METAL ART MUSEUM HIKARINOTANI
2002/9/14
 〜10/13

9〜10月の企画展

たべ・けんぞうの世界展



会 期

 2002年9月14日(土)〜10月13日(日)

作家名

 たべ・けんぞう

作家紹介

 幼児の頃山口県から広島に移り住み,爆心地にほど近い廃墟の跡で遊び育ち,目覚ましいスピ−ドで復興を遂げる広島市中心地で青年時代を過ごす。家庭の事情で美術大学への進学は望めなかったものの,夜学に通い看板屋修行をする傍ら関心は常に美術の方を向いていた。1960年代より作品発表を始め,70年代に入って本格的作家活動を目的に上京。しかし一気に広がった刺激的な美術情報や氾濫するコンテンポラリ−・ア−トの真っ只中で,逆説的に自らの創作原点を問い質すこととなる。広島に育った自分がなぜ“ヒロシマ”を作品で語らないのか。意を決し“ときわ画廊”の天井を突き破らんばかりの巨大な蝋製のキノコ雲を,大火傷を負いながら制作発表する。80年代に“オレンジ・オペレ−ション”と題する大掛かりな立体作品を発表。自分自身とまだ5歳だった息子を含め家族全員を克明に再現されたリビングル−ム丸ごと“世界の終わる時”の中へ永遠に閉じ込めてしまったのである。この衝撃的な作品は様々な美術雑誌などで紹介されたが,核を直接的に表現した最後の作品となった。この転機は自身ではカルマからようやく解放されたかのようなごく自然の流れとして感じられたが,問題が全て解放されたというわけではなかった。地球はいよいよ切迫した時代に突入しているのは明らかであり,警鐘を鳴らしてももう間に合わない。人類は新たな時代を生み出すか,滅びるかのどちらかだろう。90年代からは頭で考えられた作品は一つもない。頭で考える暇などないほど指先からほとばしり出てくるかのごとく次々と生まれ出る金属による立体造型物の数々,手を伸ばす素材は捨てられた廃品機械や金属部品などが主で,理由もそれほど重要なことではない,それらを見ていると何かを作りたくてじっとしていられなくなるというだけのことである。
 大切なのはそこにわき起こるエネルギ−その物で,新たな世界が生まれ出ようとする息吹を見据えながら制作を続けている。

作 品

 内容:立体造型 
 素材:鉄 その他

制作意図

 今回の個展は1990年〜2002年までの12年間に渡る金属による立体作品の制作活動の一つの節目としての発表とする。

略 歴

1939 山口県に生まれる
【個展】
1973 ときわ画廊/東京
1997 METAL ART MUSEUM HIKARINOTANI/千葉・印旛沼湖畔
2000 千空間/東京                     
2002 水の国ミュージアム104゜/島根県
2002 METAL ART MUSEUM HIKARINOTANI/千葉・印旛沼湖畔
    その他15回
【グル−プ展】
1968,1972 第3回・第7回ジャパン・ア−ト・フェスティバル
       [メキシコ他]
1971 第6回国際青年美術家展[日本・東欧・ソ連展]
1976 世界シュ−ルレアリズム展[シカゴ,ブラックスワン画廊]
1995 第16回現代日本彫刻展[宇部市野外彫刻美術館]
    第5回東京野外現代彫刻展[世田谷美術館・都立砧公園]
1997 ロスアンゼルス国際ア−トキャンプ招待
   [EXHIBITIONS AT TRAMSAMERICA LIFE COMPANIES]
    韓国 Pyong Taek国際ア−トキャンプ招待
    [Pyong Taek Cultural Center]
1998 韓国 Pyong Taek国際ア−トキャンプ招待
    [Pyong Taek Cultural Center]
    立川国際芸術祭招待[立川市民会館]
1999 日米立体造形作家展[広島アステ−ルプラザギャラリ−]
    第18回現代日本彫刻展[宇部市野外彫刻美術館]
2000 ヒロシマ2000[広島県立美術館]
2001 日本金属造形作家展[神奈川県民ホ−ル]
    「Piece Fdr Peace 2001」[原爆の図丸木美術館]
 その他 受賞・パプリックコレクション多数