ある非日常・7

リュミエールが邸の中に入ると、メイドが封書を持って来た。
一通はチャーリーからで、もう一通はクラヴィスからだった。チャーリーからの封書の中には商品券が入っていた。いっつも贔屓にしてもらってるから誕生日のお祝いに、ということらしいのだが、だから何か買いに来て欲しいという裏があるのが分かるので、リュミエールは苦笑した。
そして、クラヴィスからの封筒の中にはカードが入っていた。『今夜9時、枕元に贈り物を・・・』と書かれていた。

リュミエールは早寝するために急いで入浴し、オリヴィエからもらったシャンプーを使ってみた。「リュミちゃんにぴったり」と言うオリヴィエの言葉どおり、低刺激性で微かにハーブの香りがするというものだった。乾かした後も櫛通りが良く、髪の潤いも張りも適度でリュミエールは大変気に入った。
「さすがはオリヴィエ。よく、これだけの品を見つけて来られるものです。」
リュミエールは感心した。

夕食後、リュミエールは早めにベッドに入った。
今日の出来事を振り返ってどっと疲れが出たが、精神的な疲れからかウトウトしては目が覚めて、なかなか寝付かれなかった。そんなことを繰り返しているうちに、クラヴィスの指定した9時となった。
そして、リュミエールの上に闇のサクリアが降り注いだ。その安らぎに満ちた力に眠りに落ちて行きながら、リュミエールは思った。
「ああ、やはりクラヴィス様が一番良く分かってらっしゃいますね。」

-了-

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