インタビュー２

インタビュー２

（以下、経営コンサルタント　1997年2月　Ｎｏ．580　Ｐ．137～142より抜粋）

「水をみつめていくと

すべてが見えてきたのです」

エム・シー・エム社長　畑中賢爾　

NHKもテレビ放送で採り上げたという「単分子の水」が静かな話題を呼んでいる。約35億年前、地球に初
めて生命か誕生した頃とほぼ同質の機能を持つ水だという。その水の再現に成功したという研究者に聞
いた

水に特殊な圧力を加え究極の単分子水を創り出す

―いうまでもなく、我々は水の思想を受けて生きております。いや、我々だけでなく、森羅万象、万物すべてがそうでしょう。その万物の源である水が汚れている、生命を脅かすほどに汚れてしまっているわけですね。

畑中　誰が汚したのか、すべて人間の仕業なんですね。汚した水を自分たちできれいにしようとはしない。行政に任せっきりです。行政だって、カルキ（塩素）をどんどん放り込んで害を最小限に食い止めようとするだけで、元のところを見ていないし、考えていない。しかも、害を無くそうとして入れる塩素自体が我々に害を及ばしていることも衆知の事実です。今の水は、病人を薬漬けにしているのと似ています。　

―薬漬けにすれは活力も弱るし、副作用も出ます。

畑中　水だって同じですよ。それで私は、この弱った水に活力を取り戻すにはどうすれはいいかを考えました。

―そして、本来の機能を持った水の開発に成功されたということですが

畑中　そうです。水に特殊な圧力を加えることによって、分子運動が驚異的に活発になるんですね。そうして、究極の単分子水ともいわれる活力のある水を創り出すことに成功したんです。

―それで特許をお取りになった。

畑中　はい。『活性化鉱水の製造方法及び装置』に関する発明として、日本をはじめ、米国なと世界八カ国で特許が認められています

―それはどんな水ですか。

畑中　Minimal Catalyst（ミニマルカタリスト、略称MICA）といいまして、極小の触媒という意味の水です。

―普通の水とどう違うのですか。

畑中　水はご承知のように水素と酸素の化合物です。分子記号はH2Oですが、H2Oはそれぞれ単独で存在しているのではなく、いくつかの分子が葡萄の房のような状態で群れをなしており、この分子の集団をクラスターと呼んでいます。汚れて弱っている水は、このクラスターが大きくなり、水の分子がいろんなものを抱きかかえて肥満化しているために、飲んでも消化管の細胞の中に浸透しにくくなっているんです。いわゆる、還元作用の低下した水です。そのためにすぐ満腹感を覚えます。それに比べて天然の湧水などは、クラスターが小さいので、細胞内に入りやすいんですね。したがって、飲むと細胞機能を刺激して新陳代謝を活発にしますから、おいしいと感じるんです。それが天から与えられた水本来の姿ですが、環境がどんどん壊れてしまって、自然のメカニズムだけではどうしても機能のある水を創り出せなくなってしまっているんですね。そこで、私が開発した方法で水に圧力を加えて分子運動を引き起こし、クラスターを極限の単分子にまで近づけて活力のある水を創り出したのです。この水は、水素結合が切れて小さなクラスターの状態になっていて、時間が経過してもその状態を保ちます。そして、この水を原水として、各物質に反応記憶させる加工法がMICA加工なんです。この技術を利用して、いま各産業分野で、しかもいくつかの有名企業が、新素材なり商品なりを開発あるいは発売されているんですよ

