2002.11.29.
キリンジ×teeveeg presents「AV」@渋谷公会堂


Play List● 

01.Fat Bottomed Girls
〜2.牡牛座ラプソディ
 --MC
03.鋼鉄の馬
04.汗染みは淡いブルース
05.むすんでひらいて
06.シーサイド・シークェンス(RMX ver.)-メンバー紹介-
〜7.ダンボールの宮殿(RMX ver.)
08.千年紀末に降る雪は
 --MC
09.さよならデイジーチェイン
10.悪玉 (vo.泰行&真城)
11.まぶしがりや
12.代官山エレジー
13.エイリアンズ
 --MC
14.風を撃て
15.グッデイ・グッバイ
16.太陽とヴィーナス
17.サイレンの歌
 --encole
01.ムラサキ☆サンセット
02.来るべき旅立ちを前に
 
 
出演‥‥堀込泰行/vocal,guitars
    堀込高樹/guitars, vocal

    田村玄一/steel guitar,guitars,steel pan, cho
    立川智也/bass
    鈴木達也/drums
    大山泰輝/piano, keyboad, chorus
    山口とも/perc, chorus
    真城めぐみ/ chorus


そふぃあさん

 こういうキリンジが観たかった、というファンはメジャーデビュ ー前後から沢山いただろう。本人達も『47" 45'』ぐらいでサウン ド的にはこのようなライブをやりたかったのかもしれない。当時力 不足でできなかったことを今回実現し、良いタイミングでファンの 期待にも応え、実にしっくりくるライブだった。右スピーカー寄り の席だったが聴きやすい音で、じっくりゆったり、くつろいで楽し む。何度も曲間でため息をついた。
 キリンジライブ史上最強のメンバーが揃ったバンド編成なくして、 この大人の雰囲気は創りだせなかっただろう。大山さん、真城さん (Hicksvill)、田村さん(BM's)と歌えるメンバーが揃ったのもバン ドがしっくりする要因だったのでは。特にコーラスパート以外でも 歌いながら演奏していた田村さんの姿が印象的だった。またキープ ができないやんちゃドラマー鈴木さんと、コミカルな動きまで妙に リズミカルな見かけと裏腹に、実はクラシカルで端正なリズム感の 山口さんという組み合わせも上手く噛み合う方向に働き、時々バト ルに走るのも御愛嬌で良し。二人に挟まれた立川さんがいつになく 楽しそうだった。
 今回のライブの予定は早くから決まっていたが、私も映像とのコ ラボレーションという売り込みに懐疑的だった一人だ。さらに 『OMNIBUS』の緊急リリースが重なり、キリンジが何をやりたいの か、その動向には首をかしげた。全ては想像の域を出ないが、レコ ード会社の移籍が完了した後に振り返れば、移籍の意志自体は少な くともライブの予定が決まった前後には固まっており、企画もキリ ンジ側が主体的に進めたものだったのだろう。渋公でのライブが売 り切れになるアーティストの作品の売り上げは皮算用されるし、レ コード会社との最後のお付き合いで『OMNIBUS』は世に出たのだろ うか。
 一口に映像とのコラボレーションといっても様々なタイプがある。 Boom Boom Satellites は無彩色な鋭い映像を短いスパンでひたす ら繰り返して一つのライブを突っ切る。Corneliusは曲ごとに独特 のwitのセンスで魅せてくる。ビョークは稀有な個性で音楽と映像 を融合させる。キリンジの試みはまだまだ試験的な段階を出ないだ ろうが、歌ものとしてのキリンジの音楽の心地良さを演出してくれ る方向への発展を期待したい。

 アーティストとファンは友達でも何でもない。緊張関係にある。 けれど、こんなに愛しているのに応えてくれない、とアーティスト に理想を押し付けて勝手に嘆くのも変な話だ。何が起きるのかは飛 び込んでみるまでわからない。その選択は信じるか否かの問題だ。 様々な問題に囲まれていても、私にとってキリンジは信じられるア ーティストである。

2003.06.12. up



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