2000.01.16.
★bay-fm「エバーポップ」★

 

寄稿/お〜いさん

D J:古川恵実子
ゲスト:キリンジ(堀込泰行、堀込高樹)
(敬称略)

古川:よろしくお願いします。
二人:よろしくお願いします。
泰行:え〜、キリンジの、え〜、ボーカルの堀込泰行です。
高樹:え〜、キリンジでギターとコーラスをやっています、堀込高樹です。 よろしくお願いいたします。
古川:あの、BAY・FMでは木曜日深夜三時からオンエア中の 「ペイパードライバーズミュージック」でおなじみのキリンジですけどね。
二人:はい、そうですね。
泰行:おなじみの・・・。
古川:ペイパードライバーのくせに・・・なんか、泰行さんはそれを脱せられたそう で。
泰行:そう。一瞬。二日間だけ。
古川:ホントに一瞬。(笑)
泰行:あの・・。
古川:あの、PVを、
泰行:はい。
古川:撮られてきたんですよね。
泰行:そうです。
古川:パリで?パリでなんですか?
泰行:でも正確にはパリじゃないです。
高樹:あのね、フランスのドービルというところなんですけど、もう、 ノルマンディーの海岸の近い方の、まぁ、避暑地なんですけどね。
避暑地に寒い時期に行って来たんです。すごい寒かったです。
泰行:すぅごい寒い。
古川:(笑)避暑地なのに寒い時期に行って。もう二日間ぐらい・・・。
    じゃぁ、もう、こっちでもがんがん、車をこれからどんどん。
泰行:ちょっと、そういう気になってはいるんですけどね。
古川:なかなか行動にうつせない。
泰行:あ〜、まぁ、自分でも車持ってないですしね。
高樹:レンタカー。あ〜、レンタカー、レンタカー。
古川:レンタカーでね。
泰行:そうかなぁ?
古川:そんな風になればいいなということで。
泰行:はい。
古川:キリンジのお二人なんですが、そんなロードムービー風のプロモーションビデ オも素敵な
ニューマキシシングル「アルカディア」が1月19日にリリースさ れます。
泰行:はい。
古川:こちらは、えっと、12弦アコースティックギターを高樹さんが弾いている ということなんですが。あの、私、この12弦と6弦の違いみたいなものが よくわからないんですが。
高樹:普通、6本弦があるじゃないですか。それと同じ、例えば、6弦だったら 6弦はミ・・・ドレミのミなんですけど。あの、細い弦がね。太い弦の横に ついて いるんですよ。それが各弦あるんですよ。
だから、ミのところはミの細い弦があるし、ラのところはラの細い弦が ついているんですよ。じゃらん、て弾くと普通は6弦ギターよりもなんかこ う キラキラしたというか、なんか不思議な響きが得られるよね。
古川:あえて、じゃあ、今回はそういう音を求めて12弦を選んだという事なんです か?
高樹:あの〜エンディングにちょこっとだけやったんだよな。
泰行:そう。あの、なんか、アクセントとして。
高樹:アクセントとして。
泰行:ポロロ〜ンとか入ってる。
古川:(笑)
泰行:でも、いい役割をすごいしてるんですよ。
古川:かなり短い時間でも?
泰行:そうですね。効果的だと思いますね。
古川:それは、高樹さんご自身が。
高樹:そうです。
古川:選ばれたという。
高樹:そうですね。僕、それしかギター弾いてないですね。
古川:(爆笑)
高樹:「俺が弾くんだよぉ〜。」とか言って。
古川:今回は、もう、泰行さんにけっこう・・・。
高樹:そうですね。泰行、メインって感じですね。
古川:まかせてっていう感じで。
泰行:うん。そうかもしれないですね。うん。ギターとかに関しては。 でも、あのポロ〜ンもいいですから。
古川:ほめて・・ほめてるし、・・(爆笑)
高樹:あぁ、ありがとぅございます。・・・ありがとうございます。
泰行:あの、重要な・・・ポイントです。
高樹:頑張りました。
古川:お互いで・・・。
泰行:はい。
古川:ほめあって・・。
泰行:はい。
古川:曲もそうなんですが、その、お二人の書く詞なんですが、こう、歌詞カードを 例えば見ないで、初めて曲だけ聞いて、その後に歌詞カード・・・歌詞を 見たりすると、 聞こえてたものと違ったりということがあったりするんです よ。
泰行:あぁぁぁ。
古川:わかる? なんて言ったらいいんだろう。
高樹:ありますね。ありますよ。
古川:わかりますか?あります?ありますよね?
高樹:別にキリンジの曲に関してではないですけど。人の曲でね、ありますね。
古川:だからそういう感覚が、キリンジの曲でもすごく感じたのですが。
   それって、何なのでしょうね。なんで、そういう事がおきるのでしょう。
