この紙の具合にかかわっているのである。
青金(金75%・銀25%)18K
水金・仏師箔(金50%・銀50%)
・銀
銀の表面に樹脂着色したもの(親和箔・虹彩箔など)
・プラチナ・パラジウム
・アルミ・銅・真鍮(いわゆる洋箔)
・縁付(ふちつき)
(穴などを繕ってあるので、立切よりも品質は上)
・4寸2分角(127mm) 銀・アルミ等
箔を画面に定着させるとき、とくに金箔のように極薄のものを操作することは大変むずかしいため、「箔をあかす」という作業が必要になる。「箔をあかす」とは、箔を箔紙にくっつけることで,箔を紙にあかすために油分を使うのであるが、この油は昔からくるみ油、椿油などが使用されていた。
画面にあかしした箔を接着させることを「箔押し」といいます。
もともと素材の違うもの(金属と絵の具と紙)を接着させるのですから、下地づくりが重要です。接着力を高めるために膠を数度ひいて乾かすことを繰り返す。これを捨膠という。実際の箔押しの作業は、画面に膠か礬水を塗り、下地の膠をもどし多少ねばつくような具合にしておき、片側から順々にあかし終わった金箔を置いてゆく。
切箔・野毛用の箔を作るために箔を切ります。とはいっても箔は金属ですので、ハサミなどの金属刃ではくっついてしまい切れません。そのため、鹿皮で作った箔盤の上で竹に刃をたてた竹刀(ちくとう)といわれるもので切ることになります。
画面に砂子や切箔を蒔いて装飾紙を作ります。
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