浄土真宗の仏事・おつとめ あなたの知りたいことは? 本文へジャンプ
お墓について

お墓の正面にはなんと刻んだらよいですか

お墓というものは、阿弥陀如来の働きによって、お念仏をいただかれて お浄土へ参られたご先祖のお徳をしのぶために建立されるものです。お墓を建てられる方は、正面に「南無阿弥陀仏」の六字の名号か、「倶会一処」と刻みます。最近は親鸞聖人や蓮如上人の筆による「南無阿弥陀仏」の文字を刻んだお墓も見かけます。そして家名は台座等に刻みます。浄土真宗では、追善供養を目的とする卒塔婆は用いないので塔婆立ては不要です。お墓は「してあげる」場所ではなく、「して頂いた」ことを心に刻み、感謝する場所です。

故人はお墓の中にいらっしゃるのですか

お墓は私の命の源泉である先祖を追慕する空間です。何よりも先祖にお蔭によって、この私が、浄土真宗のみ教えを聞く人間に生まれ、こうして念仏の喜ぶ身とお育だてを頂いた。その先祖のお徳を偲び感謝する場所です。故人は、お墓の中に暗い場所にいるのではなく、念仏の教えや、人間の生まれたことをよろこぶ時、常に、その思いを育んでくれた人として、いつでも出会っていける方です。かといって駅ホームのベンチで感謝の独り言はいえません。ゆったりと安心してだれに気兼ねすることなく語り合える場所がお墓です。


墓参のこころえは

お墓は、亡き方を通して自分に出合って行く場所です。自分ことは自分が一番知っているようで、意外と自分を見失っている場合があります。そんな時、お墓の前に立つと「この一週間、どんな生きたかでしたか」となき方の声が聞こえてくるようです。先祖や仏さまのまなざしの中にある自分に出合って行く場所がお墓です。三角の富士山も真上から見るとまん丸です。お墓は、死(永遠)の側という違った角度から自分を見つめることのできる大切な自分のための場所でもあります。


お墓を建てる場合の注意点を教えてください。

まずその墓地の使用規則を熟読し、自分の考えにそった墓地であることを確認することが必要です。

宗派を問わずと書いてあっても、来るものは拒まず(宗派を問わず)、建墓後は檀家というケースもあります。

   @ 知っている住職があれば、まずは相談する。相談することによって、教えにそぐわないお墓や、     よけいな物を造ることなく、公苑墓地であれば、墓地の情報も得ることができます。

A        お墓は建てる時機にこだわる必要はありません。家族の思いと資金の準備ができた時に造りません

B        石碑の正面に「南無阿弥陀仏」の名号か「倶会一処」(浄土で一緒に出会える場所の意)など仏語を刻みます。家名は一段下の石や門柱の石碑に刻みます。

C        墓相に惑わされる必要はありません。また塔婆建てや観音像、地蔵像、宝塔などは建てません。

D       建立の日付を「吉日」とせず、〇年〇月か、日付を記名するなら「好日」と書きます。

E        故人の法名とを記す石版は「法名碑」と刻み「霊標」などとしません。


お墓にお参りする仕方を教えてください。

お墓にお参りは、基本的にはお仏壇と同じです。ただ寺院墓地の場合は、本堂のご本尊に合掌礼拝してから墓所へ行きます。
@       墓石やその周辺の清掃をする。
A    花立を清掃し花を供えます。花は参拝者側に正面がくるように立てます。
B    線香に火を付けて供える。
C    墓前で合掌礼拝し、可能であればお経を読みます。読経のCDをかけて一緒に読経しても良いでしょう。

D   生ものなどは供えません。お供えの原点は、故人のプレゼントですから、感謝の心や、無事に生活していることの報告そのものがお供えです。お供えの極まりは、、阿弥陀如来のお慈悲を喜ぶことです。阿弥陀仏のお慈悲を喜ぶことは、いつ、いかなる私であっても、その私を大切にできる世界がそこに開かれていくからです。


お墓を建てた時の法要は

 お墓を建てたときの法要を「建碑法要」(建碑慶讃法要)といいます。浄土真宗では他宗で用いる「魂入れ」という言葉は用いません。墓参の機会は、阿弥陀さまや先祖のお徳を仰ぎ、自分と出会っていく時間です。その為には、その場所で浄土真宗の教えに触れていくことが大切です。

 法要の折に必要なものは、線香、花、餅菓子、果物等のお供物などです。できればお焼香用の机とお焼香セット(香炉、火種、お香)があればなお結構です。お供物は、海苔やお茶のどの参拝者に配れるものでも良いでしょう。


田舎のお墓の移転(改葬)したいのですが。

現在あるお墓を別の場所に移すために必要な法律(墓地、埋葬等に関する法律)上の手続きについて先にご説明いたします。
@ 現在の墓地管理者(お寺なら住職)の承諾を得て「埋葬(埋蔵)証明書」を交付していただくとともに、移転先の墓地管理者から「受け入れ証明書」を発行してもらいます。
A 現在のお墓のある自治体(市町村)へ行き、役所の窓口(市民課、戸籍課など)にある「改葬許可申請書」に記入して、すでに手元にある「埋葬証明書」と「受け入れ証明書」とともに窓口に申請し、「改葬許可証」を取得します。

役所からの「改葬許可証」を現在の墓地管理者に提示し、遺骨を引き取ります。(現在の墓地管理者と日時の打ち合わせを行い、お墓を開ける為に石材店等の手配が必要なこともあります。法要も行った方が良いでしょう。)
C 移転先の墓地管理者に役所からの「改葬許可証」を提出し、新しいお墓に遺骨を納骨します。(このときも石材店等の手配と法要の手配を要します。)

D 事務手続きは以上ですが、墓地の移転は先祖が慣れ親しんできた土地との決別なので、お寺があれば、永代経懇志を上納します。また墓碑があれば、その墓碑を小さく加工して、墓地の由来を認めて新設墓地に建碑しておくこともよいでしょう。

真宗ではなぜ卒塔婆をあげないのですか。

卒塔婆とは、インドの言葉である「ストゥーバ」の音訳であり、「塔」のことです。塔とは積み重ねるという意味です。仏教では、仏舎利を納めて標識を立てたものから発達して、各種の塔となりました。しかし通常、卒塔婆といえば、木製の木柱を指し一般には塔婆と呼称しています。これは、故人の追善のために塔を立てることが、簡略化して、現在のようになったものです。塔婆の上部を「地、水、火、風、空」の五つに刻んで輪塔を象徴するものとなっていることがその証拠です。

浄土真宗で塔婆を用いない理由は、塔婆を立てることの基礎には、善を積むという考え方があり、その善を故人の供養に振向けることが塔婆の建立です。ところが、浄土真宗は、自分の善をつんで仏果を得たり故人を救済するのではなく、阿弥陀仏の智慧と慈悲による救いを説くので塔婆を立てる必要がないのです。