岩田ビル
貸し事務所ビルフロアをオ-ナ-の居宅にリフォ-ム。
半世紀程前に建てられた事務所ビルの最上階をオ-ナ-夫妻の住居としてリフォ-ムしました。リフォ-ムのきっかけはご主人が体を壊され、ご夫妻が住いを郊外から都心へ移される決心をされた事から始まります。
改装するビルの四階のフロアの広さは19坪、3部屋の貸し事務室とトイレ部分をオ-ナ-の居宅として毎日の生活ができるようにする事が求められました。
プランは、玄関近くにトイレ、 寝室と浴室、洗面脱衣室のプライベ-トゾ-ン、廊下を通り奥にリビング・ダイニング+キッチンと和室のオ-プンゾ-ンの大きく二つに分けて配置しました。また、収納は玄関から伸びる廊下の外壁側一面をクロ-ゼットとし、リビング・ダイニングの部屋内まで連続して設けてあります。リビング・ダイニング部屋内のクロ-ゼットの扉を開けるとシステムキッチンが設置してあり、 突然の来客時などは閉めてしまえば汚れものなどを見られることがないようにに配慮しました。
玄関から廊下を通りリビング・ダイニングへ至る動線は、少しでも広さを感じて頂く為の仕掛けであるが、ご主人のリハビリにも役立てて頂けれ ばと思いました。
内部の仕上げは、床は杉のムク板フロ-リング、壁は黄土入り石灰クリ-ム塗りとしました。杉のフロ-リングは足触りに温かみがあり、軟らかい為傷は付き易いのですが、足腰の関節には非常にやさしい材料です。ただしコストの関係上、 節のある物を使っているので採用にあたって好みは分かれると思います。今回は非常に喜んで頂きました。
内部の建具は、天井まで建具高さとし、開けた時に開放感がある様に配慮しました。 また、水廻り以外はすべてフラットとし、将来のバリアフリ-にも対処できるようになっています。
高齢化社会を向かえ、老人は環境の良い郊外で生活するという考え方は考え直す時期に来ているのではないでしょうか。医療や生活消費財の購入、何より社会の中で孤立しないという事、地域社会全体で共存してゆく事が今後の福祉社会を成熟させる上で重要な課題となっていると思います。
リフォ-ム前・後プラン。
リフォ-ム前の状況。