●第31号 2005年(平成17年)5月発行


市民生活に密着した予算、簡単に反対してよいのでしょうか?
平成17年度の予算に対し3月議会で、自由民主クラブ、民主・市民ネット・ 市議会市民クラブ、市議会公明党、無会派の議員1名の賛成24名、反対は日本共産党武蔵野市議団、市民の党及び無会派の議員1名の5名により、賛成多数で成立しました。市民生活に密着し、長年市民が望んできたことが網羅された予算です。


  現在、その予算に沿って市民生活の様々な分野で事業が粛々と執行されています。例えば、吉祥寺地区では末広通りの電柱の地中化事業のため東電やNTTとの協議が始まっています。中央地区では三鷹駅北口にエレベ
ーター、エスカレーター工事のお知らせ看板が設置されました。境地区では三鷹一立川間の連続立体交差化事業のための橋脚工事が西武線でははっきりと見えるようになって来ました。
すべて、平成17年度の予算が成立した結果です。
 予算が成立せず暫定予算となると人件費、扶助費等の義務的な経費や継続的な事務事業及び施設管理経費等の経常的経費など、暫定期間中に必要とする最小限度の経費を予算化するだけで事業が立ち行かなくなり市民生活に著しい支障が出ることはかつての小金井市の混乱を見れば明らかです。
 しかし、新聞報道によれば今年も狛江市、小平市、国立市、国分寺市、多摩市等7市で予算が否決されたと聞いております。

 地方自治法96条では議会の権限として、地方自治体の議会が議決しなければならない事項として、予算を定めることが規定されています。

 予算というものは、基本構想・長期計画にそって、福祉、教育、街づくりなど総合的に評価し作られるものです。
多様化する市民二一ズに応えるには、30人の議員がすべて満足する予算を作ることは不可能であります。私自身も14回の予算を審議してきましたがすべて満足した予算はありませんでした。時には値上げで市民の皆様にご負担をかけざるを得ない時もありました。それでも、市政財政の将来を見通し、後年度負担をさけ今なすべきことは何かを考え賛成してきました。

 市民生活に最も密着した市の予算を定めたり審議することが市民から負託を受けた議員として、また議会の最大の責任の一つだと考えるからです。

  しかし、今回も反対した会派の理由を聞いていて、本当にこれで良いのだろうかと深く考えさせられました。

 乳幼児医療費所得制限撤廃や耐震補強事業、高齢者のお宅の家具転倒防止金具取付事業、吉祥寺本町の在宅介護支援センター設置、三鷹駅、吉祥寺駅にエスカレーター、エレベーター設置

完成が待たれる三鷹駅北口エスカレーター、エレベーター完成予想図

等、長い間、市民の皆様が切望してきた新規の事業も含まれます。これらの事業が行われなくてもやむを得えないと考える程の反対の理由があったのでしようか。国会で予算が否決されれば解散するほど予算は重みがあります。反対した会派の議員は、市民の皆様に対して反対の理由を説明する義務と責任があると思います。
 新聞報道によれば他市の状況では選挙だから反対するなどの理由も挙げているようですが、4年ごとの選挙のたびに暫定予算にすべきなのでしょうか。

  市民生活のためというよりも政党のエゴ丸出しの姿勢のように思います。

 今回の予算の審議を通し、採決の討論を聞いているとそんなことを感じざるを得ませんでした。


東京都と武蔵野市の連携が大切です


東京都と武蔵野市の協働を図にしてみました

  平成17年度の市の予算は548億円で、今年度も着々と執行されていますが、今日は平成17年度の予算を見て市と東京都との結びつきについてお伺いしたいと思います。

安全・安心のまちづくりー警察・消防行政と東京都の関係は

初めに防災・防犯の要である、消防署、警察署は東京都の管轄になっていると思いますが…

山下議員
 はい。消防行政は、昭和35年から東京都に事務を委託しています。今年度は17億665万円を支出し、
すべての消防行政をお願いしているところです。
 東京都消防庁の資料によれば東京都に委託しないで稲城市や東久留米市のように仮に武蔵野市が今から直営にしたとしたら、人件費他、維持管理等の経常経費や車両購入費等の設備投資で最低でも現在の委託料の金額にさらに7億円程度の大きな予算が必要と予測されます。
 また、東京都に委託しているメリットとして、@消防署の専門職員の指導により武蔵野市消防団が実践的な訓練を受けられる。A武蔵野消防署による定期的な防火指導などが受けられる。 Bさらに委託をやめると、現在のシステムでの119番通報を受けてもらえなくなり、消防庁からは大規模な広域災害の場合のみの支援となるなど都からの援助のメリットは計り知れません。

