ある非日常・4

公園の入口付近で、リュミエールを呼び止める者があった。
お子様組の3人+ティムカである。
「「リュミエール様。お誕生日おめでとうございます。」」
ランディとマルセルが声を揃えて言いながら、小さな鉢植えを差し出した。そこには、可愛らしい白い花が咲いていた。
「ありがとう。とってもうれしいですよ。」
今度は素直に喜びながら、リュミエールは鉢植えを受け取った。しかし、見たことのない花なので、どう扱っていいのか困惑した。
「見慣れない花ですが、どういう花なんですか?」
「ええっと、元々は向こうの崖の中腹に自生してる花なんですけど・・・。」
ランディは焦ったように言った。そして、マルセルがそれを引き継いで次のように説明した。
「去年の今頃、ランディが1株取って来ちゃったんです。でも、乱暴に持って来たんで根が痛んじゃってて・・・それで僕、辛うじて種が取れるようにだけして・・・その種から育て直したんです。それがちょうど咲いたので、リュミエール様に差し上げるのにいいかな、って思って。だから、これは僕とランディの2人からのプレゼントなんです。」
更にランディが、自分が取って来た株のことでリュミエールが悲しげな顔をしないかと心配しながら、付け加えた。
「あの、俺が取って来ちゃった分は、少し前にマルセルに注意されながら植え直しておきました。」
「そうですか。2人とも、どうもありがとうございます。」
リュミエールは本当に喜んでいた。
そうして3人で世界を作っていると、横から声がかかった。ゼフェルである。
「そんでもって、これが俺からのプレゼントって訳だ。」
差し出されたのは、小型のライトアップセットだった。何でも、ゼフェル特製のライトアップセットで、マルセル達のプレゼントした花に当てると、花びらが虹色に輝くのだそうだ。他の花でもそれぞれ美しく照らすし、ライト部分を台から抜き取ってペンライトとして使うこともできるらしい。
「ま、使ってみてくれよな。」
「ありがとう、ゼフェル。大切に使わせていただきますよ。」
リュミエールの微笑みに、ゼフェルは照れ臭そうに笑った。その和やかな雰囲気に、勢いについていけなかったティムカが、やっとプレゼントを差し出した。
「あの、僕からのプレゼントも受け取って戴けますか?」
「ええ。ありがとうございます。」
リュミエールはその場で包みを開けたかったが、「われもの注意」の文字と手元の自由度の都合により諦めた。まぁ、帰ってからの楽しみが増えて良いだろう。
リュミエールは4人に改めて礼を言うと、プレゼントを抱えてその場を去った。

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