何の因果か「船の旅」
其の参/嗚呼!団体さん。

   団体になった人間というのは、なんか暴力的なところがあって苦手。
   一人一人は良い人かもしれないのになあ。
   その苦手な団体の最たるものが、修学旅行生。
   自分も通ってきた道だし、しかも中学の修学旅行にいたっては、
   転校したおかげで2回も行ってしまったので(船での修学旅行はしたことないけど)、
   あまり文句を言えた筋合いではないのですが……。

   船内にはプリクラもあるので、
   女子高生たちが「ねーねーセンセー、みんなで一緒にプリクラ撮ろうよー」なんて
   先生に甘えているぐらいだと、まあ可愛くて、
   このオバチャン(私のこと)も目を細めちゃったりするわけですが。

   一般の人も使うラウンジに、
   20年前と変わらないような凄いデザインのジャージを着た
   イガグリ頭くんやオカッパ頭ちゃんがゾロゾロ集まってきて、
   いきなり「班長会議をはじめまーす」とか言って、
   膝をかかえて、床に座りこんで打ち合わせを始めると、
   管理教育(ってもう死語?)のトラウマが疼き始めます。
   声変わりを始めたばかりの蛮声が、はしゃいでドタバタ廊下で騒ぐのもねえ。

   もちろん、はしゃいでいるのは、生徒たちばかりではありません。
   一般の団体さんでも、船に興奮しているのか?
   はしゃぎすぎて、他のお客さんに怒られている人たちもいますね。
   調子に乗って飲み過ぎて、酔っぱらっちゃったオジサンに多い。
   個室以外のドアというドアをみんな開けてみようとしたり。

   修学旅行生たちと同船になって、何より困るのが、混むこと。
   通学を始めた当初は、
   「行きは2等寝台(カーテン付き2段ベッド)、帰りは2等(大部屋に雑魚寝)」
   と決めていました。

   しかし、とある女子高校と一緒になったときは、
   彼女たちが寝台を占領したため、大部屋しかとれず。
   一応、大部屋でも、場所は指定番号制なので、自分の寝床は確保されているのですが、
   そういう日に限って、イビキのすごい人とご近所になってしまったりするんですね。
   頭を接して寝ているオバアサンが、一晩中「ガッ!グゴッグゴッ!」と大イビキ。
   にもかかわらず、朝は5時前からスッキリとお目覚めになられて、喋る喋る。
   「どおしてそう大きな声で喋るか……」と思いながら、
   「少しでも睡眠を確保しとかないと、授業中に寝てしまう!」
   と必死で目をつぶっていました。

   その次の週も、修学旅行生と一緒でした。
   なんとか2等寝台を確保できたものの、混んでいたので、
   相部屋ということになりました。
   ところが。相部屋になった気の弱そうなオジサンが、
   またしてもすごいイビキの人だったのです。
   「ググググワオー。ンガゴゴゴ。ググググワオー。(以下延々続く)」
   またしても寝不足になってしまいました、はい。
   眠りに入れず苦しんで、思わず私が「チキショー」と言ってしまったのを
   カーテン越しに相方が聞いて、笑ってしまったそうです。
   ……ってことは相方も眠れてないんじゃん。

   逆に団体さんでも静かなのは、
   大分に向かう便のライダー、登山者のグループ。
   ほかに、宗教関係の団体さんともよく一緒になりますな。

   (23.Nov.1998)


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