活性化された水が触媒になり他の物質の分子を活性化する。

―水に圧力をかけても圧力が取れるとまた、元の大きなクラスターに戻りますね。

畑中　その辺が特許技術なんですが、一定の圧力でもって加圧し、循環させることで、水ほ臨界点に達します。こうなるともう、水は極小分子のままで元に戻らないのです。これが「水の記憶」ということなんです。水というのは、水蒸気になって蒸発して、還元しで雨になって戻ってきます。地下に滞り、相当な圧力で何百年か前の水が押し出されて出てきます。これが我々の生活用水になり、また海に戻って、それが繰り返されます。私は、その擬似装置を作ったんですよ。水の圧縮・膨張・曝気を繰り返し、究極の抵抗値ゼロまで押し込めますと、水は分子運動で八〇度℃ぐらいの熱に変わります。究極は一〇〇度℃ぐらいの熱を持ちます。これをバァーッと開放させ、また閉じこめて…を繰り返しますと、ニ四時間で水はその繰り返しを記憶するのです。圧縮・膨張・曝気を記憶する。MICA加工というのは、この水を使って、繊維や金属、プラスチックなどを作ることなのですが、これは、この「水の記憶」をそれらの製品に伝えるということなんです。活発な運動性向を持った水の分子が触媒になって、物質の分子に本来持つ運動性向を伝えるわけです。

―むずかしい（笑い）。

畑中　つまり、活性化された水を媒体として、水の記憶が物質に伝わり、さらにこの物質もまた、触媒になるんです。たとえは、MICA加工処理をしたテトラポットを水に沈めますね。すると、テトラポットに接触する水もまた共鳴して活性化されるんです。

―本当ですか。

畑中　ウォーターサイエンス研究会という研究機関があるのですが、そこの測定データによりますと、興味深い結果が出ているんですよ。水道水1㍑に、私が開発した水を使って作ったテトラポットを沈めて、経時測定をしたところ、水分子の大きさを示す半値幅は三〇分後に一四八・〇Hz、一時間後で一五一・一Hz、五時間後には九八・六Hz、二四時間後には何と五五・ニHzにクラスターが小さくなっていることがわかったんです。

―何で測るのですか。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　▲上へ戻る

畑中　NMR（核磁気共鳴装置）です。水のクラスターというのは世界的に認められているんです。 NMRは通産省も認めている現状では究極の分析装置で、HIVの世界でもNMRで調べるんです。

―大阪や東京とかの都会の水の半値幅は普通、どのくらいですか。

畑中　大体、一四○から一五〇Hzです。塩素とかいろんなものを抱えていて飽和点が大きいんです。私はこれを、比喩的に大会社だといっているんです。余剰人員を抱えているから動きが悪いわけです（笑い）。

―なるほど。ところで、一時間後にはもう一つ大きくなっていますね。リバウンド効果というのですかね。

畑中　そうそう。一度リバウンドして、本来あるべき姿に戻るんです。五五・ニHzまで戻ると、もう一度一四八・〇Hzまで抱えられるわけです。これが呼吸です。吐くから吸う、これの繰り返しです。だからまだ、今は片一方で、クラスターが小さいからいいとか、一つの弁証法にしてみても、片一方側しか言ってないわけです。水はクラスターが小さい方がいいんだというように。しかし、小さくても影響力のない小ささでは吸収されるだけです。大会社へ一人乗りこんで、どうのこうのと、のたもうても、その声が掻き消され、吸収されてしまうのと同じです。大会祉を論破し、改宗させてこそ小さいのが生きる…、そうでしょう。

すべての物質は法則に従って“善の循環”を繰り返す

―水が塩素ですとかをどんどん抱え込んで飽和点に達したので、その半値幅を下げて新しいキャパシティーのある水に戻そうと…。

畑中　そうです。しかしそれは、水だけではありません。現代の政治・経済をみてみてもそうでしょう。それはなぜかというと一方通行だからです。戻りがない。どんどん行く。滞まるところなくとんどん行くわけだから、とこかで飽和点がきますよ。金融にしろ、厚生省の問題にしろ同じです。エントロピーが増大しているわけです。第二熱力学の世界です。そのエントロピーの増大という拡がりの世界が終ったら、適当な求心力で元に戻らなけれはならないわけです。今まさにその時代なんですよ。

―人間性を忘れた物づくりをしてきましたからね。

畑中　経済スピートとか利便性とか、プラスはかりの方向を追求してきたわけですね。追いつけ追い越せで。すべてそういうプラスを入れることを善しとしてきた。しかし、行き過ぎると必ず、プラス過剰の世界が来るのです。いわゆる、活性酸素過剰です。それがまさに飽和点に達したのです。だから、物は沢山あり余っているけれど、本当に求めてきたものが何だったのかを見失ったのです。物質の中に人の心が埋没したのです。

