イ タ リ ア 古 典 音 楽 修 行
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日付メ   モ
'09.12.01
 やれやれ…、乗り換えはやはり大変でした。ティブルティナ駅は時計も電光表示も壊れていて何番線に行けばよいのか全くわかりません。Mちゃんが根気強く時刻表を見てくれて何とか間に合いました〜! 本当によかった、これを逃したら次は2、3時間後になるところでした。それまでの駅はちゃんと電光掲示板に行き先と発車時間が出てたのですが…。
 というわけで、結果的には時間通りにスポレートに着き、無事ホテルに入りました。ダブルとセミダブルをくっつけたゆったりベッドです。すぐにインターネット接続を試みましたが、去年と同じく無線LANがつながらず、フロントに頼み込んで接続させて貰いました。


'09.12.02
 ぐっすりと8時間寝て、朝9時から1時間かけてウンブリアの美味しいプロシュットなどの朝食を頂きました。野菜がないのでフルーツ中心に、日本ではシーズンが終わってしまったブドウもたくさん食べました。
 昼夜の気温差が激しくガスが出やすいため、部屋のバルコニーに出てもなかなか晴れた風景は見られませんが、だから美味しいブドウができるのでしょうか。
 昨夜チェックイン後(日本時間の朝7時頃)、すでに24時間近く起きていた我々は私が昨年通ったレストランへ行きました。Mちゃんがグラスワインを頼むと数あるボトルの中から何とモンテファルコを出してくれたので、彼女は感動の嵐! 当然ながら私は自粛…でした。これから先も期待できそう…と食べ物や飲み物に関心が集まりがちな我々ですが、今日は午後2時から音出しです。さあ準備をせねば!
'09.12.02
 今年8月以来のマエストロとの再会です。
 会うなり、まず「あまり練習ができなかった」と謝ると、Mちゃんに「Yumiは東京でイタリア語のうたを歌っているか」と訊き、「聞いたことがない」と言われて「ショック!!」…。まず最初に去年やった曲を2曲合わせたところ、発音等をクリアしていっただけの私に更なる要求が!! 民族の伝統を踏まえた発想などできるはずもなく打ちのめされてしまったので気分を換えるため新しい曲をやることにしました。去年楽譜を貰って大好きになったカヴァッリのカンターテを歌うと(彼はこの楽譜のことを忘れていたのですが)、突然、「教会でやろう!」と言い出し、町の小さな教会へ移動。
 たしかに響きやバランスがつかみやすい。「明日はトレヴィの16世紀のオルガンでやろう」とマエストロが電話すると、明日はダメで明後日の3時に決まりました。どこまで発展するのやらイタリア音楽修業。
'09.12.03
 昨夜はお風呂に入ったら疲れが出たのか、一字も書けないまま寝てしまいました。8時間熟睡して目覚めると、今朝は素晴らしい眺望! まさに天上のごとき暮らしです。1時間以上かけて朝食をとり、昨日のテープを聴き直しています。
 フィオレンティーナのトリルなるものを初めて知り(いったい日本でどういう教育を受けてきたのかということですが)、手掛かりをつかむまで3回くらいやり直してしまうため、何度も御説明いただき、申し訳ない限り。トレヴィの教会で歌うまでにはマスターするぞ! と固く心に誓う私でした。
'09.12.04
 ついに歌いました、80%オリジナル(約20%補修)の16世紀のオルガンで!
 カッチーニ、カヴァッリ、ドゥランテなどは私の歌でも雰囲気が出たので、ちょっと驚きました。モダンでは絶対にこんな風には歌えないでしょうね。教会そのものが素晴らしいので、自然にタイムスリップした気持ちになれたのかも知れません。不思議なくらい響きがスウィートで声が20歳くらい若く聴こえる点もいいですねぇ。いつもこの教会で歌えるとしたら、百歳まで現役でいけそう…?
'09.12.04