高樹:あの、あんまり耳慣れない言葉だとかを平気で使うっていうのと。
泰行:うん。
古川:うん。
高樹:あと、なんですかね。センテンスで、こう何か言われると 認識しやすいんだけども単語・・・と単語の組み合わせでぼんぼん言ってい る感じ だから、早口でわかりにくい、というのは、ちょっとあるかもしれないね。
泰行:そう・・・だね。
古川:たとえば、単語と単語1つずつはそんなに、別に珍しくなくても組み合わせ方 が。
泰行:あぁぁ。
古川:不思議な感じなんで、「あぁ、こういうことだったんだ」て、なんか。
   なんて言ったらいいんだろ。逆に言ったら、英語の歌を聴いている感覚というか。
泰行:あははは。
古川:あの、歌詞と聞こえ方がぜんぜん違っていたんで・・。
高樹:あ〜そうかもしんないですね。漢字で、例えば、4文字あったりするとね。
   すごくかたい言葉のような印象があるかもしれないけど、でも、発してみるとわりとやわらかかったりとか。
古川:ええ。ええ。
高樹:あと、やわらかい響きの言葉なんだけども、そのもの、実体そのものが わりとごっつい言葉だったりすると、そういう理由で敬遠しますよね。
古川:ええ。
高樹:あんまり、そのへんに頓着せずに、というか、わりと面白がって使ってるかも しれないですね。
古川:タイトルとはどうしてるんですか?キリンジのタイトルは変わったというか、 なんか、タイトルだけでも、すごい、どんなのだろうと聞きたくなるような のが多いと思うんですけど。
高樹:僕は、わりと、イージーですね。あの、その歌詞の中で一番印象的な言葉とか。
古川:を、そのまま?
高樹:歌い出しとか、さびあたまとか、あと、けっこう気に入っている言葉を選ぶとか。
古川:あ〜そんな感じなんですか。
高樹:その程度ですね。僕は。
古川:泰行さんもそうなんですか?
泰行:ま、僕も基本的にはそうですね。ただ、僕の場合は、歌詞の中に出てこない 言葉をタイトルに使うっていうこともけっこうあるんですよね。なんか、だ から、まぁ、
タイトルも詞の一部というか、タイトルと詞があって、初めてその関係性の中で
こう世界が広がるっていうのもおもしろいかなって思っているんですけどね。
古川:じゃ、高樹さんほど・・・。「俺はもっと考えているんだぞ!」ってこと?
泰行:いや、そういうわけではないです。
高樹:(笑)な〜んですか。その言い方。僕が適当みたいじゃないですか。 ちょっとそれ・・・・。
古川:(笑)いや、そんなことない。そんなことないです。それほど、お互いにタイトル に対する感覚が違うのかな?という私の素直な感想。(笑)おこんないで。
泰行:あぁぁ。
高樹:別に、そんな、そんなことじゃ、おこんないですよ。
古川:その歌詞、その言葉1つ1つ持っている力みたいなものって何かこう感じる事 はありますかね?
泰行:なんすかね。
高樹:僕はこういうイメージで書いたけれども、それが誰かに伝わる時に、その、 なんつぅのかな、言葉の背景の意味とかね。そういうものの感じ方っていう のは人それぞれ育った環境が違うから、違うんです。若干ね。だから、そういうところで誤解とかあったりとかいうのがあって、それもおもしろいかなって、思うんですけど。
古川:その誤解?
高樹:例えば、「白」って言った時に、何を思い浮かべるかわかんないですけど、なんだろな、雪景色を思い浮かべるのかもしんないですけど、僕、わりと「白」って言われると、わりに、グレーみたいなのを思い浮かべるんですよ。くせでね。なんとなくね。
古川:それは、ひねくれもの、とか(笑)そういうことじゃなくて。
高樹:いや、違う。(笑)あの、そういうことじゃない(笑)と思うんですけど。だから・・・僕は「白」って言っているけれども、実際はグレーのことを歌っているのかもしれないんだけども、たぶん、聞く人はそうは伝わらないですよね。
古川:へー。
高樹:だから、必ずそういう、ずれがあって、それが困ったなぁと思う時もあるし、おもしろいなぁと思う時もある。
古川:それは、困ったなぁというのは、自分が思ったことをそのまま伝えたいのに・ ・・ということ?
高樹:うん。そうですね。本当、本当ならば、1から10までちゃんとわかってもらえたらいいですよね。でも、それは、難しいなとか思う時ありますよね。
古川:なかなか、そう全部が全部はならないということ・・・。
では、ここでキリンジの2000年の第一弾、1月19日リリースのニューシングルを聞いていただきたいと思います。それでは、曲紹介の方をお願いいたします。
泰行:はい。キリンジで「アルカディア」を聞いて下さい。

