●臨時
号 1995年(平成7年)1月発行

緊急 武蔵野市の防災対策特集号

 阪神大麓災の被災者の皆様に対し、心よりお見舞い申し上げます。また、市民の皆様の中にも被災された親類や友人が 数多くいらっしゃることと思います。あわせてお見舞い申し上げます。

  今回発生した直下型地震はいつ私たちの住む首都圏を襲うかわからない災害であります。既に何年も前から首都圏で直下型地震が起こる可能性を専門家は指摘しています。
  私も連日テレビ、新聞にくぎづけになりこのような災害が起こった時、市民の皆様の安全を守るため行政が今やるべきことは何なのかを考えていました。
  もし、大地震が起こったら、私たちはどう行動したらいいのか、市役所を初めとした防災関係機関はどのような態勢をとっているのか、もう一度確認する必要があると考えました。また、市民の皆様から、「武蔵野市はどうなんだ」との問い合わせが多数寄せられましたので、急遽武蔵野市の防災態勢を理事者ならびに防災課をはじめとする関係機関に行き調査してまとめてみました。ご一読下さい。




緊急インタビュー
武蔵野市の防災体制は今!水は、食料は

武蔵野市の防災態勢について山下議員に緊急に聞きました

初めに地震が起こったときはどこに避難すればいいいのですか

山下議員 近くの小、中学校です。その他広域避難場所として中央公園を初め5ケ所が指定されています(地図参照)

避難場所の態勢はどのようになっているのでしょうか。

山下議員 市では、災害時に備え食料など必要な物資を備蓄しております。食料としてかんばん17万2千8百食、歯の弱いお年寄りや乳幼児のためにアルファ米(水などで戻せる米)2万1千2百食を備蓄しています。その他の物資として、毛布(約3万枚)、マット(約3万枚)、薪で炊くこともできる炊飯器(71台)、いざというときにプールの水などを飲むための 「ろ水機」 (36台)発電機・投光器(94台)その他飯設トイレ、ラジオ付きライト、救急医療セットあるいは粉ミルク、哺乳ビン、紙オムツなども備えてあります。これらが一時避難場所等に分散して備蓄されております。
  また、庁内態勢としては、日本で初めてですが、東京が震度5以上の地震に見舞われた場合、一定の基準以上の災害が発生した時の初動要員として市長が任命し、訓練を受けた市内在住の職員が夜間、休日でも8名づつ各校に騒けつけ避難所の開設や避難された方々の世話、情報収集、伝達等、避難場所の秩序維持をおこなうという初動態勢が平成3年度より組まれています。
  また、そこで行われる炊き出しなどは、日赤奉仕団(13分団約550名)にお願いするように組織され、さらに市内の米穀商組合との間に被災者の食料供給を確保するために 「災害時における米穀調達に関する協定」を締結し16万食が確保されています。
  神戸市などで見ると給水車が足りなかったり、車が動けなかったりして飲料水の供給が遅れたようですが、そのような時に備え本市は2ケ所の浄水場に水を1リットルずつビニールパックする機械を配置しており、給水車に頼らなくても、またバケツや容器がなくても対応できる態勢をとっております。もちろん自家発電です。

神戸市では、情報が市民に届かないために混乱があったようですがその点はどうですか。

山下議員 たまたま東灘区にいて今度の震災にあわれた西久保一丁目にお住まいの姫田安子さんにお聞きいたしましたが、情報の不足が一番こたえたとおっしゃっていました。
  本市では、防災用拡声器がコミュニティセンターの屋上など市内41ケ所に設置されています。さらに111ケ所の地点に防災無線の屋内用の受信機を配置しています。
  学校を初めとする市の施設や防災関係機関等93ケ所に情報のやりとりのできる無線機が配置されています。
  また、今年3月に開局予定の 「エフエムむさしの」との連携により市内の防災情報が直ちに流れるシステムの導入が予定されています。例えば、「第五小学校で何時から食料の配布を開始いたします」等といったきめ細かい情報を市民の皆様に提供することが出来るようになります 。

私も「エフ工ムむさしの」の周波数が決まったら、しつかり覚えておくことにします。

山下議員 そうですね、期待しましょう。また、今回地震の報道を見ると、アマチュア無線家の情報も貴重でしたね。本市では、平成5年にアマチュア無線家を全市にネットする組織が出来ておりアマチュア無線家からの情報も得ることが可能になっています。昨年の総合防災訓練にも参加しております。

神戸市では火災の発生が大きな被害をもたらしましたが火災への対応はどうなっていますかね。

山下議員 武蔵野消防署は別にして、市で行っている点について述べますと、消防署と綿密な連絡をとりボランティアの皆さんで組織されている「武蔵野市消防団」 (10分団260名)があります。暮れに「こちらは消防団第何分団です火の元に気をつけてください」と歳末警戒の声を聞いたことがあると思いますが消防団の皆さんは郷土愛の精神に基づき常に訓練を重ね火事があったときなど、自分の仕事をなげうって現場に駆けつけ地域の防火・防災のために活動しています。本当にその姿には頭が下がります。
  また消火器が市内に約800本設置してあります。初期消火活動には効力を発揮すると思います。

