2007年9月15日(土)〜10月14日(日)

白石英二展(Eiji Shiraishi Exhibition)
−内包する器官と皮膚感覚に、生命活動の痕跡を感じて−

■ 会期
 2007年9月15日(土)〜10月14日(日)
 ただし、9/17、9/24、10/8(月)は開館し、翌9/18、9/25、10/9(火)は休館します。

■ 作家名
 白石 英二(しらいし えいじ/Eiji Shiraishi)

■ 作家紹介
 私はかって玩具を分解して中身を探ろうとしたことがあります。その幼い要求と、自分という人間の内面を暴きたいという現在の欲求は通じるものがあり、その動機には生命的なエロティシズムへの関心があるように思います。
 もとより生命的なものに強い興味を持ち、人体の形を用いながら表現していましたが、人体を解体するように解釈したいという強い欲求が生まれ、人体のどんな要求に興味があるのか探っていました。
 幾年かして得た答えは、「肉の質、弾力、湿り気、体温」について関心と拘りを持っているということです。そうした要素を凝縮させて、あるかたちを生んできました。
 これは、非情に私的なイメ−ジを具体化した表現で、美の普遍性という概念と隔たった思考により存在するものです。生き物の皮膚感覚を感じさせる細部の表現と、私自身が愛着のもてる寸法感を大切にして、手で触れ、抱いて慈しみたいと感じる、愛玩動物のような彫刻を作っています。
 そうして現れてくる形象は、深い森や、古い屋敷に住みついた妖しい生き物のようであり、意味のない道具のようでもあります。同時にこれは、私自身の赤裸の姿です。
 素材は蝋型鋳造によるブロンズを中心に、真鍮、銅等の金属、楠や桂、花梨などの木材、皮革、既製品などをもちい、それらを複合して造形するなかで、異なる素材間の響き合いを操りながら、表現を探っています。
 また、内包する器官や構造物は生命の象徴であり、時に道具であり、それを触り、また、覗き見る行為には人の本能的な欲求に通じるものがあると感じています。

■ 作品
 
内容:彫刻
 素材:ブロンズ・木・皮革・他

■ 制作意図
 今回の展示では、直接的に人間の肉質をつたえるフォルムをもった有機的な造形に、漆を塗った升をあわせて「ますちょうこく」と、「閨の住人−蕾−」の響き合いがエロスを象徴しています。
 また、屋外に展示する「秘密」は、やはり暗がりでであうにくのイメ−ジです。
 そのエロスは、生物や玩具を解体しながら解釈したいという欲求から生まれた、メカニックな器官を内包する彫刻「愉悦の箱」「ひとりの時間の愉しみかた」「箱−コウモリの玩具−」に引き継ぎ、更に、生命活動の痕跡をイメ−ジした、遺跡のような「街」「箱の街」「くのびあい」「イヒツタヘニヨレバ」「ANCIENT DAYS」を含め、表現の根底に流れています。
 蝋型鋳造によるブロンズは、吹き放しの鋳肌の表情が、イキモノの皮膚のようなざらつき感をみせ、対比される、磨かれ、柔らかい光を反射するブロンズの官能的な質感、あるいは道具のように扱われた木材、半透明に透ける毛穴の残る皮膚と複合的に響きあって、独特の有機的な表情を表出しています。
 また、内包する器官や構造物は生命の象徴であり、時に道具です。それを触り、また、覗き見て、観覧の方に楽しんでいただきたいと思います。

■ 略歴
1964 埼玉県生まれ
1989 筑波大学大学院修了
【グル−プ展・個展】
1987 国展(東京都美術館)に出品、
    '88新人賞・ '89奨励賞・ '92新海賞 受賞
1992 第26回現代美術選抜展(文化庁主催/岡崎市美術館・愛知県他6県6会場巡回)
1997, 97, 05 みゆき画廊/東京都
1998, 00, 01 ギャラリ−・エル・ボエタ/埼玉県
2001 2001新世紀の顔 KAO展(中野氏企画/ア−トギャラリ−アンファン/東京都他4県4会場巡回)
    古寺と現代彫刻の融合展(国画会彫刻部企画/青蓮院門跡/京都府、'03年同展)
2005 ネオメタル展(ギャラリ−せいほう/東京都) 
2007 個展/Metal Art Museum Hikarinotani/千葉・印旛沼湖畔