1308o_beer of Metal Art Museum

美宴庭園(ビアガーデン)-三木俊治 塩野太朗 野上零大- (屋外展)

真夏の庭園にくり広げられる三者三様の美宴

2013年8月17日(土)〜9月15日(日)

10:00-18:00

 (休館日 月曜日、祝祭日の翌日)

miki03.jpg三木俊治作品
siono03.jpg塩野太朗作品
nogami04.jpg野上零大作品

◆ 作家紹介・作品

三木 俊治(みき としはる/Toshiharu Miki)

■ 作家紹介

 「行列」は人間が意識して作る形である。人間の未来を示唆する。大学在学中「彫刻に何ができるか」を自問し、様々な国の人々が「何を考え、どのように作るのか」を観るため旅に出た。メキシコの小さな村で木陰で黙々と機織るインディオの老婆にもの作りの原点を教えられた。手を通してものを作っていく人間のあるべき姿にふれ、日本での理詰めの煩悩から一歩踏み出すことができた。「思想」は頭で言語を追うだけでなく「たなごごろ」の中にも宿ることを確信した。現代人は心でいきづまった時、手と足を使うことを忘れてしまっている。最初の旅から40年以上が過ぎた。70数回に及ぶ海外への旅は作品にも大きく関わる。世界各地で見た様々な意味を持つ「行列」。インドで見た大群衆から受けた感銘をもとにシリーズ『行列」が生まれた。私の彫刻は世界中を歩き回った旅の時間の「行列」である。

■ 作品

 タイトル:逆流する現実 -殿敷侃へのオマージュ
 素材:ミクストメディア

塩野 太朗(しおの たろう/Taro Shiono)

■ 作家紹介

 彫刻芸術のプロセスの一つである「型取り」という行為や意味に注目し、そこから派生する「陰と陽」「オリジナルとコピー」「保存と残存」「表裏の境界」などを主なテーマとした立体、インスタレーション作品を発表している。

■ 作品

 タイトル:BORDER
 素材:ミクストメディア

野上 零大(のがみ れいだい/Reidai Nogami)

■ 作家紹介

 少年時代にモンゴルで遊牧民の生活を経験した。その想いが彫刻を造る動機となり「かぜのかたち」シリーズが始まった。ドローイングを描く筆の感覚で斧やチェンソーで木というキャンパスに線を刻む。今回は木の他にさまざまな素材を用いて制作した。

■ 作品

 タイトル:パーティーのあとのダンス
 素材:木材 硬鉛 着彩

◆ 制作意図

三木 俊治

 「逆流する現実」(注1)は科学進歩が招く破壊への愚挙を訴えた殿敷侃からのメッセージである。3歳で被爆した殿敷はやがて原爆症による入院を機に美術家を志す。社会への不条理を作品に込めて発表したインスタレーションやパフォーマンスの多くは今や画像記録に頼らざるを得ないが、1987年に長門市二位の浜で制作した作品が現存する。"漂流ゴミ"をポストモダン(注2)の作法で仕上げた「お好み焼き」(注3)である。本展出品作は「お好み焼き」をアプロプリエーション(注4)して殿敷の声を今に伝えるものである。1995年50歳で他界した殿敷がいまも広島、福島を通して未来を見据える。
注1 1992年発行の殿敷侃作品集のタイトルから引用
注2 モダニズムの成立条件が失われた(と思われた)時代に起こったモダニズム批判の文化運動
注3 浜に打ち寄せられた廃棄物をボランティアと共に拾い集め、掘った穴で焼き固めた作品
注4 作品のなかに過去の著名な作品を取り込む、現代美術の表現方法の一つ

塩野 太朗

 物事には「境界線」というものが存在し、それが眼に見えない場合もしばしばある。それは感覚的で精神的なものもあれば、政治的で強制的に作られたものもある。その一線により人々の生活は安定し安全が保たれている場合があり、一方でその隔たりにより真実が歪み、本質がぼやけてしまう場合もある。現在、私たちを翻弄する多くの境界線の上を、人間以外の全ての存在がこの瞬間も通過してゆく。本展は「境界線」を可視化する試みである。

野上 零大

 「社交辞令の会話をし、並べられた食事を口に運び、流行の曲で踊る。」円卓で催されるパーティーは社会そのものの縮図である。逆さまになった円卓は世の中への<疑問?> <不安>。作品を観る人に社会への<新たな視点>を問うている。

◆ 略 歴

三木 俊治(みき としはる/Toshiharu Miki)

1945 栃木県生まれ
1972 東京造形大学彫刻専攻卒業
1985 現代日本具象彫刻展「大賞」 (千葉県立美術館)
1988 日独金属造形作家展 (ベルリン/ドイツ)
1989 東京野外現代彫刻展「優秀賞」(世田谷区砧公園)
1990 ふれあいロード彫刻展「大賞」(茨城県 東海村)
1994 東京-バレンシア現代美術展 (東京 バレンシア巡回)
1996 美ヶ原高原美術館15周年記念 TUES 1996 -三木俊治展 
1998 神戸須磨離宮公園現代彫刻展「神奈川県立近代美術館賞」「宇部市野外彫刻美術鑑賞」
1999 三木俊治個展 -People Line (Metal Art Museum Hikarinotani/印旛沼湖畔 千葉)
2002 三木俊治個展 -NICE to meet you (ニース フランス)
2003 日本-トルコ現代美術展(東京 イスタンブール巡回)
2006 越後妻有アート トリエンナーレ (新潟県)
2009 日米国際作家交流展 -Crosscurrent (東京 ロスアンゼルス巡回)
    三木俊治個展 -Extrasolar Earth (Metal Art Museum Hikarinotani/印旛沼湖畔 千葉)
2010 ミレー「晩鐘」150周年記念展 (バルビゾン/フランス)
2013 Art on the Green (Kemp Center/テキサス アメリカ)
    美宴庭園(ビヤガーデン) (Metal Art Museum Hikarinotani/印旛沼湖畔 千葉)

塩野 太朗(しおの たろう/Taro Shiono)

1985 東京生まれ
2008 東京造形大学美術学部彫刻専攻卒業
2010 筑波大学大学院芸術専攻彫塑領域修了

2007 第53回一陽展「特別賞」(国立新美術館/六本木 東京)
2008 国民文化祭いばらぎ美術展「茨城県知事賞」(茨城県立近代美術館/水戸市 茨城県)
2009 Are New Week (テレビ朝日多目的スペースumu/六本木 東京)
   金属彫刻作家新鋭展 (Metal Art Museum Hikarinotani/印旛沼湖畔 千葉)
2010 M7"大美震" (遊美工房/倉敷市 岡山県)
2011 個展「日常に埋没するオリジナリティー」(新さっぽろギャラリー/北海道)
2012 個展「反復 残存 時間」(草花舎/島根県)
2013 美宴庭園(ビヤガーデン) (Metal Art Museum Hikarinotani/印旛沼湖畔 千葉)

野上 零大(のがみ れいだい/Reidai Nogami)

1985 東京生まれ
2011 東京造形大学大学院造形研究科 修了

2010 M7"大美震" (遊美工房/倉敷市 岡山県)
2011 東京造形大学大学院修了展「ZOKEI賞」(大学内横山記念ジャコモマンズー美術館/東京)
2012 Nogami Reidai Exhibition "明くる日の風" (Gallery&Cafe 草花舎/島根県)
2013 大草原展(Gallery KINGYO/東京)
    美宴庭園(ビヤガーデン) (Metal Art Museum Hikarinotani/印旛沼湖畔 千葉)