自分の近くの消火器の位置を確認しておかないといけませんね。

山下議員 防火水槽、消火栓については消防庁が定める基準で整備をはかっています。
  今回の地震では消防車が駆けつけても水がないため消火できないということがありました。本市ではこのようなことが無いように100トンクラスの大型の防火水槽を学校や吉祥寺駅北口広場などに積極的に設置してきました。(防火水槽 公私設計約280基、消火栓 同約840基、その他 同約70ケ所)
  また、地震による水道管損壊を防ぐため、現在、地震に弱く老朽化している石綿管を鋳鉄管に替える工事を従来の2倍以上の早さで進めています。鋳鉄菅は、1983年に起こった日本海中部地震(震度5)でも損壊を免れたという記録があります。今回の地震を見て、さらに場所によっては伸縮可撓管の採用も検討する必要があります。

その他はいかがですか。

山下議員 「防災関係機関等連絡会」 の存在をご紹介しておきます。これは、市役所を初めとして消防、警察、東京ガス、東電、NTT、JR吉祥寺駅、医師会、日通、保健所など緊急事態が発生した時に協力し合う機関の現場の指揮をとるクラスの方々が集まり平素から常に連絡をとり災害時・緊急時に備え研究しています。

様々なかたちで防災対策を進めていることが解りました。しかし、今回のことをみていると、市民一人一人が日頃から防災に対する関心を持ち備えていなければいけないということがわかりますね。

山下議員 そうですね。行政も今お話いたしましたように備えておりますが、お一人お一人の準備が災害を少しでも少なくする一番の方法だと思います。
  いくら市の備蓄があるといっても限りがあります。災害発生時は最初の3日間をどうしのぐかが勝負といわれております。そのためには3日間ぐらいの食料・飲料の備蓄は各自で用意しておく必要があります。
  市でも、防災特集号や市報を使って様々な情報を流しております。また、毎年9月1日には「総合防災訓練」を実施いたしております。私も毎年参加していますがそこでは「避難訓練」 「応急手当訓練」 「初期消火訓練」等を体験することが出来ます。また、「医療救護訓練」 「炊き出し訓練」 「救助救出訓練」等の実際も見ることが出来ます。ぜひご参加下さい。
  とり急ぎ武蔵野市の防災態勢についてまとめてみました。本市はいろいろなケースを想定し備えています、災害というのはいつ、どのような規模で起こるかわかりません。どんなに備えていても十分とは申せません。私もこれを機に改めて防災態勢を点検し防災に強い街をつくるために頑張ります。
  皆様のご意見をお寄せ下さい 。



緊急レポート
その時武蔵野市はどう対処したか!!

1月17日
5:46 地震発生
7:05 土屋正忠市長テレビの報道を見て大都市における前例のない災害と判断
9:00 土屋市長、定例理事者会議で地震に対する救援のための会議開催を指示
12:30 第一回対策関係者会議開催 ・義援金募集の場所、方法について協議決定

18日
8:30 義援金募集受付開始
10:00 義援金募集のチラシを新聞折込みでPRせよと土屋市長指示
16:00 第二回対策関係者会議開催ー市が防災用に備蓄しているカンパン4万食、アルファ米1万食、毛布1万枚、マット1万枚など救援物資や職員の派遣を決定

19日
13:30 議会の説明のため代表者会議開催・・・今までの市の対応を説明・議会も直ちに40万円の義援金を送ることを決定

20日
9:00 第三回対策関係者会議開催・・・義援金募集を市の施設70数カ所、清掃車、学校にも募金の張り紙を張るなど市民の皆様への周知をはかることを決定実施
10:50 第四回対策関係者会議開催・・・・物資輸送については市独自で行うことを決定
11:30 第五回対策関係者会議開催・・・・・水道部20リットル入りポリタンクに水をつめて送る準備開始
15:33 第六回対策関係者会議開催・・・・アルファ米1万食、サバイバルフーズ7200食、五目ごはんの缶詰等直ちに食べられる物約2万缶、20リットル入りポリタンク50ケ、ポリタンク60ケ等を救援物資として送ることを決定。「災害時における緊急輸送業務の協力に関する協定」を締結している東京都トラック協会多摩支部第一地区武蔵野分会に輸送を依頼

21日
11:30 土屋市長訓示後、防災課、水道部職員1名ずつが同行し10トン車、4トン車二台で神戸に向かう。

22日
朝・毎・読・東京・サンケイ・日経の各紙計7万8千枚の折込みチラシ実施
7:30・神戸市長田区役所到看。直ちに災害本部の指示する避難場所3ケ所に直接救資を運びこむ。災害状況の調査及び今後の救援の打ち合わせをして、直ちに 引き返す。
23:30 武蔵野市到着

23日
14:00 市在庫品より防水シート200枚提供。
16:30 土屋市長「市の施設の震災に対する点検」を指示

市の今回の動きを簡単にまとめてみましたが、市当局の対応の早さを大いに評価したいと思います。日頃より緊急時に対処するためのシステムが武蔵野市役所の中にしっかりと確立していることを感じました 。




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