Shyutiku of 坪田眞幸建築研究所

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竣工    1995年9月
構造規模  木造地上2階建
●面積
敷地面積  2531.47㎡
建築面積  128.86㎡
延床面積  194.84㎡ 
●主な外部仕上げ
屋根  カラ-スレ-ト平葺
壁    アクリルリシン吹付 
建具  アルミサッシ:岩住アルミサッシュ

●主な内部仕上げ
天井  玄関ホ-ル、食堂、居間/米松練付合板 OSCL
      書斎、洋室、寝室/PB厚9㍉AEP
壁   玄関ホ-ル/砂入プラスタ-木ゴテ摺り
     食堂、居間、書斎、寝室/PB厚12㍉AEP
床   玄関ホ-ル、食堂、居間、書斎洋室、寝室/
ナラフロ-リング

修竹の家

築90年の家を二世帯住宅に。

 この住宅は、大正及び昭和初期に建てられた数寄屋住宅を 高齢のご両親とご子息夫婦の二世帯が快適に暮らせるようにリフォ-ムしたものです。
既存部分を含めた計画で配慮した点は、それぞれの生活時間帯が異なること、プライバシーが保たれること、家族の集まる部分は一体としても個別としても使い分けが出来ること、新しいプランによって動線に無理や無駄が生じないこと、既存の暗く寒い部屋を明るく暖かいものにすることなどでした。
特にご両親の使い勝手に戸惑いを与えるような変更は避けるようにしました。又、将来に備えすべての部分で段差が無いように、外部から内部へ出入り出来る様にすること、水廻りのバリアフリ-などにも配慮しました。
北側の蔵と日常使用する玄関部分、母屋の表玄関及び座敷二間を残して、主に水廻り部分を撤去、一階に親世帯と子世帯の共用部分を設け、二階に子世帯のプライベ-ト部分を設けました。又、既存の便所、書斎を撤去して中庭としましたので、以前は全く陽の射さないジメジメとした場所でしたが、一階のリビング・ダイニングにも陽が入るようになり、明るく開放的な場所になりました。この中庭の周囲をぐるりと廻って各部屋へアプロ-チできるようにしたので、移動するごとに違った景色に出会うことができます。動線にも変化を付けることができましたし、住まい方にも面白味が増したと思います。
 このご家族は、先々代から貿易の仕事をされておられ、国内外のお客様が多くお見えになり、立食パ-ティなどを催すことができるように、親世帯のLDと子世帯のDKとは可動の間仕切りで一室にも使えるようになっています。既存の座敷二間と続けて建具で開閉する事により、生活のスタイルに合わせて空間の大きさを自由に変えることができるのです。大勢のお客様がお見えになってもご両親は独立した空間を持てるように配慮しました。
 ご子息が以前の建物にとても愛着をもっておられて、撤去する"おくどさん"の上部に架かっていた梁を何とか生かしてもらいたいと要望されました。私としても、調査をしながらこの立派な梁を何とか残したいと考えておりましたので、この家の守り神として精神的な拠り所となるように大黒柱とすることを提案しました。又、もう一本は板に挽いてもらい、食堂のテ-ブルとしてよみがえりました。
 巳むを得ず解体したとはいえ、先々代からこの家族の歴史を見守ってきた建物の古材が新しい空間でより身近にどっしりと存在しているのを見ますと、時間の積み重ねを受け継いでいくことが"文化"ではないだろうかと改めて気づかされました。

プラン図

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