 トレヴィの教会で歌ったあとはサプライズが!? 1661年からオリーヴオイルの製造をしている農家へ連れて行って下さったのです。今年の製造が昨日で終わり、新しいオイルとワインの試飲会を始めようとしているところへ押しかけた形…。モンテファルコに近いせいか、ワインがとても美味しく、これまでに味わった赤ワインの中では最高! これで明日は声のコントロールが甘くなって歌えないかも知れませんが、そんなことは言ってられないほどの芳香でした。搾り立てのオリーヴオイルはきれいなグリーンで溜め息の出る美味しさ。
 右は今年のオイルとトレヴィの教会に併設された美術館にあるペルジーノの絵ハガキ、頂き物です。
'09.12.05
 今日で持ってきた曲を網羅できました。でも、もう少し完成度を上げなくては…。
 今晩連れて行ってもらったトリュフ主体の料理を出すレストランでは、卵にトリュフソースを入れただけの前菜、山羊のチーズ&トリュフスライス、旬の野菜のフリッター、トリュフのスパゲッティなど、素晴らしいメニューに舌鼓を打ちました。訊くとホテルもあるとか。
知っていたらここを予約したのに、帰りの列車の都合でナルニ近郊の農園ホテルを予約してしまった私。次に泊まれる機会が訪れることを期待しましょう。
'09.12.06
 夜8時過ぎに着いたので景色は全く見えませんが、途轍もなく素晴らしい空間に来てしまったみたい(私のチュニックとも合ってる?!)。今朝まで個別のシングルユースでしたが、ここではアパートメントタイプの二部屋続き(60u)を一室ずつ使っています。
 広大な農地の中にポツンと建つ一軒家で真っ暗な田舎道が続くため、マエストロに「こんなに辺鄙な場所にあるホテル、どこで見つけたの」と驚かれましたが、インターネットのホテルブッキングのページで10点満点だったので6月に予約しておいた次第です。三室しかないため、まさに早い者勝ち。
'09.12.07
←朝食後、ネコとまったりしていたら、このあと地獄が待っていました。
 丘陵の一軒家は建物も調度品も素晴らしく、朝食はプロシュットとチーズの種類も豊富で、卵料理も希望をきいて作ってくれたので満足しつつ部屋へ戻ったら、床暖房の上に直接スーツケースを置いていたことに気付いて真っ青! 昨夜オリーヴオイル30本入りのスーツケースが重すぎて台の上に載せないまま開いたため、トリュフ入りチョコレート約2万円分が融けてしまいました。お土産を期待していた皆様ごめんなさい、オイルもダメになってしまったと思います…。
'09.12.08
 インターネット接続を試みましたが、我がパソコンはホテルの無線LANに全く反応せず、ホテルのパソコンは日本語に対応していないため、近況をUPできないばかりかメールも読めませんでした。
 リハーサル最終日はビデオを録る予定でしたが、連日の疲れからか声がバリバリで残念ながら使いものにならず、どうにか録った一曲もたぶん鑑賞に堪えないのではないかと思われます。誠に申し訳ないことながら、これが器楽のようにはいかない声の弱点かと…。コンディションの良い日に録れればよかったのですが、言葉もありません。
'09.12.09
 ウンブリア田園地帯の大地主が経営するホテルでタクシーを頼んだら、出発前夜、息子さんが戻ってきて下さいました。最後のリハーサルから戻った我々が「ウンブリアの赤ワインを飲みたい」と言うと、息子さんはとてもコクのある一本をプレゼントしてくれました。マダムはコーヒーや果物やクッキーをいくらでも持ってきて下さるし、Booking.comでの10点満点の評価はもっともと頷けました。ただ、現在コックさん不在で夕食をとれないのが玉にキズ。町までは数キロあるし、車がないと移動は不可能です。それで息子さんが我々の送迎役になって下さり、ユーロスターに乗るテルニ駅で切符を買ったのち周辺を案内してくれたのです。あらゆる点において行き届いていると思ったら、彼は旅行会社に勤務し世界中を飛び回っているとか。それにしても、ここまで完璧にもてなして下さるホテルは珍しいと思います。あとでリンクを張りますので、機会があれば是非お運び下さいませ。
 今回の旅で御縁を頂いた皆様の御好意によって信じられないほど幸せな思いをいっぱい味わえたことに感謝いたしつつ(機内にて)。


