METAL ART MUSEUM HIKARINOTANI
2004年
  9月11日
  〜10月10日

9〜10月の企画展

村上 保 展
Tamotsu Murakami Exhibition

羽化−飛行空想−


会 期
 2004年9月11日(土)〜10月10日(日)

作家名
 村上 保  (むらかみ たもつ)

作家紹介
 仏像制作などで使われる“乾漆”技法を中心にした作品を作り始めてから20年近く経つ。最初は乾漆独特の質感に興味を持ったからだったが、続けるうち徐々にその技法そのものに興味が湧いてきた。乾漆は、粘土や木、発泡スチロ−ルなどで成形したものの表面を漆の層が覆って形を作り、この芯を抜くと内部は中空となる。そんな技法上の特質に注目してからは、発想もそこが出発点となった。風を想像させる移ろいやすい形や空洞のある形を、風船や笛のイメ−ジを借りて表現してきたのは、そんな理由からである。
 それは、実在する形それ自体より、その形が作る隙間や内部(中空)の見えない部分、いわば不在の形を形にしようという試みが僕の作品に共通した主題であるということでもある。

作 品
 内容:彫 刻 
 素材:乾漆、ステンレス・スティ−ル、コ−ルテン・スティ−ル

制作意図
 旗、風船、笛…。風それ自体に形はないが、物に触れ、隙間を生じ、中空を通り抜ける時、風はいろいろな形を作り、音をつくる。僕はこれまで、その様なイメ−ジを借りて、風という見えないものから生まれるはかない形や、風を連想させる空洞のある形をつくってきた。近年は昆虫の羽化をテ−マにした作品をつくっているが、これらの作品もそのイメ−ジと同じ延長上にある。微風にも揺らぐはかなげで危うい羽の姿を借りて、昆虫の身体と羽との間に生じるわずかな隙間、その虚ろな空間に形を与えようと試みたものである。
 今回の発表では、さらに飛翔のイメ−ジを付加し、よりその空間を際立たせることを主眼としている。

略 歴
1950 愛媛県生まれ
1974 東京学芸大学卒
2000-01 文化庁派遣在外研究員として英国留学、
      テ−ト・ギャラリ−(ロンドン)にて研修
【個展】
1989 有楽町マリオン・朝日ギャラリ−/東京
1990 ガリレア・キマイラ/東京
1991 紀伊国屋画廊/東京
1993 尾鷲市民ホ−ル/三重
    櫟画廊/東京
1994, 97 コア石響/東京
1998 “風の船”エキジビション・スペ−ス/東京国際フォ−ラム
2002 “飛行計画”ア−ト・ジ−ン・ギャラリ−/英国
2003 “羽化”エキジビション・スペ−ス/東京国際フォ−ラム
    “風の触点”プラス・マイナス・ギャラリ−/東京
2004 “羽化−飛行空想−”
     Metal Art Museum Hikarinotani /千葉・印旛沼湖畔
【グル−プ展】
1974 モダンア−ト展(新人賞、部門賞、協会賞)/東京都美術館
    菊と造形展、小田急向ヶ丘遊園/神奈川
1976 文化庁現代美術選抜展/鹿児島市立美術館
1987〜00 集団・視線、資生堂ギャラリ−ほか/東京ほか
1990 現代日本彫刻米国巡回展、
    コロンビア・ア−トセンタ−ほか/米国
1992 いづち治+村上保展、ガリレア・キマイラ/東京
1994 新潟市野外彫刻大賞展/新潟市美術館
2000 KAJIMA彫刻コンク−ル(銀賞)鹿島KIビル/東京
2003 カオスモス'03“マインド・スケ−プ”/佐倉市立美術館
【コレクション】
 三重県尾鷲市
 山形県蔵王高原坊平モニュメント
 第一生命ビル/東京