●第14
号 1997年(平成9年)5月発行

市民クラブ全員で 水野議員に会派離脱を勧告

 市民クラブは3月28日水野学議員に対し全員で会派離脱勧告書を手渡しました。勧告書に書いてあるとおり私たち市民クラフは全員どの政党にも属さず武蔵野市にとって市民の皆様にとって何が大切かとの判断のできる議員の集まりとして会派を組んてまいりました。その中でも行財政改革・議会改革をめざし、責任ある立場で市政をチェックすることを旨として活動してまいりました。しかし,このたび都議選に立候補を表明した水野議員のその後の行動は私たちのあり方とあまりにもかけ離れているので同じ会派としてこれ以上一緒にいることは市民の皆様に非常にわかりにくい事態であると判断し会派離脱勧告という行動をとりました。その後水野氏からは「弁護士と相談して」とのコメントのみで現在に至っております。



平成9年3月28日
水野 学 殿

会派離脱勧告書  

 目前に迫った東京都議会議員選挙は立侯補予定者も出揃い、市民の関心も高まりつつあります。さて、我が市民クラブは武蔵野市政において行革・議会改革を旨として活動してまいりました.このことは、我々が誇りとするものであります。しかし、同じ会派に所属する貴殿が都議選に立候補表明をし政治活動を開始されるにつれ市民クラブに内外の厳しい目が注がれるようになりました.
  先の3月本会議では、貴殿が発行した都議選用検討資料に記載されている記事につき

(1)議員定数削減を自ら提案したとあるが事実は多数の中の一人で、筆頭提案者は自由民主クラブの田中 福一議員(当時)であること。
(2) 「24時間介護の導入を具体的に提言した」と国会議員に言わせているが、「発言の記録がどこにもない」など他党議員から「事実を偽ることは議会の品位と信頼をそこなうものではないか」と厳しい指摘がありました。
  また、市民からは「市職員の高額退職金の是正を掲げて立侯補した」とあるが、水野氏の選挙公報には一言も公約していないことを指摘し、「粉飾はないか」と手厳しい意見があり、きわめて残念なことであります。
  貴殿は現在総務委員長と議会運営員でありますが、過日開催された市主催の「市政50周年記念・コミュニティシンポジュウム」に最も関連の深い総務委員長という要職にありながら欠席されたり、総務委員長として議会を代表して評議員に就任している(財)武蔵野文化事業団の昨日の評議員会も欠席されました。今議会では総務委員会以外でも、消費税アップにともなう議案や、老人福祉手当てに関する議案のように市民生活にとって影響のある議案がありましたが一度も傍聴に見えませんでした。当該委員は会派としての意見の取りまとめに苦慮しておりました。また、行政の根幹に関わる新年度予算委員会も同様であります。もちろん、所属議員以外は出席を義務づけられているわけではありませんが他会派の議員は入れ替わり立ち代わり委員会傍聴をして審査の成り行きを注目しておりました。
  さらに、3月25日は議員提出議案の締め切り日でしたが議会運営委員会提案の「介護保険に関する意見書」の対応も、貴殿の所在が捕まらず遅れました。その他、激変緩和措置を求める「老人福祉手当て廃止に関する決議」など重要な決議の提案や他会派からの提出議案の交渉もありましたが、貴殿は予算審査期間中一度も来庁されず、我が会派の窓口にならねばならない議会運営委員の役割を果たさず我々は大変困惑した次第であります。
  今後ますます現職市議会議員と都議選立候補予定者としての活動の両立が困難になり、市議会議員の役割を果たせなくなることは明白であります。このような事態は市民の市政に対する信頼を失うことになりかねません.
  以上述べたことを鑑み、市民クラブが今日まで培ってきた行財政改革・議会改革の精神を今後も推進し名誉を守る立場から、私どもの気持ちとしては早期に議員辞職をされることがベストだと思いますが、そのことはさておき私ども市民クラブー同は貴殿の会派離脱を勧告いたします。

寺山光一郎    畠山よし子
山下 倫一    忠地 幸寿



水野議員 あなたの主張する行政改革とはどのようなものでしょうか

→@「議員定数削減は自ら提案した」は「多数の中のひとり」が真実.

議員定数削減について
  議員定数の削減要求は、「市政を考える会」 「武蔵野青色申告会」、「武蔵野青年会議所」 の3団体から昭和61年6月議会に提出され約半年問審議を重ね12月議会で定数条例の変更を求める議員提案で決着がつき、36名の議員定数が30名になったものです。
  当時、私は青年会議所の一員としてこの問題に積極的に取り組み、委員会、本会議の傍聴はもちろん、公聴会の公述人の一人として意見を述べました。昭和61年12月17日の議会運営委員会の開会から19日未明の本会議で決するまで、ほとんどの時間を役所内で過ごし見守っていました。
  特に12月18日、19日にかけてこの問題が議論された本会議は徹夜の議会になりましたがすべて傍聴しました。今回改めて議事録を読み返しましたが、本会議場で削減反対派の議員9名から提案者の議員に対し合計45回の質問がなされており、それに対する答弁の同数は、田中福一議員(当時)37回、荒木幹郎議員(当時)14回、水野議員8回、矢島譲員(当時)2回、杉山議員(当時)2回、赤松議員1回と提案の中心は田中福一議員(当時)であったことは明らかです。


→A「24時間介護を具体的に提言した」と言っておりますが、どこにも記録に載っていません.

