METAL ART MUSEUM HIKARINOTANI

1999年
 3月20日
 〜4月18日

3〜4月の企画展



田中正弘展

−死を恐れるな−


会 期

 1999年3月20日(土)〜4月18日(日)

作家名

 田中正弘(たなか まさひろ)

作家紹介

 1946年新潟県生まれ。東京教育大学彫塑科卒業後,主に鉄を素材に作品を制作。87年からの「還土シリ−ズ」では土の上に鉄の造形物を置き,少しずつ錆びて土へ還っていく鉄の姿を表現。90年の「四季の径彫刻大賞展」においては,作品の真ん中を人が通り抜けられる現代の鳥居をイメ−ジした鉄と石の作品で大賞を受賞。91年からの「阿吽シリ−ズ」では,銅鐸をイメ−ジさせる鉄の墓標のごときもので,日本人の意識の古層を呼び覚ました。またさらに,94年友人の死を契機に,何者かに衝き動かされるように「死を恐れるなシリ−ズ」を制作発表。
 作風は具象的表現へと一変した。暗喩やメタファ−に頼らぬ,このダイレクトな現代のイコンとでもいうべき作品は,現代のア−トシ−ンの中で強い磁力を放ち続けている。
 無所属。

作 品

 内容:立体
 素材:木,古材,発泡スチロ−ル,石膏,布,鉄,金箔等 

制作意図

 「死を恐れるな」シリ−ズは,1994年友人の死を契機として創られた。それは衝き動かされるようにして創った,というよりも死者の導きによって創らされた,と言えばより正確であるだろう。これまでの作品は,こちらから求め求めてようやくたどり着くといった表現であった。しかし今回のイメ−ジは,突然後ろの方からやって来た。
 それは「日本人の意識の古層と私的感性とが通底するものから,現代的形象を生み出したい」として,20数年おもに鉄を素材とした抽象的表現を試みてきた者にとっては,このシリ−ズのように具象的表現へと作風を一変させることへの逡巡をはるかに越えて,唐突にしかも鮮烈にそのイメ−ジは訪れた。私はただこのイメ−ジを,具体的に秩序ある形にして世界に送りだす者,このイメ−ジの単なる通過者でしかないようであった。
 「死を恐れるな」シリ−ズは,死者たちの導きによる極私的な鎮魂譜であり,あるいは「現代のイコン」でもあるだろう。
 「表現行為とはその根底に,人間と世界との関係,あるいは人が生まれてから死ぬまでの総体が,骨絡み潜んでいるもの言いに他ならない」かってこのように言ったことがあるが,この思いは今も変わらない。暗喩的表現やメタファ−に頼らず,ダイレクトに受け手に峻烈でダイナミックな表現をめざしたい。

略 歴

1946 新潟市に生まれる
1973 東京教育大学教育学部彫塑科卒業
1976 初個展,以後 銀座を中心に個展・グル−プ展 多数
1989 第6回“接点” 以後 1998年15回展まで毎回出展
     (埼玉県立現代美術館)
    第13回宇部現代彫刻展 マケット入選(宇部)
    近松モニュメント彫刻展 マケット入選(尼崎市)
    第1回KAJIMA彫刻コンク−ル マケット入選
     (鹿島建設企画)
1990 第18回日本国際美術展 入選(東京・京都)
    90現代ガラスの造形展 入選(箱根の森美術館)
    四季の径・彫刻大賞展 大賞受賞(古河)
1991 「夕日モニュメント」制作(新潟・夕日海岸)
    サントリ−美術大賞展91 入選(東京)
1993 風の芸術展 入選(枕崎)
1994 新潟市野外彫刻大賞展・マケット 100展 入選(新潟)
    浦和市展 市長賞受賞(浦和)
1995 “C.A.F.”(埼玉県立近代美術館)
1997 “国際ヴァ−チャル・ア−トフェア”(日経ア−ト企画)
1999 個展 METAL ART MUSEUM HIKARINOTANI
     (千葉・印旛沼湖畔)