 次に、安全・安心の街づくりのために重要な役割を担う警察ですが、警察行政をつかさどる費用はすべて東京都
が負担しています。市民の安全を守るために警察行政は東京都にしっかりと取り組んでいただかねばなりません。
 一方、全国的な最近の凶悪犯罪の増加等に対応して、武蔵野市安全条例の制定やブルーキャップ、ホワイトイー グル、市民安全パトロール隊の設置など本市が行っているきめ細かな施策との連携強化が重要です。ホワイトイーグルなどが、犯罪情報を警察より得て、よりきめ細かな活動を行ったり、都の迷惑防止条例の改正により罰則も強化され、吉祥寺の街から客引きがいなくなるなど連携の成果が上がっています。
 安全パトロール隊も、犯罪が発生するとその情報は警察からパソコンで全隊員に直ちに流され、隊員は犯罪があった地区を重点的に回るなど、今年になってさらに連携を強めきめ細かくパトロールを実施しています。

緊密に結びつく福祉施策

 また、福祉の面では東京都と大変緊密に結びついています。
 心身障害者福祉負担金も平成!7年度の予算では3億9,800万円計上されていますが、東京都からはそのうち2億1,400万円が市に支給されています。

  その差額はどういったことでしょうか。
 山下議員 軽度の方や所得オーバーの方に対する助成など都予算では支給されない方への武蔵野市独自の上乗せ分です。

その他福祉関係ではどうでしょうか。
 山下議員 障害者の皆さんの就労の機会を増やすということが非常に大事なことです。千川作業所、いづみ作業所など市内にある6ヶ所の作業所に対する支援として、今年度予算では1億7,107万円が組まれているうち、その2/3の1億4,383万円が東京都から支給されています。また、ワークショップMEW、就労支援センターMEWなど精神障害者共同作業所通所訓練事業に関しても本年度予算3億6,000万円のうち2,591万円が東京都から補助金として入って来ます。

 また、私立幼稚園にお子さんを通わせていらっしゃるご家庭に対しては東京都から4173万円が私立幼稚園等園
児保護者負担軽減事業費補助金として来ます。本市ではそれに1名5,000円の上乗せをして支給をしています。

  さらに、テンミリオンハウスや0123事業といった他市に先駆けた本市独自の高齢者対策、子育て支援施策に
対して福祉改革推進事業補助金として東京都から1億8,314万円が来ることになっています。

 福祉関係の最後に、市議会市民クラブでも毎年市長へ予算要望をしてきましたが、「乳幼児医療の無料化の所得制限の撤廃」がようやく実現しま したね。

 山下議員 はい。この「乳幼児医療の無料化の所得制限の撤廃」は市長も他市との兼ね合いがあるため、長い間 ふみ切れませんでしたが、今年10月より所得制限を撤廃し、6歳までの乳幼児に対しての完全無料化が実施されます。この事業に対しては東京都からは6,006万円の補助金が来ています。


三鷹〜立川間連続立体交差化事業


着々と進む三鷹立川間の連続立体交差化事業
武蔵境駅構内にて

 三鷹〜立川間の連続立体交差化事業ですが、工事が目に見えてきましたね。平成18年完成と聞いていましたが工期はいかがですか。

 山下議員 少し延びて、現在平成20年度完成を目指して進んでいます。
 この事業も東京都と密接な関係にあるんですよね。
 山下議員 そうです。これは東京都が事業主体であり、まさに三多摩全体に関ることでありますので、都の事業
に相応しいと言えますね。費用負担割合を見てみますとJRと都市側の負担割合は1対9ですが、9割のうち、国と地方自治体の負担は5割ずつになります。そのうち東京都が7割、沿線都市が3割の負担になっています。本市 ではこの事業に5億8千万円の支出を見込んでいます。