―膨らめは一方が引っ込む…。道理ですね。

畑中　そう。たとえば、柔らかいボールを抑えると、反対のゴムが前に飛び出る。質量保存の法則でいえは、絶対量はひとつも変わらないわけです。プクッと膨らんだ反対側は、ペコンとへっこんで、何かを捨ててきているんです。その捨てた側の重みに今、気づかなけれはならないんです。結局、大きな広がりが終ったところでもう一度、物と心をどう繋げるかというところに戻らなけれはならないと思いますね。

―質量保存とエントロピーの増大の間を行き来しているわけですね。

畑中　そう。そして、戻ったら行く。戻らないから行けないんですね。もう一皮、原点に戻ってやり直そうやということです。もっと、人間にとってどうですかという物づくりに戻らないと…。我々のこの俗世の世界に、ついて回るのは経済であり、お金であるわけですから、それなくして今の時代は生きていけないのですから、私だってそれを否定するわけではありませんが、ただ、それが行き過ぎたがゆえの、自分さえ良けれはいいというプラスを現在、迎えたわけですから、そうではなく、もっと本来の、人間という根源に関わるところへ一度戻って、そして新しい時代をもう一度再生しようやという、まさにこの時代は酸化から還元の時代です。

―錆び切ってますか。

畑中　いや、酸化し切ったとはいいながら、完全酸化はしていません。錆び切ってはいませんが、完全酸化をすると、次は還元するようにできています。それが法則というものです。ただ、九九・九九九…まで来ています。そこで止まると酸化するのですが、そこからポッと抜けたら還元します。それがいわゆる完全燃焼であり、本来あるべき姿に成していくということです。　ところが、今は逆に九九・九九九…で止めようとしているわけです。抑えようとしているわけです。抑えたらどうなるかといいますと、そこで活性酸素過剰の状態を作ることになるのです。蓋をするわけですからね。

―するとどうなりますか？

畑中　生命体の中で吸収できないものをどんどん入れて、臭いものに蓋をするわけでしょう。するとそれはフロンガスみたいな形になって、オゾン層つまり、生命体の表皮を被って出て来ます。また、被って出て来てもらわないと、そんなもの体内に残ったら害になる。生命体からいえは、オゾン層は表皮ですから、表皮を被る。するとアレルギーが起こってアトピーが起こります。そしたら、外からの紫外線でまたやられます。それを繰り返しているわけです。

―生命体という細胞の世界も、物の世界も同じだということですね。

畑中　原子、分子、細胞というのは連鎖しているわけです。これに似たものが分子になり、これに似たものが細胞になっているだけの話です。生命体の超ミクロの科学と、超マクロの、たとえば金属という世界とが、同じような現象でもって表現されているということです。熱力学の第二法則であるエントロピーの増大の法則から説明しますと、日本の仏教用語でいう色即是空、空即是色と同じです。

―色即是空と熱力学ですか。　

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畑中　精神科学の世界と物質科学の世界との一つの循環ですよ。

―ちょっと仏教の話になりますが、色即是空というのは、すべて実体はないということですね。存在する一切のものは、単一にあるのではなく、いろんなものが関わりあって助成しあい、総合され、合成された物質的現象として「ある」のだと。その結果、世は無常だというわけで、空虚感に落ち込むけれど、もう一度、そこから飛び出なけれはダメだ。つまりは、畑中さんのおっしゃる酸化と還元ですね。充実した人生を生きるためには、元に戻らなけれはというのが空即是色だと解釈できるのではないですか。

畑中　精神科学の世界と、物質科学の世界との一つの循環ですね。だから私がもし、九九・九九九譲って、それを物質科学だとしてもいいですが、あとの〇・〇〇〇一は精神科学の世界ですよといいたいんです。黒鉛が九九・九九九を越えると、つまり超高圧をかけると、人工のダイヤモンドになるように、九九・九九九の壁、要するに、タブーをトンと破ったところで、違う物質に変わるということなんです。だから、エジソンがフィラメントを作った時は、まだ、抵抗の法則でやったんです。いわゆる、辛抱をさせて、それで光を灯したんです。その逆に、辛抱させるのではなく、抵抗を限りなく導通性に換えるということも、現実に私はやっているんですよ。今の時代は抵抗ではなく導通性が必要なんです。抵抗というのなら、もっと大いなるもののために抵抗しなけれはいかんですよ。ここからは譲れませんよというような。つまり、それが高比抵抗膜層というもので、そういう絶縁層を入れるから、運動が活発になるんです。