24時間介護の導入について
 24時間介護問題については、議事録を精査いたしました。その結果、
(1) 平成6年の6月8日の議会で社会党のT譲員が一般質問の中でふれる。
(2) 平成6年11月15日の議会で同じく社会党のS議員がやはり一般質問 の中でふれる。
(3) 平成7年11月27日の決算特別委員会で共産党のK議員が質問。
(4) 平成8年3月19日の予算特別委員会で諸派のT議員が質問。
と、4人の方が、24時間介護の導入について質問や、意見を述べておりますが、水野議員の発言はどこにもありませんでした。
  また、私ども市民クラブの市長への予算要望の中に「24時間介護制度の導入について」とありますが、これは畠山議員からの意見によって会派として要望したことを確認しております。また、会派の話し合いでも、水野議員が24時間介護の問題を取り上げ発言したことは、全員が聞いていないことを確認しています。


→B「高額退職金の是正を掲げて立候補した」と言っておりますが、選挙広報でひと言もふれていません.

高額退職金の公約について
  昭和58年水野譲員は、初当選しましたが、その選挙公報を確認したところ、高額退職金問題についてはまったくふれておりません。
  我々政治家がもっとも神経を注いで自分の主張を述べる、選挙の直前に出る選挙公報で高額退職金問題にまったくふれていないのに、「高額退職金是正を掲げて立候補」と書けば粉飾ではないかと非難されても仕がないことです。しかもこの是正は、市長や理事者側と組合の努力によってなされたもので、あたかも自分がなしたような錯覚を与える書き方はいかがなものかと思います 。


→C行政改革を主張するのならば、自らを厳しく律するべきでは?

市民クラブはこれからも
  市民クラブは、無所属の議員の集まりです。武蔵野市にとって、市民の皆様にとって大切なことは何かを判断の基準におき、特に行政改革、議会改革を旨として結束してまいりました。そのことは、会派の一人一人が自らを厳しく律することによって成り立ってきました。しかし、今回の水野議員の行動は私たちの会派の目指すものとは相い入れないものであり、議員としての職責を果たせない状況は明らかです。本会議、委員会に出るだけで最低限の役割を果たせば良いとでもいうのでしょうか。このような状態で月に55万円の報酬を得、6月1日まで議員でいれば、ボーナスとして約145万近くが支給されます。私は、行政改革を掲げるのなら自ら自己に厳しく対処するべきだと考えます。この様な今の水野議員とは、とても一緒の会派を組めません。 水野議員、あなたの主張する行政改革とはどのようなものでしょうか。


平成9年度予算 健全な都市経営へ531億円 GOサイン!!

 平成9年度の予算は、531億円、対前年度比マイナス5・1%減3年連続減額予算になりました。これは特養の「ゆとりえ」に代表されるように、ここ数年福祉施設の建設や千川小学校等の大規模事業が一段落したことや昨年同様事務事業の見直しをかなり厳しくし一般行政経費の削減に努めたこと等によります。また、市税は3・3%の伸びを見ております。厳しい予算の中、注目すべき予算について山下議員にお聞きいたしました。

今回の予算のポイントとしてはどのようなものがあげられるでしょうか

山下議員 そうですね。厳しい予算の中、(1)高齢者対策(2)子ども対策(3)安全の確保の3点に重点的に予算を配分したことでしょう。


ますます充実する特養、在宅支援のネットワーク

それではまず初めに高齢者対策についてお聞かせください。

山下議員 市内の高齢化率(65歳以上の方々の割合)が4月1日現在15・18%です。これは三多摩各市の中でもトップです。しかも、その率が急激に伸びています。(参考‥平成7年10月1日現在三多摩各市平均11・44%、武蔵野市13・88%)。武蔵野市はここ数年市内に特養を初め特に遅れていた施設面の建設に力を入れてきました。今年は、民間の社会福祉法人が市内に建設する施設や八王子に建設される特養施設に対し補助を行います。これによって計40床のベッドが確保されます(平成10年完成予定)。

今までと合わせると特養のベッドの数はいくつになりますか。

山下議員 合計で320床が確保されることになります。これは、三多摩はもちろん全国的にみてもかなりの水準になります。

そのほかの高齢者対策はいかがですか。

山下議員 高齢者福祉計画の見直しや、「岡田さん家」という小規模のデイサービスセンターが東町にできることがあげられます。また、今まで個々に行われていた「元気高齢者対策事業」の評価を行い、高齢者の 「自立促進・生きがい増進事業」 の体系化に向けた調査検討も始まります。