  開かずの踏切が武蔵野市だけでも6ヶ所解消するとのこと。一日も早い完成が待たれますね。

吉祥寺駅.三鷹駅のエスカレーターエレベーター設置

 これもだいぶ前から要望していた三鷹駅の北口のエレベーター、下りのエスカレーターも設置されますね。
 山下議員 そうですね。平成6年に三鷹駅北口に昇りのエスカレーターが設置された時から要望がありました。
その後バリアヲリー法などができましてJRの姿勢も変わり、ようやく実現することになりました。ただ残念ながら、三鷹駅は場所が駅構内ではないので、市が国からの補助を得て建設します。吉祥寺駅のエレベーターの方は駅
構内に設置されますので、東京都から この事業に対しては3,500万円の補助金が来ます。

みちづ〈リ・まちづくリパートナー事業で都道の整備早期実現を

 次に、境の都道123号線いわゆる天文台踏み切り周辺の拡幅事業ですがこの事業は東京都と協働した「みちづくり・まちづ<りパートナー事業」として実施されているとお聞きいたしましたが。

 山下議員 はい。詳しい経過は、省きますが、用地買収などを地元の市が東京都から委託を受けて実施し、少しでも早く進めようとする事業で、市長と都議会議員の連携からできたものです。おかげさまで買収も約75%が終わり平成20年度の完成に向けて進捗しています。

  そして今年は、この用地買収や補償の費用として1億4,391万円が東京都から本市に入る予算になっています。
 本市には、五日市街道、井の頭街道、調布保谷線等都道もありますが、それらの整備も市と東京都の連携が必要であり、調布保谷線のように環境に配慮した道路造りのために、市と東京都そして市民の皆さんとの連携が重要です。そのひとつの成果として環境側道のモデルが調布に作られたことなどではないでしょうか。

  また、本年度は三多摩地域の平成18年から10年間に実施する都市計画道路の第三次整備計画を立てますが、これなども、東京都と市の緊密な連携が求められています。

  他には東京都からの交付金ではどのようなものがあるのでしょうか。

 山下議員 商店街の活性化のために平成15年から始まった「新元気を出せ商店街事業」として3,957万円が来ることになっています。これは、商店街の振興のために、市、商店街がその費用の1/3ずつ負担し東京都が1/3負担 してくれるものです。
 今年は大正通りに液晶ディスプレイによる商店街情報を流すとか、サンロードの一店逸品街運動の推進や夏祭り、大売出しを中心とする22件のイベント事業等に当てられることが予定されています。

  子育て、教育関係ではいかがでしょうか

  山下議員 先ほど述べた乳幼児医療の無料化の所得制限撤廃のほかに、相次ぐ児童虐待事件に対応するために平成16年度より本市が設置した「子育てSOS支援センター」との関連ですが、児童虐待防止に関しての法的な措置権限は都知事にあり、実務は児童相談所が(武蔵野市の場合は杉並児童相談所)行っています。そこに至る前の虐待の早期発見や初期対応などは、子ども家庭支援センターである子育てSOS支援センターと東京都との連携を図り、地域における総合的な子育て支援として行っていきます。
 子育てSOS支援センターには、市に派遣されている都の母子相談員も加わり、市の職員と一体になって相談・
指導に当たっています。平成17年度の法改正により、市町村に設置が義務づけられました。都とのより緊密な関係が求められています。

 また、教育関係では本市には教員が約400名、各校に1名の事務職員が配置されていますが、この人件費は東京都の負担になっています。また、教育効果をあげるために少人数、ティームティーチングのための市内34名の教
員の加配やスクールカウンセラーの配置等が東京都から来ています。市内の都立高校である武蔵高校を中高一貫校 として東京都が予定していますが、すでに都及び二小や二中の校長先生を含め市の関係者とで東京都が協議会を設置して、当該中高一貫校の教育活動内容について検討を始めています。

