6 短3度(長6度)の練習
長3和音の振動比率は4:5:6になるというのは先ほど話したとおりですが、互いに響き合う音というのは、振動数が整数比で表すことができます。その考え方でゆくと、短3和音は16:19:24なのかと想像できますが(長3和音は16:20:24だし、18はレの音だから)、そんなに簡単な話ではありません。下の表を見て下さい。
というのも私たちが、短3度と感じている音程にはいくつかの種類があるからです。くだんの倍音表を思い出していただきたいのですが、たとえば、ミとソの音程比は5:6ですし、ソとシbは6:7であったりします(#ファとラは11:13)。
ではミとソの短3度上の短3和音はどうなるかというと5:6:7,5ですから10:12:15ということになります。
同様にソとシbでは6:7:9になりますが、シbが平均律よりも随分低くなるので、平均律に慣らされた私たちの耳には、短3和音に聞こえません。
簡単な話ではないというのはそういうことなのですが、ここで3つの音の最小公倍数を求めてみましょう。その数が小さければ小さいほど、短い時間に波形の始まりが揃うので、協和するということになります。
16:19:24の場合 912
10:12:15の場合 60
6:7:9の場合 378
ということで短3和音の振動数比は10:12:15と言って良いですね。
ではどうやってこの響きを体験するか、次の譜例を参考にやってみて下さい。
2段目のリピートマークの部分の運指はミがオープンでそこから半音ずつピストンを押していって下さい。ドは23で、シは13で、シbは123の運指でやりましょう。
続いて、長6度の取り方