音楽のお部屋 6
は〜い!
ナッちゃんで〜す!

今度はギターだよ〜!

3つあるからね〜。
これが、お父さんのメインギター・・・

河野 賢スペシャル1993年だよ。

ドイツ松とハカランダで、できてるんだって。

クリーム色でキレイなんだよ〜。
・・・え〜。お父さんです。
世界的銘ギター製作家・河野 賢さんは、
1999年に惜しくも亡くなられました。 
エチケット(ラベル)のサインは、今や
貴重なものなんですね。

LUTHIER・・・というのは、「リューティエ」
と読んで、楽器職人のことなんですね。
語源は「リュートを作る人」のことなんです。
ちょっと珍しいものがありますので、
お見せいたしましょう。

側板のところに少し緑っぽいところが
ございましょ。

この色抜けは、どうしてできたと思われますか?

実は、コレ、河野 賢さんがホワイトギター
(ニス塗り前の状態)のときに、
うっかり指でさわって、
その手脂(てあぶら)が10年近く経って、
紫外線の作用で出てきたらしいんです。
それを教えてくださったのは、今の私のギターのお師匠さんで、
元・河野ギターで製作をしていた佐藤隆先生です。
「社長の人間らしいミスだから、許してやって・・・」
とは、やさしいお言葉。
さあ・・・。
それでは、河野ギターの世界に
肉薄してみましょうか!

まずは、このヘッド。
独特のデザインですね。
‘友達の輪!’みたいなこの形、
工芸的に超ムズなんですと・・・。
(お師匠さん曰く)

現・河野ギター社長の桜井正毅さん
は今も、いろいろとデザインを試行錯誤
しているそうです。
このペグ・ボックスの斜めの切り込みは、
リュートと同じく、張った弦がどれもピリンと
鳴るように設計されているとのことです。

桜井社長から直接伺った話です。

また、ギターの場合はできるだけ、弦が
まっすぐに近くなるように張った方がよい
そうです。

桜井さんは、なんと上智大学電子工学科卒の
理系の人なんですね。
これは自慢のペグで、特注の「ゴトー製」です。

日本のメーカー「ゴトー」が、イギリスの名門
「ロジャース」を意識して製作したものだそうです。

黙っていれば、知る人がみれば
「これ、ロジャースですよね・・・」
って、言うんですね。

お師匠さん曰く。
「手先の器用さじゃ、日本人がイギリス人に
負けるわけないでしょ・・・」
ですって・・・。
なんか、妙に、説得力あるんですね。

で、この、「コ゜トー製ロジャース風ペグ」・・・ややこしい(笑)
ロジャースより格安で、モノがいいそうです。
ここだけのハナシ・・・(笑)。
どアップで見ますと、ツマミがアイボリー(象牙)
で出来てるのがわかりましょ。

このシマシマが高級感を醸し出してるんですね。
でも、ゴトー製なんです(クドイッ!)

それと、切り込みのデザインがイイですね。

このペグのほんとうの真価は、ギヤがまるで精密
機械の歯車のごとし、シャープさにあるんですね。

職人さんの手作りィ〜!
入魂〜!
みたいな迫力があります。
見事な工芸品です。
このネックに嵌め込まれた2本の黒檀は
河野オリジナルで、最初は構造的な補強の
目的だったらしいのですが、
「音までシマッよくなった・・・」
という、曰く付きのモノだそうです。
(お師匠様談)

世界の著名ギタリストが使用している、
今や、『世界のコーノ』ですが、
ネックの後ろに、黒い二筋のラインが見えたら
「あ〜。コーノだぁ〜」
と思ってください。

ワタシゃ、安モンのギターで
2本の黒い線引いたやつを
見たことあります・・・(笑)。
ご愛嬌かな〜。
河野はスペシャル以上のモデルが
このブリッジになっています。

やや、19世紀ギターの「ニコニコ・ブリッジ」
を思わないでもないですが・・・。

マエストロ桜井リューティエ曰く
「ブリッジは面積が少ないほど
表面板の振動面積が広がるから、
長方形から角を少しでも取って、
強度とのバランスを計算すると、
この形になるんだ・・・」
とのことでした。

さすが、理論派で納得しました。
93年モデルのロゼットと、
パーフリング(縁飾り)です。

やや地味目ですが、緻密で
まったくの手抜きがありません。

全音ガンバも、このあたりを
見習ってほしいものですね。
裏板は正目のハカランダです。

ほんとは・・・雲竜模様のような
ウネリのある木目が良かったのですが・・・。

でも、これもいい材料なんですって。

年々ギター材も枯渇してきたのと高騰して、
「93年頃は、今よりもかなりイイ材料を使っているんだよ・・・」
とは、お師匠様の弁。
裏板のパーフリングです。
見事ですね。

全音のガ・・・。
もう、いいですね・・・(笑)。
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