METAL ART MUSEUM HIKARINOTANI
1999年
 11月27日
 〜12月23日

12月の企画展

存在の家

木村裕 × 冨井大裕

見知らぬ私のために


 木村 裕「地表に眠る」


 冨井大裕「ドア」

会 期

 1999年11月27日(土)〜12月23日(木・祝)

作家名

 木村 裕(きむら ゆたか)  冨井大裕(とみい もとひろ)

作家紹介

 私たちが寛ぎを受け入れるのは,通常,意識の欲求が疲労などで抑制されたときですが,緩和された条件のもとで満たされた感覚や情感は,緊張が戻ると再び意識の批判につくされ,低く評価されがちです。作品をつくることが自分自身の潜在意識への接近であり得るとしたら,その接近を命じるのはとりあえず意識の側ですが,感覚的な価値判断を意識の専有から救い出す必要がありそうです。「私」から抜け出ていった「見知らぬ私」こそが欲求の主体となって,作品が導かれるべきでしょう。「君がなぜそれを欲しがるのか分からないけれど,分からないからこそ,君にあげることができるし,最初に躊躇があるから,かえってあとで迷わないんだ」 −意識の緊張を保ったままで,私たちは存在の家を建てることができるし,私たちを互いに隔てている見えない壁の薄皮一枚奥に広がっている世界こそが,もともと私たちが住んでいた世界だと認識できる筈です。(文責・木村)

作 品

 内容 : インスタレーション

制作意図

 二人の作家のインスタレ−ションを一つの場所に接近させて展示します。
 木村は色彩,形態,音響,言語など,幅広い素材を用いて,宇宙的な生成をとらえようとする作家。冨井は人物や家など,根源的な「像」のもつはかなさ,とらえどころのなさを靜謐に追及する作家です。
 潜在意識の回復(再把握)のために協力し合う,ということで二人の意見が一致し,打ち合わせしながら展示の在り方を決めて行きました。(木村)
 日頃何気なく見ているささいなものにも,そこに在るべき理由があるのだろう。しかし,振り返って自分を見つめてみると,「ワタシ」という漠然とした言葉にすがり,笑うもう一人の姿があつた。私はその姿に嫌悪感を抱いたが,同時に「ワタシ」の笑顔を見た事に安堵した。(冨井)

略 歴

木村 裕             
1957 東京に生まれる。        
   柴田南雄に師事。Bゼミ卒業。    
個展                    
1991 藍画廊,東京                
1992 藍画廊,東京                 
   ギャラリ−・プラスワン,東京           
1993 ギャラリ−・ポラリス,パリ             
1994 かわさきIBM市民文化ギャラリ−,川崎      
1995 ベイスギャラリ−,東京             
1996 ギャラリ−・ポラリス,パリ           
1999 カフェ・シントン,東京               
グル−プ展
1991 「ゾ−ン」多摩中央公園,東京
   「サウンド・ガ−デン」ハトライプハウス美術館,東京 
1992 「神奈川アニュアル」神奈川県民ホ−ル,横浜 
   「アクリラ−ト展」目黒美術館,東京 
   「日本からの新進のア−ト」
      ホワイト・コラムス,ニュ−ヨ−ク 
1993 「サウンド」ミュゼイオン,ボルツア−ノ(イタリア)
   「芸術家たちの書/物と原稿」ギャラリ−ポラリス,パリ
1994 「一人の作家,一人の招待者,在る一日」 
      GALERIE POLARIS,パリ
   「何事もない展覧会」 GALERIE POLARIS,パリ 
1995 「虚・実・邂逅−インスタレ−ションをめぐって−」
      スタジオ錦糸町,東京

冨井大裕
1973 新潟県に生まれる。
1997 武蔵野美術大学造形学部彫刻科卒業
1999 武蔵野美術大学大学院造形研究科彫刻コ−ス修了
      (修了制作優秀賞)
個展
1998 「周辺のカタチ」ギャラリ−現,東京
グル−プ展
1997 冨井大裕×丹羽陽太郎「Dramaturgie-すれ違う日常−」
      キッド・アイラック・ア−ト・ホ−ル
1998 「対話する器」ギャラリ−那由他
1999 武蔵野美術大学大学院修了制作選抜展
   「ほどけない神経の鍵穴」ギャラリ−那由他