生活情報ページ(建物)-1


NO1 東京都庭園美術館 2003.9.1

住所:  東京都港区白金台5-21-9(目黒駅下車徒歩7分)
設計者: アンリ.ラパン(インテリアデザイン)、宮内省内匠寮工務課


 朝香宮邸として1933年につくられ、現在は美術館として運営されています。庭園美術館という名前から庭がメインのように聞こえますが、日本で現存する唯一のアールデコスタイルの住宅です。
 アールデコと聞いてもほとんどの人はあまりよくわからないかもしれません。詳しくは美術館で販売されているパンフレットや、本を参考にしてほしいと思いますが、とにかく行ってみる事をお勧めします。
 一番はじめに目に飛び込んでくるのはルネ.ラリックのガラス扉です。ガラスの美術館等で、ケースに入っているラリックと違い、建築の一部に大きく使用されています。
 それ以外にもフランスセーブル社製の香水塔、幾何学模様の大理石モザイクタイル、ギザギザ模様のガラスのシャンデリア等、すばらしい室内装飾をあげればきりがありません。ほとんどの照明や、ハンドル等はフランスから輸入した特注品で、部屋によって種類がみな違います。
 今現在は美術館として使用されていますが、建物だけでも十分見る価値のある建物だと思います。


NO2 猪熊邸 2003.11.1

住所:  東京都世田谷区成城5-12-19(成城学園前下車徒歩5分)
設計者: 吉田五十八(よしだいそやと読みます。)

 成城の住宅街にこの猪熊邸はあります。敷地は約500坪。昭和42年に建てられた茶室を含む和風住宅です。猪熊家から世田谷区に寄贈され、平成十年から一般公開されています。
 吉田五十八(父親が58歳の時の子であったためにつけられたらしい)という建築家は、日本建築の近代化をライフワークにした人です。
 難しいことは抜きにとにかく空間を見て下さい。庭とのつながり、坪庭のあり方、軒の低さ等和風住宅のすばらしさがよくわかると思います。
 鑑賞するときのポイントを一つ。普通の和風住宅と比べて五十八の空間はひじょうにすっきりしています。なぜか?
 一般の和風住宅は柱、鴨居、長押、天井見切りとかなり線が出てきます。五十八の空間はそれを整理し、出来るだけ線を消しているからです。
 和風住宅は興味がないという人もぜひこの住宅を見て下さい。きっとそのすばらしさがわかると思います。


NO3 前川邸 2004.1.1

住所:  東京都小金井市桜町3−7−1(江戸東京たてもの園内)武蔵小金井駅バス5分
設計者: 前川國男

 品川区上大崎に1942年に建てられた建築家の自邸を江戸東京たてもの園に移設し、展示してくれています。もちろん中にも入ることが出来ます。
 前川國男はフランスの建築家ル.コルビジェのところで修行した建築家です。その作品にはコルビジュのDNAが当然受け継がれています。シンプルな切妻屋根の内部には非常にゆたかな空間が広がり、モダンな水周りや、階段の削りだしたような手摺、居間の大きなドアのディテール等、その空間に教えてもらうことが多々あると思います。
 江戸東京建物園にはこの建物以外にも見ておくべきたてものがたくさんあります。一日いても楽しいところです。


NO4 スパイラル 2004.3.1

住所:  東京都港区南青山5-6-23
設計者:槇文彦

 表参道に近い、青山通り沿いに建つ、複合施設。株式会社ワコールの文化事業の拠点として、1985年10月にオープンしました。
 1階にカフェがあり、その奥にスパイラル上にスロープが上の階につながり、その一体の空間がギャラリーになっています。
 その空間もいいのですが、私の好きな空間はエントランスを入って右に折れて、上の階に続く階段のギャラリースペースです。
 青山通りに面する一番いいところをあえて巾の広い階段スペースにし、大きな窓をとり、空間を開放しています。大理石とカーペットの床、少しずつスキップしながら上がっていく空間、床までの大きな窓と2階レベルからながめる青山通りの眺め、どれも都会を感じさせる上質な空間になっています。現在もベンチに腰をおろしながらさまざまな年齢の方が待ち合わせ等に使っています。出来てから18年もたった空間とは思えません。
一番いいスペースをあえて開放するその発想がこのビル全体を質の高いものにしていると思います。



NO5 目黒区総合庁舎 2004.5.1

住所: 東京都目黒区上目黒2-19-15
設計者:村野藤吾

 村野藤吾が1966年完成させた「千代田生命本社ビル」を目黒区が買い取り、改修し2003年から目黒区総合庁舎としてリニューアルオープンしました。37年たっている建物を壊したりすることを考えないで、できるだけオリジナルデザインを残し、新しい区役所として蘇らせたのです。村野藤吾は迎賓館や、箱根プリンスホテル、日生劇場等を設計した日本を代表する建築家です。
 耐震のことや使い勝手のこと、区民の意見もいろいろあったと思いますが、リニューアルした区役所を見るとほんとに良かったと思います。
 見学する機会がであれば、3階のエントランスホールから入る事をお勧めします。アルキャストの外観を眺めながら、有機的な庇のエントランスを入りましょう。、ホール内部の大理石の空間、芸術的な天井の意匠を眺めながら抜けると奥の階段が見えてきます。階段の面白さを感じながら一階の池の見える茶室に向かいます。
こんな空間は新築の役所ではとても見ることは出来ないと思います。


