生活情報ページ(建物)-3


NO21 三井倉庫箱崎ビル(日本IBM) 2007.1.1

住所:  東京都中央区日本橋箱崎町19−21
設計施工: 竹中工務店

 仕事で箱崎によく行く機会があり、そのたびに墨田川沿いのIBMの前を通ります。
その建物は1989年に完成した25階建の巨大なオフィスです。東京のオフィスといっても巨大な敷地の中、高層棟、低層棟、住居棟が適度に配置され、水庭や本格的な平屋の茶室まであります。
 オフィス部分は一般の人は入れませんが、低層棟の店舗部分と敷地内部の水庭や隅田川沿いの親水公園までは誰でも入ることが出来ます。
 よく手入れされた緑と低層棟の間にゆったりとしたアプローチがあり、その先に高層棟のエントランスが配置されています。広場と庭園、水庭も見事でおそらくここの関係者達は都会にいながらも四季や自然を感じることが出来るのではないでしょうか。
 ビルの外装はPC版に打ち込んだ白系統の大判のタイルですが、これも年月を感じさせない独特の味があります。
 敷地の隅田川沿いの一角に明治15年日本銀行が創業された地という碑があります。箱崎という街はなかなか訪れる機会がないかもしれませんが、歩いてみると結構面白いところです。


NO22 国立新美術館 2007.3.1

住所:  東京都港区六本木7-22-2
設計: 黒川紀章

 2007年春にオープンした美術館です。
この建物を設計した黒川紀章は都知事選に立候補したことで有名になってしまいました。
 私的には松戸駅の近くにあったアーバンヒル(ショッピングモール)や乙女峠にあった変な形のドライブイン(私が見た頃はぼろぼろで営業していませんでした)等あまりぱっとしなくて取り壊された建物の印象もありよくわからない建築家でした。
 しかし雑誌でこの建物を見たときは圧巻でした。繊細なガラスのルーバーとうねったような曲線が印象的で、ぜひ見てみたいと感じました。

 実際の建物をみても外観はやはりすごかったです。アプローチで建物を見た瞬間に近未来的な印象と不思議な感じが、この美術館に入りたくなってしまいます。
 佐藤可士和氏のデザインしたロゴも、中に三ツ星のポール・ボキューズ氏のレストランがあるのも新しさを感じました。
建物の外観の力を改めて感じさせる美術館です。




NO23 東京都葛西臨海公園水族園 2007.5.1

住所:  東京都江戸川区臨海町6-2-2
設計: 谷口吉生

 ここは、東京近郊に住んでいる人には知名度のある観光施設です。しかし、この水族館がオープンした1989年の前はこの場所も荒涼としたなにもない場所だったようです。
 設計を行った谷口吉生はこの水族館をつくるにあたって2つのことを考えました。ひとつは海辺と水族館を密接に関連づけた施設にすること。もうひとつは、非日常性のある空間の演出を試みることです。

 実際に彼は建物全体を低く抑え、上部のガラスドームだけを周辺の景観の中に突出させ、水族館のシンボルにしました。ここに訪れた人がまず見えるのはこのドームです。
 しかし切符を買い、ゲートをくぐり、徐々に見えてくる東京湾と一体になった池やそこから見え隠れする、ヨットの帆のようなテントが海辺の楽しさと、景色の美しさを演出しています。
特にこの屋上広場の池の風景はガラスドームとも一体になり目を見張る美しさで、一度夕日が見えるころに行ったときには感動してしまいました。

 多分ここにかつての水族館のように建物をデザインしたものがあったらまったく別の景観になったと思われ、改めて建築の奥の深さを感じました。
 その後1995年には公園内に谷口吉生がデザインした、ガラス張りのレストハウスも完成し、さらに公園全体の景観もUPしました。
 地方から東京にこられる方には子供にも大人にもお勧めのスポットだと思います。




NO24 東京カテドラル聖マリア大聖堂 2007.7.1

住所:  東京都文京区関口3−16−5
設計: 丹下健三

 1964年に完成した丹下健三設計の教会です。場所柄、近所に住んでいない限り東京の人でも見る機会は少ないかもしれません。しかし、国立代々木競技場と同時期に建てられた丹下健三の代表作です。
目白通りからみた教会は銀色に輝き、40年前に建築された建物には見えません。独特のプロポーションとプランは完全な丹下さんの世界です。
教会内部もすばらしい空間です。壁面に挟まれた細い部分にステンドグラスが入れられ独特の光に満ちています。
私は個人的に、都庁や最近の新しい建物よりもこのころの丹下さんの設計の建物に非常に興味があります。わざわざ見学に行った香川県庁舎もすばらしいものでした。(少し前に老朽化のため新しい建物になってしまいました)
ぜひ多くの人にこの空間を感じてほしいと思います。




NO25 旧古河庭園 2007.9.1

住所:  東京都北区西ヶ原1−27−39
建物設計: ジョサイア・コンドル


 駒込駅から歩いて12分ほど歩いた場所に旧古河庭園はあります。
よくテレビドラマのお金持ちの家として、庭園から石造りの洋館を見た場面を見ることがあります。 石造りの洋館の設計は鹿鳴館やニコライ堂の設計を行ったジョサイア・コンドルが大正時代に手がけました。丘の上に洋館を建て、斜面に洋風庭園、低地に日本庭園を配置しています。
 建物よりも庭園が有名で、特にばらが咲くころは夜間にライトアップを行い開放しています。
庭園や建物を眺めていると、当時の財閥はお金も美意識もあったんだなーと深く感じました。
 そろそろ暑さも終わり、散策にもいい季節です。ここを訪れると時間もゆっくり過ぎていくように感じると思います。