アルカディア

古川:お送りしたのは1月19日リリースのニューシングル。キリンジで「アルカディア」でした。
お知らせの後もキリンジの魅力の秘密にせまりたいと思います。この後もよろしくお願いいたします。
二人:よろしくお願いします。

CMが終わり、BGMにはっぴいえんど「抱きしめたい」がかかる。

泰行:なつかしいなぁ。
高樹:(笑)
古川:(笑)古川恵実子がお送りしているBAY・FM エバーポップ。
ゲストには、引き続きキリンジのお二人をお迎えいたしております。
高樹:よろしくお願いします。
古川:よろしくお願いいたします。
泰行:よろしくお願いします。
古川:さて、この番組に出演していただくに当たって、泰行さんの方にお答えして いただいたアンケートによりますと、影響を受けたアーティストとその曲が 「はっぴいえんど」の「抱きしめたい」(*註1)ということなんですが。
泰行:はい。
古川:あの、お二人はあれですよね。去年の11月9日、10日におこなわれた 松本隆作詞生活30周年記念トリビュートライブ「風待ミーティング」にも参加されて。(→11/9・出演者&演奏曲目
泰行:出ましたねぇ。
高樹:出ましたねぇ。
古川:「てぃーんず・ぶるーす」と「雨のウェンズデイ」を。
泰行:はい。
古川:を歌われたんですよね。
高樹:歌ってしまいました。
古川:(笑)歌ってしまいましたけれども。すごい・・・
高樹:はぁぁ。
古川:はぁぁって、今、懐かしむような。
高樹:いや、懐かしむっていうかね。ちょっと後悔。
古川:(笑)よかったと思う・・・ますけど。
泰行:(笑)
高樹:泰行はよかったですけど、僕はピンで歌うことに慣れてないんで。
泰行:ははは・・・。(笑)ギターも持たないし。
高樹:ギターも持たずにね。普段、歌わない奴が・・・。
古川:そうそうそう。手ぶらでいるっていうのがね。なんか変な感じでした。
高樹:なんか弾きゃあよかったなと思ったんですね。
泰行:そうねぇ。
古川:ちょっと後悔の念がね。
泰行:ちょっと、余興の・・
高樹:ちょっとね。
泰行:余興・・・。
高樹:なんかね。
泰行:キリンジはそういうのあったかも。余興感が。
高樹:本当にお祭り気分だけで。
泰行:(笑)そうそう。
高樹:ですね。
古川:それもすごくあり。キリンジカラーじゃないんでしょうかね。
高樹:どうでしょう。そういうふうに好意的に見てくれる人もいるけど。
泰行:他の人もっとみんなねぇ。
古川:そんな悲感的に考えなくたっていいじゃない。みんなこう・・(笑)。
高樹:(笑)やっぱ、気になるんですよ。普段、歌わないから。
古川:ねぇ、よかった?ほらほら。
高樹:大丈夫ですか?
古川:みんな、うなずいているもん。ほら。よかったですよ。
高樹:あぁ、よかった、よかった。
泰行:はまりの曲だと思うよ。はまりっていうか「雨のウェンズデイ 」。
古川:もう、だめだ(笑)。
高樹:あぁ、俺はまってる?
泰行:はまりナンバー。
古川:うん。・・・よかったと思います。
高樹:ありがとうございます。自信(もちます?←聞き取れず)。
古川:あのじゃ、お話をですね。(笑)泰行さんの、その「はっぴいえんど」の「抱きしめたい」。「キリンジ」の歌詞が持つ世界観と「はっぴいえんど」と共通するというか。
泰行:うん。
古川:なんか、こう(?聞き取れず)ところがあると感じるんですが。
そのなんか、30年経っても「はっぴいえんど」ってまだ聞き続かれていたりとか ラジオで流れてきたりとか、そういう今でも受け継がれているというような曲がたくさんあると思うのですが。
キリンジの目指すところというか、キリンジが考えるいい歌、世代を越えられる 歌っていうのがどんなものなのかちょっとおうかがいしたいのですが。
泰行:なんなんですかね。僕が思うのですはね。例えば、なんか、本を読みながら聞いてたりすると、あの、その音楽の方に、こう、気をひかれすぎちゃって本を集中して読めなくなってしまう・・・ような曲で。かつ、じゃあって、音楽の方に、あの、集中して耳を傾けた時に、あの、より引き込まれるものがいい歌だと思うんですけどね。
古川:うんうんうん。
泰行:それに、音楽の方に集中して聞いた時に、それですぐつまんないなってなっちゃう、要は、ただ主張だけ強いものってあるじゃないですか。
古川:はいはいはい。
泰行:そういうのは、僕はいい歌だとは思わない・・・
古川:うん。
