生活情報ページ(建物)-5


NO41 森山邸 2012.5.1

設計 西沢立衛
所在地 東京都

 ごくありふれた下町の住宅街を歩くと白いキューブ群が現れます。
一瞬何の建物か不思議な感覚にとらわれますがすぐにそれが住宅だと気づきます。

 森山邸はオーナー住居・オーナーの友人宅・賃貸住居が一つの敷地内に建つ小さな集合住宅です。 
 集合住宅というとオーナー住居を含むビルになりそうですが住宅街に突然ビルが出現すると町並みがこわれます。
このような思いから設計者の西沢氏はバラバラに建てることを考えました。
それも普通ならば一戸一世帯としますが、森山邸は2つの建物で一世帯、4つで一世帯と色々あって面白いのです。
地下のあるもの、3階建て、2階建て、平屋建て、バスルームが独立している建物、リビングの離れと様々で大きさ高さがすべて違います。

合わせて10の小さな建物群には界壁はなく、それぞれの庭や樹木でプライバシーを守りながらゆるく仕切られているので行き来ができるようです。
 各棟は小さいながら大きな開口をとっていて明るく開放的です。

部屋の内側から建物、庭、町へとすべてが一体とつながっている広がりのある住宅群です。
NO42 浅草文化観光センター 2012.9.1

設計 隈 研吾
所在地 東京都台東区雷門2-18-9

 雷門といえば言わずと知れた世界的な観光名所ですね。
どなたでも一度は訪れたことがあるのではないでしょうか? 
 その雷門の道路を挟んで向かい側にあるのが今回紹介する建築です。

 浅草文化観光センターは旧建物から「探せる」「見せる」「支える」の3つを柱として計画、隈研吾氏の設計により今年2月に完成しました。

 建物は狭い敷地に観光案内、会議室、多目的ホール、展示室など盛り沢山な用途をいれるため、高くならざるを得なかったといいます。しかし過剰に自己主張するのではなく、その「場所」とのつながりをもたせるため、浅草寺、仲見世通りの盛り場を「界隈」とし、その下町の界隈を積層して立体化しました。

 具体的には切り妻や片流れの屋根を持つ木造平屋をいくつも重ねたような形です。
外観はカーテンウォールの枠に不燃木ルーバーを均一にならないように取り付けており、天井にも同じ木ルーバーを取り付け内外の繋がりを意識しています。
 この木のルーバーは建物にあたたかみを持たせ、見る角度によっては違った表情になります。

 立地が観光地であることからトイレ利用のニーズに対応し多くのトイレを設置しています。また8階には喫茶室があり、浅草寺と仲見世が見渡せます。
 その外部に接する見晴らしの良い展望テラスからは東京スカイツリーが見えちょっとした穴場となっています。こちらは無料で利用できます。


NO43 武蔵野プレイス 2013.1.1

設計 川原田康子+比嘉武彦/kw+hgアーキテクツ
所在地 東京都武蔵野市境南町2-3-18

 JR中央線・武蔵境駅を出てすぐのところに楕円窓が並んだ白い建物があります。
ここは図書館、生涯学習、市民活動、青少年活動の4つの機能を複合した公共施設です。

 入り口を入るとカフェがあり人々が本を読みながらあるいは談笑しながらすごしている姿に驚かされます。
図書館の貸し出しコーナーとカフェは一体にデザインされており、ごく自然に本を手に取りお茶が飲めるのです。

 内部空間はいわゆる「角-かど」がなくシェル状になっているので照明も天井から曲面を通してやわらかくまわり込み包み込まれている感覚があります。
また間仕切りや廊下がなく自由に歩きまわれる場所がそこここにあり、皆思い思いの居場所をみつけて落ち着いていました。

 空調は天井内から冷気と暖気を送り出しているので目障りな機器はいっさい見当たりません。
ふと吹き抜けを見上げると2層ごしのフロアが見え興味がそそられてつい上がってみたくなりました。

 1階の雑誌コーナーでは、年配の方々や仕事帰りのサラリーマンでテーブルがすべて埋まり、地下2階の青少年のためのスタジオラウンジは中・高校生がいっぱいで活気に満ちていました。

 特に目的がなくても行けば何か面白いことがありそうな、また気軽に集まれる新しい概念の公共施設だと思います。



NO44 無鄰菴 2013.5.1

設計 山懸有朋  作庭・七代目小川治兵衛
所在地 京都市左京区南禅寺草川町31番地

 新緑の映える気持ちの良い季節となりました。
5月の連休には遠出をされた方も多くいらっしゃると思います。今回は国の名勝に指定された庭園を紹介します。

京都の東山山麓に明治、大正の政治家である山懸有朋が別荘を構えました。
郷里の萩にしつらえた隣家もなく閑静な所にあった草庵と同じ名で「無鄰菴・むりんあん」といいます。
 3135uの面積を持つこの庭園は有朋自ら設計し、「植治」こと七代目小川治兵衛が作庭しました。

 琵琶湖疏水の完成により新たな環境を整えた立地を生かし山村を流れる川をイメージした池ではなく流れのある庭になっています。
 また、借景である東山を庭園の主山とし、まるで裾野が広がっているようです。

 それまでの伝統的な造園手法で作庭をしてきた植治でしたが、山懸有朋の自由な発想に応え、山・川・平野・海という大きな自然観をまとめあげる非凡な能力を発揮しました。
 明治に入り西洋の影響を受け、庭もサロンの色合いが濃くなってきた時代の流れに沿って苔に変わって芝を使うなど、旧来の寂びの庭ではなく、伸びやかで開放的な庭が植治によって誕生したのでした。

 眺める庭から五感で味わう庭へ、この無鄰菴で名声が高まり、京都東山山麓には植治の手掛けた庭が多くあります。
 皆さんも機会があればこれらの庭を巡ってみてはいかがでしょう。




NO45 東山旧岸邸 2014.1.1

設計 吉田五十八
所在地 静岡県御殿場市東山1082‐1

 元内閣総理大臣の岸信介氏が建築家吉田五十八に依頼して出来た自宅です。
現在御殿場市に寄贈され一般公開されています。

建築家が設計した住宅の内部が見れるのは貴重な体験です。
年月も経っていますが、空間の質は現在でも古さを感じさせません。吉田五十八は庭を含めての空間を考えていたと推測され、内部から見た庭も素晴らしく、四季に応じて行ってみたくなります。
場所はアウトレットの近くです。隣にあるとらや工房も含め上質な空間です。

東山旧岸邸のリンク

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