第2回 かつて流れていた川のそばに広がる、中東遺跡 

 上富地区にある中東遺跡(なかひがしいせき)の近くには、若干窪んだ場所はあるものの、現在川の流れはありません。しかし、近年の調査により、その窪んだ場所が実は太古の昔流れていた川の跡であり、その近くに遺跡が残されていることが明らかになりました。中東遺跡の発見です。

 
中東遺跡と当時流れていた川

数多くの石器が出土

 かつて流れていた川のそばに広がる中東遺跡。最も注目すべきポイントは2つです。1つ目は、約3万3千年前~約1万7千年前の各地層から3,500点を超える石器が出土したこと。2つ目は、出土した石器が数多く接合したことです。

よみがえる当時の風景
 これまでの発掘調査により、当時の人々は約1万6千年もの長い間、何度もこの地を訪れては石器を作ったり狩りをしていたことがわかりました。かつては小川がせせらぎ、狩りの対象である獣たちも集まってくるこの場所は、暮らすのに最適な土地だったのです。
 なお、中東遺跡で発見された石器については、文化財保護課が発行している『みよし文化財だより』の令和2年3月号「黒曜石の石器が見つかった! Part.2」にて、写真とともに紹介しています。あわせてぜひご覧ください。


現地に設置した解説看板 
  
~~~~~~~~~~ 深掘り解説 ~~~~~~~~~~


注目を集める中東遺跡
 中東遺跡で出土した石器は、
①約3万3千年前~約1万7千年前の各層から石器が出土しており、時期による石器の大きさや形、作り方の移り変わりがわかる。
②石器を作る前の原石に近い形まで接合復元できるものが複数発見され、石器作りの技術がわかる。
③約3万3千年前の黒曜石製石器は、産地同定分析の結果、ほぼ全てが柏峠産であることが判明し、旧石器時代人の行動範囲がよくわかる。
という点が注目され、文化庁主催「発掘された日本列島2012」展に選ばれ、全国5カ所の博物館で巡回展示されました。三芳町を代表する、旧石器時代の遺跡のひとつです。
       
出土した石器(クリックすると大きな画像が表示されます) 

遺跡の解説看板はこちらにあります
 中東遺跡に設置している解説看板。町内には他にも、藤久保東遺跡(ふじくぼひがしいせき)、南止遺跡(みなしずいせき)に設置しています。どうぞご覧ください。

 

 (『広報みよし』令和2年5月号掲載分を加筆修正)


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