泰行:ですね。
古川:その、音楽を聞いて・・・そっちにより引き込まれる・・・
泰行:んー。
古川:歌がいい歌。泰行さんが考えるいい歌。
泰行:僕はそうですね。うん。
古川:じゃあ、一方、高樹さんの方は?
高樹:やっぱり、そのなんだっけ、うん。「スキヤキ」(*註2)とかね。
古川:はい。
高樹:「雨に濡れても」(*註3)とか。向こうの唱歌(?自信なし)ですけど。あの、やっぱり、なにかこう、初めて聞くんだけども何か郷愁を感じさせるっていうやつですかね。
で、それは、なんだろうな。自分の昔の過去なのか、それ以前の過去なのかわからないんだけども、あるいは、どっか知らない所の・・・に対して郷愁を感じるのかわからないけども。
ともかくここではない、なんか、どっか別の場所に心が行ってしまうようなね。そういう気分をさせてくれるような音楽かな・・・と思いますけどね。
古川:うん。そういう音楽って不思議とありますよね。
高樹:そうですね。
古川:そういうのってまた今度聞こうとか、自然に手を伸ばして聞いてたりとか。
泰行:うん。
古川:そういうのが、いい歌ですね。はい。それではですね。残念ながらキリンジとはお別れの時間が、
高樹:はい。
古川:近づいてまいりました。ここで、今後のご予定をおうかがいしたいと思うのですが。
泰行:はい。
古川:まずは、1月19日リリース「アルカディア」の方を。
泰行:はい。
古川:チェックしていただいて。
高樹:お願いします。
古川:2月18、19日には大阪、名古屋でイベントがあるそうなんですね。
そして、4月19日からは、キリンジツアーパート1がスタート。関東近郊では、4月21日の赤坂ブリッツにて。お問い合わせ先はナチュラルファンデーションまで。こちらは、パート1ということはパート2、パート3とどんどん続いていく。
高樹:そうなんですね。
泰行:うん。
古川:わけなんですね。
高樹:あの〜マキシシングルをね。
古川:はい。
高樹:出すんですよ。今回。いっぱい。
古川:2000年!
高樹:今年は。
古川:そうですね。
高樹:でね。出す度にツアーをするっていう。
泰行:はははは。
古川:お!本当に?
高樹:本当ですよ。
泰行:そういう予定なんですよ。
高樹:そんな感じなんです。
古川:そうなんですか。
泰行:おみやげを持って行くんですよ。
古川:あ、はいはいはいはい。
泰行:各場所にね。
古川:えーえーえー。計、マキシシングル、計4枚リリース・・・
高樹:一応、予定としては。
古川:予定としては。これはどんな感じになっていくんですかね。
高樹:一応、毎回新しいキリンジ。
古川:うん。
高樹:キリンジらしくて。
泰行:うん。
高樹:ちょっと、また違う。また新しいっていうようなものを出したいと思っていますね。
泰行:うん。
古川:うんうん。これが、5枚になったりとか、はたまた3枚に減ってしまったりとかは?
高樹:5枚になることは・・・
泰行:5枚はないですね。やっぱ、もう、一杯一杯です。
高樹:それ出しすぎですよ。(笑)
古川:(笑)4枚っていうね。
泰行:アルバム作れちゃいますよ。
古川:じゃ、その度にライブがあるということなので、
高樹:はい。
古川:みなさん、是非そちらの方も。
高樹:来て下さい。
古川:お楽しみにということで。はい。それでは最後にもう一曲聞いていただきたいと思います。それでは、曲紹介の方をお願いします。
高樹:キリンジで「千年紀末に降る雪は」を聞いて下さい。
古川:今夜のゲスト、キリンジのお二人でした。どうもありがとうございました。
二人:ありがとうございました。

千年紀末に降る雪は
 


*註1)風待ミーティング・ステージ上での松本隆さんへのコメントで、泰行さんは「この曲には『♪僕は 煙草をくわえ〜 一服すると "スゥ〜"』と、煙草を吸う音が入っているんですが、僕はこれをやりたくて大学時代にタバコを吸い始めたんです。ロックンロールの力は偉大だという...」と言っていました)

*註2)坂本九「上を向いて歩こう」の英題。日本人初&唯一のビルボード・全米1位に輝いた曲。

*註3)B.J.トーマスが歌った、バート・バカラック作曲の映画「明日に向かって撃て!」主題歌。

‥‥‥‥(以上、註のみ みやもり

2000.02.13. up

 


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