大きい視点から中国の山地教育について少しお話ししたいと思います。
中国の教育は基本的には政府がやりますが、私たちはレベルに分けて学校を作るというシステムを採ってます。例えば大学は国、各省、各市がやります。高等学校は県が経営します。中学校は基本的には郷と鎮がやります。村の小学校は村がやります。学生は基本的には9年義務教育制度ですから6・3制が基本的で、あとは5・4制もあります。今年の6月、中央政府国務院は会議を開いて、これから6・3制に統一するという方針を出しました。学校を作る、学校を経営するシステムも変わります。これからは県にその権限が属することになりました。基礎教育つまり小学校と中学校の責任は県の政府にあるということです。この政策はこれから実施することになります。
興隆県には鎮は7つ、郷は13,行政村は297あります。人口は31万5000人ぐらいです。面積は3123平方キロメートルです。興隆県は山地ですから交通が非常に不便で、そして人口も広範囲に分布してますから教育をやることにも困難があります。興隆県の事情に基づいて私たちは20の中心校を作っています。7つの学校は県が直接に管理しています。
小学校は290ありますが、子どもたちが学校に通うには交通が不便なので、分校も51あります。私たちは複式教育というんですが、つまり1つのクラスには2つの学年の生徒が一緒に勉強することが多いです。あるところは生徒が10人足らずで先生が1人ということもあります。小学生は大体2万1000人ぐらいです。
中学校は21校あります。生徒は2万5千人です。中等職業技術学校は1つあって1000人ぐらいいます。普通の高校は2つあって在校してる学生は1800人くらいです。県が直接管理している幼稚園は一つあって300人ぐらいの児童が通っています。今、就学前のクラスは275あります。7000人が通っています。それから先生の研修学校が1つあります。これは教職員の新任教員と普通の教員が研修するところです。近年県の政府が9年の義務教育を発展させて職業教育をやっています。今中国は素質教育というスローガンを出していますが、それにも力を入れて県のために中級初級の人材を養成しています。
毎年、大学に入れる学生は300人から400人ぐらいです。基礎教育というのは基本的に義務教育を指していますけれども、素質教育というのは、今までは受験のために教育をやって来たんですけれども、これは全面発達というか学生の資質を重要視するというようなスローガンなんです。今年は大学の入学率は例年よりは良いです。今年は短期大学以上に入れた学生は480人以上です。
ここの就学前教育は、河北省でも全国でも非常に有名です。興隆の就学前教育のモデルを作りました。基本的にはあちらこちらといろいろなところに分布している人数の少ない子どもの教育問題を解決するためのモデルです。ユニセフなどの関心も呼びました。ユニセフの人や中国の教育部の人がよくここで視察しています。小学校と中学校の教育は近年質が良くなりました。入学率は100%です。そしてドロップアウトも0です。小学校から中学校に入る時に試験なしに入学して入学率は100%です。中学校はドロップアウトは2%ありましたが、基本的に9年義務教育は実現されました。97年から9年義務教育の基準に達しました。
農村部の義務教育の問題は国が非常に重要視しており、3年に1回検査します。去年は1回目の検査を受けて既に合格しました。中央政府はこれを非常に重要視していまして、もし不合格だったら大変なことになります。私が教育局長になってからここの教育改革をいろいろやりました。1つは今年から興隆県の5・4学制は調査に基づいて基本的に6・3制にしました。今年から6・3制に統一するということです。大体小学校は2年、中学校は3年ぐらいかかると思います。
2つ目は小学校があちらこちらといろいろなところに散在していますので、それを調整します。特に1人っ子政策もあって農村の人口の事情も変わっていますのでそれに基づいて実状に合わせて数などを調整したいと思います。方法はいくつかありますが、1つは連合学校経営です。つまり生徒数が減っていますので生徒数の足りない学校を連合して、1つの学校を経営するという方法です。例えばA学校とB学校の例を挙げますと、A学校の3年生が少なくてB学校の3年生が多い場合はA学校の3年生の生徒がB学校に通います。しかしB学校の4年生が少なくて、A学校の4年生が多い場合はBの学校の4年生はAの学校に通うようになるという方法です。これは交差経営ということになります。もう1つは学校の学区、通学区域の一体化という方法です。例えば大きな村があって周りに小さい村が幾つかあって、今までは小さい村も1年生から6年生までの学校を作らなければならない。しかしとても力がないので、1年生2年生3年生は小さい村がやって、4年生からは中心にある大きな村で教育するという方法です。
