8 増4度(減5度)の練習


 増4度(減5度)の振動比率は下の表によると7:10(シbとミ)8:11(ドとファ#)になりますが、8:11(ドとファ#)は除外して考えます。11倍音のファ#は、私たちの耳にはファ#に聞こえないからです。

 平均律でいうと2の2乗根(約1.41421356)になります。

 バロック前期までは、この音程は、汚い音程だから、使ってはいけない事になっていました。しかし、作曲家はどの時代でも、先鋭です。最初にこの音程を堂々と(確信犯的に)使ったのは、コレルリだと言われています(おぼろげな記憶で、実際は確かめていませんので、その内ちゃんと検証します)。多分、これも、次の美しいハーモニーをより際だたせるために使ったのではないかと想像します。

 さて振動数比の話に戻りましょう。増4度(減5度)は視点を変えると短3度音程が2つ繋がったものと考えることができます。その視点で、振動数比を考えてみますと、25:36になります(ミとソが5:6、ソとシbも5:6とすると)。小数で表すと1.44です。ではこれで良いのかというと、矛盾が起きます。シbとミの1オクターブ上も増4度(減5度)音程ですが、この振動数比は36:50(18:25)になってしまいます。こちらも小数で表すと約1.3888888889になります。

 もっとわかりやすく言うと、増4度が2つで1オクターブになりますが、この比率(25:36)では1オクターブ上の振動比が2.0376となり1オクターブより広くなってしまいます。

 これらの検証から考えられることは、増4度(減5度)の場合、根音がどの音であるか、判断する必要があるいうことです。場面場面に応じた対応が必要です。イメージしにくい人は、もう一度、短7度の練習に戻って、ドとシbの関係ではなく、その時のミとシbの関係を聴き取るようにして下さい。

 では次のような全ての音程が短3度の減7和音について考えてみましょう。この場合、短3度の振動数比が5:6だとすると、矛盾が起きることは上でも説明しました。4つの音を同じ音程差で並べるためには、それぞれの短3度を2の4乗根に取るより無い事になります。


おまけ

 減7和音が出てきたので、ついでにオーギュメントコードについても触れておきましょう。この場合も、純正調で考えると、振動数比は25:30:36ですが、この場合も、前と同様、矛盾が起きてしまいます。この場合の音程比は2の3乗根ということになります。


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