しかし、これからも増え続ける高齢者対策は待ったなしですね。

山下議員 そうですね、お年寄が安心して過ごせる街をつくるために、まだまだ費用がかかります。そのランニングコストも大変です。しかしこの施策はしっかりと進めるべきですね。3月議会で老人福祉手当(一人1、300円/月)を廃止いたしました。これは昭和47年以来行われてきた制度で、楽しみにしているお年寄の方もいらっしゃいましたが、いわゆる金銭を誰にでも支給する制度の典型でした。そのかわり、この廃止によって浮いた財源(約1億5千万円)をこれからますますニーズの増える在宅福祉事業に対応するために、ヘルパー協会の設立にまわし、24時間介護を初めとする在宅介護支援の制度充実に振り向けます。このように、これからもばらまき型福祉を廃止・改正し、その財源を必要な施策に重点的に投入する福祉へと変化していかなければなりません。


「0123」中部地区へ

次に子ども関連施策ですが、山下議員は、セカンドスクールに最初から注目して一般質問をしたり、現場を見てきたようですね。

山下議員 昨年2泊3日の日程で本宿小のセカンドスクールの現場を見て、本当に子どもたちが生き生きとして豊かな自然の中で生活、学習する姿を眼の当たりにし、この事業の大切さを実感いたしました。また、実際に行ってみると先生方の頭が下がるような活動で支えられていることが艮く分かります。先生方には大変だと思いますが、ぜひこの施策は強力に進めていただきたいですね。
  実施3年目になる小学校は全12校で6泊7日〜7泊8日の日程になり、より充実します。当面10日間を目指していますが、もう少しですね。実施2年目の中学校は、3年前に小学校で体験した生徒が対象になるのでまた新しい取り組みがなされると思います。今年も機会をみて実施場所に行ってみたいと思います。

そのほか子ども関連施策はいかがですか。

山下議員 東町に3年前にオープンしすっかり定着した感のある 「0123・吉祥寺」。この二つ目を中部地区設置に向けて検討が始まります。私も選挙の公約で 「0123」を中部地区、境地区にとあげましたがようやく動き始めました。
  また、全児童(0〜18歳まで)を対象とした児童育成の総合計画「地域児童育成基本計画」の策定も始まります。


ムーバス第2号発進

そのほか注目すべき政策はいかがですか。

山下議員 3年目を迎え好評のムーバスの新路線が秋には連行開始になります。地区は北町地区になりそうです。北町地区は、長年バスの便が悪く地元からの要望も何度も出されてきましたが、民間のバス会社は採算面に問題があるとのことでなかなか実現しませんでした。しかしムーバスにより、普通のバス路線とは違ったコースをとることにより、より利用しやすくなるとともに、長年の夢がいよいよ実現に向け走り始めます。ムーバスは今、日本中で最も注目を集めている交通機関となりました。土屋正忠市長が平成元年頃から考えていたことが、またひとつ新たな段階を迎えたともいえますね。これも高齢者・障害者の方に大変評判がいいですよ。

3月議会で事業系ごみの全面有料化の条例ができましたね。

山下議員 はい。実施は今年の10月頃の予定です。事業所には廃棄物の自己処理責任が法や条例で定められています。事業系ごみの全面有料化は、この自己処理責任の徹底と事業系ごみの減量・資源化を目的として行われますが、ごみ問題は市が直面する大きな課題の一つであり、その第一歩ともいえる施策として注目しています。

厳しい財政の中、また今年も新たな施策が次々に実施されますね。

山下議員 そうですね。今年は、ここ数年続いてきた新規施設建設の予算がありません。まだまだ 「特養」等も必要ですが、今年は一段落して経常経費等の推移などを勘案し次に備える年と言えますね。今後は、いままでつくった施設をいかに有効に機能させるかはもちろん、ハードではなくソフトによる住民サービスを充実させることが重要だと思います。私もハードからソフトヘの視点を忘れず行政をチェックして行きたいと思います。

本日はありがとうございました。6月には恒例の総会が予定されていますね。今年も知人を誘ってぜひ参加したいと思います。

山下議員 よろしくお願いいたします。皆さんおひとりおひとりとお話することを楽しみにしております。



編集後記

・水野市議の」都議選立候補表明に際し、市民クラブが誤解を受け、問い合わせが多数あったため、今号では市民クラブの考え方、水野氏への対応を中心とした紙面構成となりました。これにより、市民クラブの政治理念、山下議員の政治姿勢を理解いただけると考えます。
・ところで、市政の方は市制施行50周年にあたる平成9年度が順調にスタートしました。また、山下議員も住所を新たにし、事務所も新しくなりました。今年は、心機一転、初心を忘れずに頑張ろうという山下議員の言葉をいただき、編集子も気持ちを新たに頑張ろうと思います。




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