もう1つの方法は寄宿制です。つまり遠隔地に住んでいる子どもは、学校で生活して1週間か2週間に1回家に帰ります。人口が多いところは9年一貫制という形をとります。先ほど言ったのですが、中学校は21校あって分校も15校あるのです。合わせて36校もあるのですけれども、これから郷は1つの中学校だけを経営するようになります。また、小学校は290校あって分校も51校あり、全部で340ぐらいありますが、これから186に減らしたいと思います。学校を減らすことによって教職員の質を高めて、それから資源の配置も合理的になると思います。
高校の話をしたいと思います。高校はこれからもっと力を入れたいと思います。現在高校生は4000人くらいですけれども、2005年には6000人にしたいと思います。次第に高校教育を普及したいと思います。今は山地ですからまだ高校教育を普及させることは難しいと思います。興隆県は徳育を第一という方針を採っています。守っています。知識もあって理想もあって道徳もあって規律を守る公民を養成するために頑張っています。道徳教育は授業の中だけでなく特別活動とかいろんな形でやります。いろんな道徳教育の資源を利用したいと思います。ですから学生に対して思想、政治、愛国主義,方正、人生観の教育をやります。私たちのスローガンとしては徳育、知育、体育、美育、労働教育という全面発達の、社会主義の建設者と後継者を養成するというスローガンです。これは興隆だけでなく中国の 教育の方針です。
今までの社会主義というのは私たち政府がすべての教育の責任をもっていましたが、しかし実際やってみるととてもそういうような責任を負えないところが多くあります。経費の面やその他です。ですからこれから日本の言葉で言えば、例えば私立学校のような形でやりたいと思ってます。中国では私立という言葉をさけて社会力量、社会の力を借りて社会力量学校経営という様な形で発展させたいと思っています。全国から見てもこの部分は始めたばかりのことなので興隆県もこれからやろうと思います。ト小平の言葉なのですけども「教育は近代化、世界、未来を目指さなければならない」という言葉があります。今、知的経済が発展してて特に情報技術がすごく進んでいる中で、私たちは情報教育もやらなければいけません。そして国際化の問題もあり、小学校3年生以上、3年生から英語教育もこれからやるつもりです。
もう1つ私たちの考えていることは興隆の教育をどうやって興隆の経済発展のために貢献させるかということです。ですから私たちは義務教育だけでなく、職業教育と社会教育をも発展させています。義務教育、職業教育、成人教育の3つの教育をよく連携して農業、科学、教育の3つの部門を発展させたいと思います。職業高校はありますけれども郷とかに委嘱の職業学校もあって、大学に入れない学生に農村で生活するための技術とか、農業をやるための技術を教え、興隆の経済発展に貢献をさせたいと思います。進学には希望がある、なるべく進学させて希望を見つけさせたい、つまり教育に力を入れる。豊かになることも希望がある。進学がダメだったらじゃあ自分の労働によって豊かになる、そういう技術を与えるということです。
成人教育のことを言いますと、各郷と鎮には成人学校があります。成人学校の仕事は2つあります。1つは現在の農民のために短期の技術訓練のクラスを設けて、例えば今回はトマトをどうやってつくる、今度はキュウリをどのようにつくるというような短期の技術訓練をやることです。もう一つは9年義務教育を終わって、しかし高校には入れない、入らない生徒のために農業技術の訓練をやることです。農村の事情に合わせて小学校でも少年技術クラスというようなことも考えています。1つはカリキュラムに労働技術という科目を入れたいと思ってます。基本的な目的は職業道徳とか職業のための意識を養成することです。興隆の教育は見込みのある状態になってます。非常に希望があると思います。私は教育局長として日本の皆さんに日本の教育の良い経験を教えていただきたいと思っています。皆さんの貴重な時間をありがとうございました。私の話はここで終わりにしたいと思います。