'09.12.11
 Mちゃんが送ってくれた画像を見て、今回は全行程すっぴんの旅だったことを思い出しました。化粧崩れを心配しないで済むので、12時間のフライト後、そのまま列車に乗り込みました(何より時間が節約できます)。この旅の目玉トレヴィの教会は小高い山のてっぺんにあります。お天気が悪かったので美しく撮れなかったのが残念ですが、とても素敵な町です。

'09.12.12
 かなりこのページが重くなってしまったので、真緑色の新オリーヴオイルのページを別に作りました(残念ながら、頂いたボトル入りのオイルは緑色ではなく黄色でした。オイルもワインも瓶詰めにする前が美味しい…)。トレヴィの教会のオルガンはどういう位置にあるの? との質問も何人もの方から頂いたため、正面に向かって左側の壁の3分の1ほどを撮った画像をUPしました。全体の写真は素人にはとても無理です。部分部分は撮りましたが、暗くてはっきりしませんし…。オルガン画像の下の2枚が教会に着いた午後3時と閉館後の午後6時過ぎの画像です。この風景の中に1661年操業開始のオリーヴオイル工場があります。新酒は室内の樽からピッチャーに注いで下さいました。樽の前にニコニコのMちゃんが写っているので(肖像権の関係から)画像をUPできませんが。まあ、ともかく毎日たのしませて頂きました。あと少し画像が届いているので、またUPするかも知れません。

'09.12.13
 もうすぐ27時?! 正午に千葉大学に居なくてはならないため、マルモレの滝を見ようと登ってゆく時の画像のみUPしておきます。私の歩き方が変なのはポルチーニ茸を探しながら歩いているせいですが、毒茸しか見つかりませんでした…。
 山では、籠から溢れそうなポルチーニ茸を抱えて意気揚々と帰ってゆくおじさんや、背負子姿でポルチーニ茸を探すお兄さんや、バスケットを提げてポルチーニ茸を採りに行くおばさま方に出会いました。滝のしぶきで地面がほどよく湿っているのがキノコに適しているのでしょう。次回は絶対に籠を持って行きます!!
'09.12.14
 少々疲れる仕事をしていたら30時を過ぎてしまいました。長すぎる一日だったので、気分転換に16世紀のオルガン画像をUPして寝るとしましょう。それにしても、この落差は何? Mちゃんはオルガンのアップを撮り、私はオルガンのステージに上がる石段を撮ってた…(今より太ったらここを通れなくなる…という切迫した事情が私に古色蒼然とした階段を撮らせた?) 何より16世紀には太ったオルガン奏者や歌手がいなかったという証拠ですね。靴を横にしてしか進めない幅の狭い螺旋階段は、一段ごとに高さが違う上、摩滅して平らじゃない部分が多いので降りるのが怖いほどでした。視力0.05ですし…。

'09.12.16
 こ〜んな料理に未練タラタラながら、鯛飯やら、下仁田ネギと比内鶏のしゃぶしゃぶやらを作って日本人に戻ろうとしている私。
 15日の午後から抗生物質を止め、電話で喋った方々に「その鼻声どうしたの?」と驚かれつつ、むりやり仕事に復帰しました。
 常に死に物狂いでやらなきゃならない‘虎の穴’の暮らしと、ウンブリアの牧歌的生活のギャップはあまりに大きすぎます。そろそろネジを巻かないと1月〜3月にかけての古賀メロ、伊福部昭、唱歌&童謡、催馬楽、アイヌ音楽というスケジュールは(一応ヒトなので)到底こなせませぬ。
さらば ウンブリア…

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