第10回 資料館でよみがえる、太古の三芳 

 発掘調査の現場では、いつも新たな発見があります。そして、調査で見つかった石器などの遺物(いぶつ)を元の形に復元する接合作業でもまた、様々な新しい発見があるのです。

接合作業でよみがえる石器作り
 石器は、多くの場合破片が散らばった状態で見つかります。それらを一点一点記録して取り上げ、室内で元の形に復元する接合作業を行います。そうして接合した石器を詳しく観察すると、旧石器時代の人々がただやみくもに石を割るのではなく、ひとつの石から多くの石器を作り出そうと、手順を考えて計画的に叩き割っていたことがわかります。まさに、当時の石器作りの様子がよみがえるのです。

資料館の展示をリニューアル!
 こうした調査成果をもとに、資料館では常設展示室の石器展示をリニューアルしました。今回紹介した、元の形に復元できるほど接合した石器のほか、県内最古の約3万5千年前の石器、時期ごとに移り変わる石器の形や種類、自然科学分析により判明した黒曜石の産地など、数多くの石器が見つかる三芳ならではの展示です。是非ご覧ください。


無数の石器が見つかった中東遺跡の発掘現場


室内での接合作業

   
作業の結果、元の形がわかるほど接合した石器(左47点・右18点接合)
  
~~~~~~~~~~ 深掘り解説 ~~~~~~~~~~


 第10回の記事にあわせて、令和2年度ミニ企画展『発掘現場のおしごと』を開催しました。使用したパネルをWEB展示しますので、どうぞご覧ください。



















 (『広報みよし』令和3年1月号掲載分を加筆修正)


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