NO6 八ヶ岳高原音楽堂 2004.7.1

住所: 長野県佐久郡南牧村大字海の口(八ヶ岳高原ロッジ内)
設計者:吉村順三

 八ヶ岳高原ロッジの敷地を数分歩くと、芝生の庭園に金属の大屋根の音楽堂が見えてきます。リゾートブームが去った今もこの音楽堂はコンサート等に頻繁に利用されています。
 内部は唐松のやわらかな空間と外部の自然を感じる引き込みの木製建具により都会にはないすがすがしい高原の音楽堂になっています。しかしなんといってもこの建物の見所は八ヶ岳の自然の背景に建つそのプロポーションだと思います。ぜひ外観の見学をして見て下さい。敷地と建物の絶妙な関係が理解できると思います。
 吉村順三という建築家は1908年に生まれ、現在のモダンリビングの基礎を創り上げた住宅作家です。現在でもそのプランのうまさや、独特の低いプロポーションは建築を学ぶ人を魅了します。作品が住宅が多いのでなかなかその空間が体感できません。
 たまには音楽でも聴きながらそのすばらしい空間を感じてみてはいかがでしょうか。


NO7  鐵の家(明治倶楽部) 2004.9.1

住所: 千葉県市川市中山3丁目14番地 14号
設計者:EDH遠藤設計室

 曲がりくねった細い道を進んでいくと電車のプラットホームのように細長い建物が見えてきます。この建物は最近市川の法華経寺の近くの緑豊かなところに出来たギャラリーです。  現在(h.16.9.19まで)は金、土、日の12:00から18:00まで設計者の遠藤政樹展が開催され、ギャラリーですから誰でも見学することが出来ます。
 明治鉱業という鉄の会社のギャラリーなので、構造はもちろん、外壁、内壁、屋根にも鉄が使われています。特に構造にはかなりの工夫がされていて、屋根を支えている柱の寸法はなんと40角!。ギャラリーといっても1Fにはガラス張りの浴室や、WCがあったり、美しい螺旋階段や、既製品の組み合わせではとても味わえない開口部の工夫等、見所満載です。
 展示会には同じ敷地に計画している集合住宅の模型もありましたが、そのプロジェクトも楽しみです。



NO8 迎賓館 2004.11.1

住所: 東京都港区元赤坂2
設計者:片山東熊 改修:村野藤吾

 JR四谷駅から新宿方面に歩いていくとユリノキの並木の先に迎賓館の門と建物が見えてきます。外観の見学しかできませんが、それでも見学することをお勧めします。そこにはやはり別世界が存在します。
 迎賓館は1909年に東宮御所として、宮廷建築家片山東熊によってルーブル宮殿等を範としてつくられたものを1974年に迎賓館として村野藤吾により改修されました。
 私はこういった様式建築はいろいろなところで見てきましたが、どこかにせもののように感じていましたが、ここは違いました。おそらく日本では最高峰ではないでしょか。
 内部を見学する機会があれば壁や天井の美術工芸だけでなく、ドアのノブや床の寄木、カーペットの柄等も見逃さないで下さい。きっと参考になると思います。
 内部に関しては1年に一度、5月くらいに募集があり、夏に見学することが出来ます。(内閣府のホームページから迎賓館のページにリンクされています。)
 これからの季節、迎賓館前のユリノキ、イチョウ並木が紅葉し、建物との対比も見事です。ここから外苑の絵画館まではいい散歩コースです。



NO9 桂離宮 2005.1.1

住所:京都市西京区桂御園町
設計者:

 桂離宮は誰もが一度は名前の聞いたことのある建物だと思いますが、以外に見学したことのある人は少ないようです。
 一番の理由は見学日(平日のみ)の一ヶ月以上前に往復はがきで申し込みをしなければならないからだと思います。(現在はインターネットでの予約も出来るようです。)
 桂に関しては建物の話題以外に、庭園、修復、歴史等さまざまな角度からテレビや雑誌等でも特集されていると思います。
 この建物もとにかく一度見学して、実感してください。建物の中には入れませんが、庭や門、垣根等、見所はたくさんあります。同じようなことは出来なくても住宅を考える上で参考になるところがたくさんあると思います。
 私が特に見てほしい部分を2箇所紹介します。
 まず桂川沿いの笹垣。これは竹を倒して笹の垣根にしているもので、ここ以外のところでめったに見れるものではありません。(せっかくですからどうなっているか裏ものぞいて見て下さい。)
 もう一箇所は表門から少し中に入ったところにある御幸門からその先の御幸道までのアプローチです。御幸門のプロポーションの美しさと土橋をアイポイントにし、両側の見事なバランスの生垣の御幸道のアプローチは何回通っても新しい美の発見があります。
 忙しい方も思い切って予約して、京都を歩いてみてはいかがでしょうか。予約方法は宮内省のホームページからリンクされています。


NO10 仙台メディアテーク 2005.3.1

住所:仙台市青葉区春日町2-1
設計者:伊藤豊雄

 この建物は、国際コンペで選ばれた伊藤豊雄が設計した公共建築で仙台の定禅寺通りに面して2001年にオープンしました。
 その意匠や構造から出来る前から建築業界では大きな話題となリました。現在でも遠くは海外からも見学者が来るようです。
 実際見た感想としては、仙台市民がうらやましいの一言です。お年寄りから、子供までがいきいきとこの建物を利用し、その状態が外部からも、上下の階に関しても見える構造になっています。この建物は簡単に言ってしまえば公民館です。ただ、メディアという目に見えないもの、新しいもの、変わっていくものをいかに形にするか、運営していくか、そのハード、ソフトともに新しい形になってると思います。
 では実際どんな建物か、その特徴を一言で言うと、「ガラス張りで柱も梁もない建物」というところでしょうか?
 東北に行く機会があればぜひよって見て下さい。観光者目的の変な建物よりもずっと面白いと思います。



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