活性化された物質から不思議な“電磁波”が出てくる

―水は流れているがゆえにきれいなのだといいますね。

畑中　止まった途端に腐る。泥んこの澱んだ水になります。すると寄生虫などの悪さをするのがいっはい出てきます。過剰なエネルギーは抜いてやらなけれはいけません。それが、空即是色ですね。それが循環しているのです。集合・分裂・分散を繰り返している。しかし、本当にこれをしているのは水だけなんです。固体、液体、気体という風に…。だから、水を極めれはすべてがわかる。私は水を極めた（笑い）。

―その水を産業界に売るわけですか。

畑中　いや、私は水は売りません。無から有に変え、物に変える触媒を私の水の技術で活性化させるというのが私の分野です。ですから、私のやっているのは触媒化学の世界です。ガラスならガラスの、樹脂なら樹脂の、金属なら金属の原末を何％か入れて、熱をかけて反応させているわけです。

―すると、例えは、プラスチックが別の素材に変わる…。

畑中　新しい機能を付加するということです。

―具体例として、セーラー万年筆が作ったペン先がそうだそうですね。

畑中　そうです。セーラー万年筆さんは、私のMICA加工技術によって、21金ペンを活性化されたのです。21金ペンを作るのに金七一％、銀二五％、銅と亜鉛をそれぞれ一％、ニッケル二％を溶解させて作ります。通常、ペン玉が溶着する条件として一五〇Ⅴの電圧が必要らしいのですが、ニッケルを活性化させますと、一八〇Ⅴの電圧になるのだそうです。これはどういうことかというと、電気伝導性、熱伝導率が良くなったということなんですよ。しかも、セーラー万年筆の社長がいうのには、従来の生産工程では平均二三％のロスがあったのが、活性化した場合、ロスがまったく無くなった。セーラーの社長がびっくりして飛んできましたよ。

―びっくりするでしょうね。

畑中　領域に変化が起こり、組織が均一化したということですね。

―というのは？

畑中　物質の抵抗は温度によって変化します。金属の場合は一度℃当り約〇・五％増大します。半導体においては、温度上昇につれて抵抗が多きく減ります。電気の伝わり易さを示す「電気伝導度」と熱の伝わり易さを示す「熱伝導度」との比は、一定の温度のもとでは、すべて金属においては同じ値になります。以上のようなことから、七五六・一度℃付近から半導体特性（？）が現われているように思われるんですね。

―21金ペンの金、銀、銅、亜鉛、ニッケルが溶解するのは何度ですか。

畑中　一四○○度℃です。

―それで、そのペン先はどういう特性があるのですか。

畑中　シータ波が出ます。

―シータ波？

畑中　直観力を誘発する脳波です。そのものずはり、シータという商品名で全国のデパートで販売されています。

―ほかには？

畑中　資生堂さんからは、免疫力を向上させるバスローブ、バスタオルなどが発売されています。田村駒さんでは血圧を調整することができる羽毛掛けふとんが発売されています。

―みんな、その活性化鉱水によるものなんですね。

畑中　そうです。

―成果を学会に発表されないのですか。

畑中　東北大学のある教授も「これは新しい科学としかいいようがない」といっているのですが、発表すれはあまりにも反響が大きいでしょうからね。むしろ、実業レベルでいいものを作って売り出すというのがいいんじゃないでしょうか。それが最後は官を動かし、全体を動かすと思いますよ。

―社長の生い立ちですとか、今回の研究をされるきっかけなど、まだいろいろとお伺いしたかったのですが紙面が足りません。今回はひとまず、これまでとし、また機会がありましたら、お邪魔いたします。本日はどうもありがとうございました。

（聞き手　船木浩司）　

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