  また、学校の安全については、「学校110番」として、安全マニュアルの整備も含め、都及び警察と連携している
状況です。 今後ますます東京都との連携は緊密 になっていくと思います。

  こうしてお聞きすると、改めて市と都政の連携の重要性がわかりますね。

 山下議員 そうですね。これ以外にも、市の水道は、約30%ですが都営水道から分水協定に基づく水道水の供給を受けています。また、下水の最終処理に関しても、都の流域下水道のネットワークに組み込まれており、負
担金を支払って処理をお願いしています。

  その他、シルバー人材センター事業管理運営補助金や例えば、精神障害者に対しては生活面では市が担当しますが医療面では都の管轄である保健所が受け持つ等保健所との協力も重要になります。生活福祉就労指導や用地買収、建築指導の事務に関して、都のノウハウを生かすために、東京都の職員OBを市の職員として雇用したり、福祉などの専門職の人材養成に関しては、都の行う専門研修を活用しています。

  また、福祉施設の第3者評価では、都の制度の枠組みを活用するなど一部をあげてみてもこれだけあるんですね。私も初めてこのような形で市と都の結びつきを皆さんにお知らせいたしましたが、ご存知のように東京都も財政が厳しくなっていますので、現在第二次財政再建推進プランによって施策の見直し等も予定され、補助金や
交付金も減らされる傾向にあります。 そのような時代にあって、ますます東京都との連携が大切になってくると
思います。

 本当ですね。今日はありがとうございました。



その他の主な新年度予算


 1〜3面にわたって平成17年度予算のいくつかをご紹介しましたが、その他の主な今年度の事業等の予算についてご紹介します。

@防災・安全センター(仮称)建設事業・・・・5億41,060千万円
 震災等の自然災害に対して二次災害の防止と被害の軽減を図る「災害対策の拠点」として・西庁舎の上に造るものです。本年度は実施設計を済ませ平成18年1月からは建設工事が始まり、 平成19年5月の完成を目指します。

A全小中学校に扇風機 ・・・・11,200千万円
 昨年9月議会で私も般質問で要望しましたが暑さ対策のために、小中学校の全教室に扇風機を設置するとともに中 学校の図書館にエアコンを設置します。

Bプレセカンドスクールを全校で実施・…1億33,618千円
 小学校5年生、中学1年生を対象とした農漁村での体験学習の効果が上がっているセカンドスクールも11年目
を迎えました。さらなる学習成果を高めるために、小学校4年生を対象に短期宿泊体験を全小学校で実施します。

C路上禁煙地区を3駅に拡大・・・・41、407干円
 昨年4月より吉祥寺駅周辺を路上禁煙地区に指定しました。喫煙者のマナーにたより罰則がないため効果がどれだけ上がるかと実施前は議論がありましたが、タバコのポイ捨てが約70%削減されました。これを受けて三鷹駅・ 境駅周辺にも路上禁煙地区を設置し、 安全で快適なまちづくりを目指します。

D「健康づくり支援センター」開設・・・・32,928千円
 市民全体の健康の維持増進を図るためそれぞれの健康状況に応じて持続・継続可能な健康づくりを自発的に実践できるように情報の収集、発信の拠点として「健康づくり支援センター」を設置します。

E新たな認証保育所整備事業・・・・62,OOO千円
 多様化する二一ズに柔軟に対応するため駅前保育や13時間以上の開所を行う東京都認証保育所を三鷹駅北口に企業の協力を得て設置します。

この他、今年も市民生活の向上のために様々な分野で予算が組まれています。折に触れてご報告していきたいと思います。



スマトラ沖地震災害救援金の御礼
 1月16日、三鷹駅北口駅頭に立ち募金活動を行いました。当日は寒い日でしたが、境南町や御殿山の方がわざわざ三鷹駅北口までお見えになり募金をしてくださり感激をいたしました。おかげさまで、三鷹駅北口だけで173、147円が集まりました。 この一連の募金活動で市全体では1,856万円という大きな成果をあげることができま
した。ありがとうございました。

1月16日三鷹駅北口にて 寒い日でした

 




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