7 長7度(短2度)の練習


 純正調の長7度の振動比率は下の表(倍音)によると6:11になります。小数で表すと1.8333333333......です。一方、平均律はというと、約1.8877486254になります。大きな誤差です。平均律に慣らされた耳には、純正調の長7度は、長7度に聞こえないでしょう。

 調性音楽の場合、短2度の上向形(ハ長調のシードーの様に)は導音と見なされ、少し高めに取る場合が多いですが、ハーモニー的には、ドミナントコードの主音から見て長3度という事で、低めに取った方が純正調に近い響きと言えます。どのピッチが正しいのか、簡単な例としてCmajor7のコードで考えてみましょう。

 最初に言ったとおり、倍音上で長7度は6:11(小数で表すと1.8333333333......)になりますが、実際には長7度に聞こえないという事でした。ここで視点を変えて、ミの音を基準に考えてみます。シの音はミの完全5度上なのですから、ド:ミ:シの振動数比は8:10:15(ドとミが4:5、ミとシが2:3なので)となります。小数で表すと1.825ということになります。

 では次にソを基準に考えてみましょう。ド:ソ:シの振動数比は8:12:15(ドとソが2:3、ソとシが4:5なので)となり、こちらの計算でもド:シは8:15となります。ミとソとも協和するドとシの音程(長7度)は8:15という事になります。

 ではここで実習ですが、設計上2番ピストンの抜き差しの長さは、まず、正確な平均律の半音のピッチであると言えるでしょうから、ここを起点にして練習を始めることにしましょう。この練習は始めは3人で練習する(奏者Cを加える)のも良いでしょう。

 まず、長7度の練習から始めます。奏者Cは純正調のミを吹くようにします。奏者Bは初めは一人で、ドーミーシーと吹き、二度目はドーミーとなぞっていって、ミに対して完全5度を吹くようにします。これが耳で捉えられるようになったら、5小節目に書いた範囲の音で同様にやってみましょう。最後に、ミを聴かなくても、シーの音高がイメージできるようになったら、このエチュードは完成です。

次に短2度です。長7度がきちんと取ることができれば、こちらは比較的簡単だと思います。譜例も簡略化しています。

 先ほどの「調性音楽の場合、短2度の上向形(ハ長調のシードーの様に)は導音と見なされ、少し高めに取る場合が多い」事について少し補足しますと、次に美しいハーモニーが来るときに、その直前のハーモニーをわざと汚す事は、次の美しいハーモニーを引き立てることにもなります。導音を高く取る理由は、シからドへの運動性を高めると共に、そういった次のハーモニーを引き立たせる役目もあるのでしょう。あくまでも、場面場面に応じた対応が必要です。

ここでここまでのおさらいとして1曲、吹いてみましょう。メロディはどこか聞き覚えのあるメロディだと思います。


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