NO26 国際子ども図書館 2007.11.1

住所:  東京都台東区上野公園12−49
建物設計(保存、再生): 安藤忠雄建築研究所+日建設計


 上野公園内にある子供図書館です。2002年にオープンしたのですが、建物は1906年に創建された帝国図書館でした。
様式的にはルネサンス様式になりますが、多々の経緯から口の字型構成の平面になる予定が1/4しか完成しないで現在までいたったようです。
 設計を行った安藤忠雄はガラスで古い外壁を覆うような形で再生を行いました。古いレンガの外壁をモダンなガラスで囲うことにより、以前外壁だった部分が内壁になり、独特の空間を造り出しています。
訪れた日が平日だったせいか、肝心の子供達もほとんどいなく、ちょっと寂しい印象でした。実際に図書館内部は子供の空間と考えるとちょっとハードに思えました。
 上野公園の奥にあり、それほど人通りのあるところではない分静かに過ごせると思います。中庭に面してモダンなカフェもあります。





NO27 ニコラスGハイエックセンター 2008.1.1

住所:  東京都中央区銀座7−9−18
建物設計: 坂茂建築設計


 私も知りませんでしたが、時計のスウォッチのグループは、オメガやプレゲなど多くの有名ブランドを傘下に持っているようです。
 そのグループが世界で初めてショールームを兼ねた本社ビルを銀座に建設することになり、坂茂建築設計が建築を手がけることになりました。
 完成した建物は銀座のメイン通りと裏のあずま通りに面した細長い敷地に建っています。 7つのブランドのショールームを配置するのに、1Fの一番いい場所に配置出来るのは一店しか面することが出来ない現況を独特の構造で解決しています。
 メインの中央通りとあずま通りの間を通り抜けられるパブリックな空間にしてそこに合計7つのガラス張りのショーケースのようなエレベーターを配置しています。そのエレベータ内部はそれぞれのブランドのショーケースが内部にあるのですが、ボタンを押すと別の階にあるそれぞれのショールームに直接いけるようになっているのです。
実際にこの建物は言葉で説明するのはむずかしいと思います。エレベーター以外にも車を地下駐車場に入れる工夫や上部の階の気持ちいい吹き抜け等見所が盛りだくさんです。

こんな建物が出来ることでますます銀座が面白くなっていくと思います。都会らしいセンスある建物です。





NO28 聖アンセルモ目黒カトリック教会 2008.3.1

住所:  東京都品川区大崎4−6−22
建物設計: アントニー・レーモンド

 設計者であるアントニー・レーモンドは、帝国ホテル建築のため、フランク・ロイド・ライトの補佐として来日します。「私は世界中で一番美しい国へ来たと思った。」と後に述懐していますが、ホテル竣工後もそのまま日本に留まり、1923年事務所を開設しました。

 聖アンセルモ教会は1956年に建てられます。外観はさほど目をひくものではありませんが、一歩中へ入った途端厳粛な空気につつまれます。コンクリート打放しのつくりで、雁行する折版壁の間に縦長のスリット状の開口部があり、祭壇の方に向いています。そして金箔を貼った十字架に光注がれ象徴的な輝きが増します。反対側2階席にはオルガンが据えられ両側からステンドグラスを通して光が入ります。
 モダンなつくりなのですが、ヨーロッパの昔からある教会のようにキリスト教の長い歴史を感じるのです。その要因のひとつは空間の残響時間の長さにあります。
 しばしば古楽の演奏をしていますが、特にアカペラの響きは素晴らしく一聴に値します。
数ある演奏会の折に訪れてみてはいかがでしょう。





NO29 ALLEY 2008.5.1

住所:  神奈川県鎌倉市七里ガ浜1−1−1
建物設計: 千葉学

 鎌倉の七里ガ浜の海沿いに完成したばかりの商業施設兼共同住宅です。
最近郊外に出来る商業施設は、どれも同じような全国区の店舗が入り、同じような建物になっていると思います。
湘南は独特の文化があり、住んでいる人も、訪れる人もその文化を楽しみ、誇りに思っています。そこに出来たALLEYにはやはり湘南らしさが感じられます。施設を分棟にし、その路地からの海の眺めは独特です。大小さまざまなお店や住宅が入っている形は建物というよりも、もっと風景や敷地のような感じです。
私が行った日は2階のレストランは長蛇の列で残念ながら入れませんでした。外からしか見ていませんが海が一望出来る感じのいいレストランでした。ぜひここからも海が見てみたいと思いました。




NO30 箱根プリンスホテル 2008.9.1

住所:  神奈川県足柄下郡箱根町元箱根144
建物設計: 村野藤吾

2008年8月号の住宅建築は村野藤吾の特集でした。また今年の10月26日まで松下電工汐留ミュージアムで村野の展覧会を行っているようです。今回はその村野藤吾の代表作の箱根プリンスホテルを紹介します。

 箱根プリンスホテルは完成して30年以上経っています。ちなみに設計者の村野藤吾が87歳のときの作品です。
私が最初にこのホテルを訪れたのは25年くらい前だと思います。それから箱根に行くたびに訪れるようになりました。(金額が高いので宿泊したことはまだありませんが)
いつ訪れても新鮮で感動があります。外観、内観とも独特の表情を持ち、それが少しも古さを感じさせません。
 天井の低いエントランスから高く吹抜けるロビー、低く抑えられた外観とその表情、リゾートホテルとしての華やかさ、熟成されたホテルとしての落ち着き、好きな部分を挙げるときりがありません。
 設計をし現場を監理していた村野が妥協しないで創り上げた成果が今も建物から伝わってきます。
 リゾート地にも新しいホテルがどんどん出来ますが、私の中ではこのホテルは特別です。


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